トップリーグ入替戦マッチサマリー(NTTドコモ 24-21 三菱重工相模原)

NTTドコモレッドハリケーンズ 24-21 三菱重工相模原
【トップリーグ入替戦/2013年2月9日(土)/大阪・近鉄花園ラグビー場】

     

トップリーグ入替戦もこの試合が最終戦、今シーズン1勝12敗で第13位に終わったNTTドコモとトップチャレンジ第4位で2007-08以来6シーズンぶりの昇格を目指す三菱重工相模原の一戦。NTTドコモは地元ファンの前で2シーズン守ったトップリーグの座の死守を、三菱重工相模原は先週の豊田自動織機に続く下剋上を、それぞれの想いを抱いている。来シーズンから16チームによる新方式に変わるトップリーグの最後の一枠を賭けた両チームの戦いは、バックスタンドの赤(NTTドコモ)とメインスタンドの緑(三菱重工相模原) の両チームの大応援団で埋め尽くされた近鉄花園ラグビー場で午後1時、三菱重工相模原のキックオフで開始された。

試合開始直後からトップリーグチームの意地でNTTドコモがボールを支配してエリア的にも優位にゲームを進めるが、先制したのは三菱重工相模原、前半13分にゴール前でのキック処理をもたついたNTTドコモのバックス陣の隙を突いて、FB15番大和田がこぼれ球を拾い中央にトライをあげた(ゴール成功0-7)。
しかしNTTドコモも執拗にFWプレイを繰り返し、前半24分にゴール直前の右中間ラックからWTB14番キャプテン平瀬がレフリーと交錯しながらも右中間に押さえて反撃を開始した(5-7)。
しかしこの頃からNTTドコモはラインアウトなどのセットプレイに乱れが生じ、自分たちのプレーができない。また三菱重工相模原も攻め手を欠き、WTB11番ウィリアムズをSOやCTBの位置に据えて展開を試みるが機能しない。それでもその後、両チームともFWプレイで1T1Gを追加、12-14と挑戦者の三菱重工相模原がわずかにリードして前半を終了した。

後半9分、NTTドコモはHO16番緑川を投入して、ラインアウトが安定し始める。そして直後の12分、NTTドコモはゴール前10m中央付近のラックから左に展開し、最後はWTB14番平瀬が再び左中間にトライ(ゴール成功し19-14)をあげ、ようやくこの試合初めてリードを奪った。

しかしトップリーグ昇格に執念を燃やすこの日の三菱重工相模原は粘り強く、後半23分には10mライン右中間で相手ボールをキャッチしたWTB14番椚が逆襲、最後は元ウェールズ代表WTB11番ウィリアムズが約30mを華麗に走りぬき中央にトライをあげて再逆転(19-21)、緑を纏った応援団の歓声は最高潮となる。

そしてクライマックスはまだこれから、トップリーグ死守のため後のないNTTドコモが試合終了間際の36分、ゴール前10mの右中間ラックから左に広く展開し、突破力のあるNo.8・19番シオエリを中心にFW・BK一体となった攻撃で最後はSO10番ガードが左隅にトライをあげ再逆転、今度は赤を纏ったNTTドコモ応援団の歓喜の中、熱戦に終止符を打った(24-21)。

接戦を制したNTTドコモは来シーズンもトップリーグで新方式のシーズンを迎える。この日、不安定さが顕著であったセットプレイなどの精度を向上させなければ、やはり上位チーム相手には今シーズン同様に苦しいシーズンが予想される。一方の三菱重工相模原もトップリーグチーム相手に互角以上のゲームが出来ることがこの日証明された。両チームともに確実に得点できる自らのパターンを確立し、来シーズンはそれぞれのカテゴリーでの活躍を期待したい。

     
会見ダイジェスト
高岩監督(右)、芝本キャプテン

■三菱重工相模原ダイナボアーズ
高岩映善監督

「関西での試合でしたが、ドコモに負けない位の応援に感謝しています。三菱の力を感じました。
試合の方は、選手達が本当に一生懸命頑張ってくれた。結果は3点足りなかったが、長い一年間で良く頑張ってくれたことに感謝しています。3点足りなかった分を来年プラスにして、もっと力を付けて来年こそ昇格出来るようにしたい」

芝本裕吏キャプテン

「選手は全ての力を出し切ったと思う。その結果、3点足りなかったが、この経験を無駄にしない様にして、いいチームを作りたい」

──最終的に3点不足の原因は?

高岩監督
「積み重ねだと思う。攻撃のところで獲り切れなかったし、デフェンスは8 - 9割練習通りに出来たが、ちょっとした隙間で獲られてしまった点だと思う」

──トップチャレンジ2から連戦、連戦と長いシーズンだったが、選手の疲労は?

高岩監督
「連戦が続いて相当疲労はあったと思う。トップイーストの釜石戦からほぼ毎週だったので、疲労がある中で今日まで良く頑張ってくれたと思う」

     
     
NTTドコモレッドハリケーンズ
高野へッドコーチ(左)、平瀬キャプテン

■NTTドコモレッドハリケーンズ
高野一成へッドコーチ

「最終の入替戦で2年連続トップリーグに残留できるかどうかの大事な試合で、タイトな試合になると想定していた。前半は、ディフェンスからと思っていたが、逆にアタックのチャンスがあった。しかし相手のブレイクダウンに対してテンポも悪く、反則も取られ波に乗れなかった。
3点差ですが、2年連続トップリーグに残留できたことが嬉しく思うし、チームにもプラスになったと思う。来シーズン16チームで厳しい戦いになると思いますが、課題を克服して、入替戦での会見ではなく、プレーオフ、ワイルドカードでの会見が出来るようにし、日本選手権出場を目指して頑張っていきたい」

平瀬健志キャプテン

「最後の試合、この花園の地で沢山の応援を頂き感謝しています。
今シーズン、開幕戦から苦しい試合が続いて、今日の試合も相手がトップイーストのチームですが、厳しい試合になると思っていました。昨年もぎりぎりで勝っていたのでメンタル面で勝とうと言っていた。先制点を獲られたが焦らずに取り返そうとポジティブに声を出していた。2年連続で残留出来たので、来シーズンは春から厳しい練習に取り組んで、入替戦に進まない順位で臨みたい」

──三菱のアタックで苦しんだところは?

高野へッドコーチ
「シェーン・ウィリアムズを戦う前に分析してマークしたが、個人技アタック能力は思っていたより、素晴らしかった。人数をかけていたので、そこからのリアクションが厳しかった。トライは獲られたが、後半は修正して、ディフェンスのところで絶対に上にいかないで下にアクションすることで、克服できたと思う」

──ハーフタイムの指示は?

高野へッドコーチ
「ブレイクダウンのところで相手が反則を取られチャンスはあったが、それに対して、ボールキャリアとサポートの間がルーズになっていた。システムでなく、その場の行き当たりばったりのアタックが見られたので、シンプルにと修正した」

     

(記事:石川悟、蜷川善夫、玉川育夫 写真:長谷川昭男 広報担当:村島博)

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