ワイルドカードトーナメント1回戦 マッチサマリー(NEC 38-14 NTTコミュニケーションズ)

ワイルドカードトーナメント

NECグリーンロケッツ 38-14 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
【ワイルドカードトーナメント1回戦/2013年1月20日(日)/大阪・近鉄花園ラグビー場】

     

リーグ戦第8位のNECと第9位のNTTコミュニケーションズの対決、レギュラーシーズンではNECが29-6と強固なディフェンスでNTTコミュニケーションズをノートライに抑えて圧勝した。日本選手権出場を目指すワイルドカードトーナメント1回戦は強風の吹きすさぶ花園ラグビー場で、NECのグリーンとNTTコミュニケーションズのイエローでスタンドを染め分けた3,000人を超す両チーム応援団の見守る中、NECのキックオフで幕を開けた。

前半、主導権を握ったのはNEC、6分のCTB12番田村のPGに続いて、12分には昨年度の最多トライゲッターで本年度もパナソニックのWTB山田章仁に次いで2位の17トライをあげたWTB11番ナドロが自陣10メートルライン付近で相手ボールをインターセプトして約60メートルを走りぬきトライをあげた(ゴール成功し10-0)。その後も23分にゴール直前のPKからFL7番キャプテン浅野が速攻をしかけて右中間にトライ、ゴールも成功して17-0とNECがリードして前半を折返した。

後半も先制したのはNEC、7分にゴール直前のラックからSH9番櫻井がLO4番村田につないで左隅にトライをあげ(ゴール成功し24-0)、さらに点差を広げた。一方、NTTコミュニケーションズは20分にゴール前25メートル中央付近のラックから右に展開し、最後はWTB14番小川が右中間にトライをあげようやく一矢を報いたが、逆に24分と33分にNECに連続してトライを許し(38-7)、終了間際にSH9番西村がハーフウェー付近で相手ボールをインターセプトして1トライを返すに留まった(38-14)。

試合はレギュラーシーズン同様にNECの一方的なものとなった。NTTコミュニケーションズはディフェンスやセットプレイ時に反則やミスを多発し、そこをNECに付け込まれたのが敗因となった。一方のNECも多くのトライチャンスを十分に活かし切れておらず、必ずしも満足できる内容ではなかった。日本選手権に出場するためには、レギュラーシーズンにおいて試合終了間際に1点差で逆転負けを喫したトヨタ自動車との対戦を制する必要があり、そのためにはSO10番森田(洋)やCTB12番田村の効果的なキックの活用など、さらにプレイの精度を高める必要がある。

     
会見ダイジェスト
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
林監督(右)、小林バイスキャプテン

■NTTコミュニケーションズ シャイニングアークス
林雅人監督

「今日負ければ終わりという試合の中で、トップリーグではNECさんに負けているので何としても勝ちたいという気持ちでのぞみました。
うちのスタイルはディフェンスとセットプレーで仕事量を増やすことだったが、特にラインアウトではボールを取られてしまいましたし、ディフェンスではタックルが高かったです。これが今日の結果につながりました。
これでシーズンは終わりますが、また来シーズンに向けてやっていきます。1年間ありがとうございました」

小林訓也バイスキャプテン

「ゲームが終わったばかりで、まだ整理ができていないが、ディフェンスでここ一番ねばれなかったのがチームの弱さです。自分たちの規律が悪くなると反則が多くなります。
前回負けて『今回こそは』と思ったが相手の堅いディフェンスで流れに乗れませんでした。チームとしてもっと進化したかったです」

──スクラムでの反則が多かったが?

小林バイスキャプテン
「駆け引きだと思います。1番のバインドやコラプシングが多く、相性が悪かったし、落ちる事が多く、それがレフリーの目にとまったのだと思います」

──相手のモールの印象は?

小林バイスキャプテン
「空中でボールが止まっているモールなので差し込めば倒せると思っていました。モールへの入りは勝っていたのでタッチ方向へ押し出しにいきましたが、上手く回されてしまいました」

──NECの分析と実際に戦ってみての感想は?

林監督
「ディフェンスは早めに出てくるし、全体に上がってくるのは分析どおりでしたが、それぞれの選手がスキルフルで、キック、ランと使い分けてくる上手いチームでした。彼らは予想どおりのプレーをしてきました。攻守そろった素晴らしいチームでした。予想に反していたのは自分たちのタックルの甘さでした」

     
     
NECグリーンロケッツ
クーパー ヘッドコーチ(左)、浅野キャプテン

■NECグリーンロケッツ
グレッグ・クーパー ヘッドコーチ

「まずは次のステージに進めることは喜ばしいと思います。前後半とも多くのトライチャンスを作ることができたのはよかったです。次のゲームはこれをどう取りきるかということが課題です。それには我慢が必要になります」

浅野良太キャプテン

「同じ千葉県で活動しているチームなので、千葉でゲームができればと思っていましたが、この花園で多くのサポーターの方に応援していただいて感謝しています。
80分間いいゲームができたと思います。次は精度を上げて我慢して取りきることで、トップリーグで負けているトヨタ自動車さんにリベンジしてファイナルで勝つことを明確にしていきます」

──キックを多用したのはゲームプラン?

クーパー ヘッドコーチ
「昨シーズンではアタックの精度を上げてきました。今シーズンはキックが課題でしたのでこれに取り組んだ結果、バランスのいいチームになりました。選手たちは練習で培ったものをゲームの中でしっかり判断してプレーしています」

──トライを取りきれなかった理由は?

浅野キャプテン
「カウンターラックは警戒していました。ブレイクダウンで必ずやってくると思っていました。今日はボールキャリアーがブレイクダウンした後にターンオーバーが起きています。これはサポートプレーヤーが遅いか、タックラーをうまく排除していないからだと思います。
また、ラインブレイクしてボールをつないでいけたのでオフサイドラインが形成されず、結果、相手チームにもプレーさせてしまうことになりました。ボールキャリアーのオプションが増えた分、そこに対応するべきサポートプレーがいい判断ができませんでした」

     

(記事:石川悟、蜷川善夫、北畑幸二 写真:長谷川昭男 広報担当:村島博)

RELATED NEWS