ファーストステージ・第4節 マッチサマリー(NTTコミュニケーションズ 21-15 トヨタ自動車)

NTTコミュニケーションズ
シャイニングアークス
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
21 合計 15
14 前半 7
7 後半 8
4 勝点 1
9 総勝点 9
トヨタ自動車
ヴェルブリッツ
トヨタ自動車ヴェルブリッツ

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 21-15 トヨタ自動車ヴェルブリッツ

ファーストステージ・第4節 プールA
2013年9月28日(土)17:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

NTTコム、最後の2分を総力のディフェンスでトヨタ自動車の反撃を防ぎ、2勝目

サントリーサンゴリアス、神戸製鋼コベルコスティーラーズ、そしてサントリーに勝って波に乗るNECグリーンロケッツがいるプールA。同じプールの両チームにとって今日の試合は2ndステージへつなぐための大事な試合になる。

試合はNTTコムペースで始まった。前半2分、ラインアウトからの攻撃でWTB小泉将が右サイドを好走しゴール前に。その後のラックからSO君島良夫が抜けて、ボールを右ラインへCTBマット・サンダーズからFBブラッキン・カラウリアヘンリーにつないだ。カラウリアヘンリーがゴール前でつかまりラックになったが、そのラックから直接ボールを得たサンダーズがそのままインゴール中央に回り込みトライ(ゴール成功)。NTTコムが7-0と先行した。

トヨタ自動車、NTTコムともにそれぞれ9分、15分に得たペナルティーゴールのチャンスに得点できない。前半17分から5分ほどの間、NTTコムがトヨタ自動車陣ゴール前でのラインアウトからの攻撃を繰り返すが、トヨタ自動車はどうにかNTTコムフォワードの猛攻をしのぎ、逆にNTTコムの反則から、中央付近でのトヨタ自動車ボールのラインアウトまでエリアを返した。
23分、トヨタ自動車はこの中央のラインアウトからバックスに展開、最後はCTB山内貴之がうまく抜け、No.8杉本晃一から、この日トップリーグ2試合目の新人WTB彦坂匡克につなぎ、彦坂がNTTコムのタックルをかわしインゴールへ走り込み(ゴール成功)、7-7の同点に追いついた。

前半32分、自陣ゴール前に攻め込まれたトヨタ自動車は、ゴール前スクラムで「反則の繰り返し」でのシンビンを取られ、10分間、14人で戦わざるを得なくなった。トヨタ自動車はこのゴール前スクラムのピンチはどうにか防いだが、38分、NTTコムは中央付近からのカウンターアタックでFBカラウリアヘンリーがディフェンスを3人かわし、左コーナーへグラバーキック。このボールをWTB友井川拓がチェイスし、トヨタ自動車バックスと競り合ったが、コーナーフラッグぎりぎりのところに転がったボールを上手に抑えトライ。難しいゴールもSO君島が入れ、NTTコムが14-7とリードしハーフタイムとなった。

前半、防戦シーンが多かったトヨタ自動車にとって7点差は、まだまだ逆転十分な点差である。後半2分、NTTコムはラインアウトからバックス展開し、敵陣22m付近でのチャンスとなろうかというところだったが、SO君島の飛ばしパスをトヨタ自動車にターンオーバーされ、FLヘーデン・ホップグッドがそのボールを大きくキック。これをしっかりチェイスしたWTB遠藤幸佑がインゴールで押さえ、トライ(ゴール不成功、14-12)。トヨタ自動車が2点差に迫った。

2点差では勝負の行方はまだまだ分からない。その後どちらも追加点を狙うが、なかなかトライチャンスにつながらない。ようやく後半32分、NTTコムがラインアウトから12フェイズにもなるアタックを重ね、最後はFBカラウリアヘンリーからボールをもらったWTB小泉がトヨタ自動車ディフェンスを1人、2人とかわし40mを走り切りトライ(ゴール成功)、NTTコムが残り7分で21-12と、9点差をつけ、勝利が見えてきた。
しかし、トヨタ自動車も最後まで勝利をあきらめず、後半SOに入った文字が37分、ペナルティーゴールを決め、21-15とワンチャンスで逆転可能な点差まで返し、最後の2分間のアタックに賭けた。しかし、NTTコムは15人総力のディフェンスでその2分間のトヨタ自動車の猛攻をしのぎ切り、大事な勝利を手にした。

今年から2プール、2ステージ制にシステムの変わったトップリーグ。1stステージ残り3試合も息の抜けない試合が続く。
(正野雄一郎)

● 記者会見ダイジェスト ●

トヨタ自動車ヴェルブリッツ


廣瀬佳司監督(右)、上野隆太キャプテン

廣瀬佳司監督

「攻撃時間を増やしたかったのですが、プレッシャーを受けてなかなか良いアタックができませんでした。立ち上がりのミスの連発が最後まで響きました。しっかりセットピースからプラン通りゲームを運べたら良かったのですが。後半は敵陣に行けず自陣に釘付けになりました。完敗です」

──後半は?

「前半はほとんどアタックできず、ハーフタイムでは、もう一度アタックを組み立て直そうと言いました。しかし、NTTコムさんがトヨタにボールをなかなか渡してくれませんでした。ブレイクダウンも負けているし、ボールの争奪戦で勝てなかったと思います」

──意外にコムはキックを使ってきたが?

「カウンターを仕掛けてフェイズを重ねたかったのですが、良いキックをされて、こちらのアタックを構築できませんでした」

上野隆太キャプテン

「前半は立ち位置から後手後手になり、特にディフェンスで受けるようになってしまいました。後半、ディフェンスは修正できましたが、エリアが取れず、自陣に釘付けになったのが敗因です。まだ成長途中のチームですので、しっかり練習してレベルアップしていきたいと思います」

──セットプレーに自信あるところでシンビンを取られたが?

「スクラムに関してはシンビンも出ましたが、こっちは良いリードできていて悪くはなかったと思います。後半、もう少しプレッシャーを掛けたかったのですが。ラインアウトはボールタップがうまく行かなかったところがありました」

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス


林雅人監督(右)、友井川拓キャプテン

林雅人監督

「ポイント(勝点)的に後がないうちのチームは、今日勝てないと2ndステージで上位グループに行くのが難しい状況でした。何とか勝とうと臨んで、勝てたことは良かったと思います。しかし、トヨタさんも1ポイント付いて同点になりました。いずれにせよ、これからの試合が重要ですので、しっかり戦っていきたいと思います」

──最後の2分間の敵の猛攻は?

「こういう経験は結構していますが、まったく体に良くない感じでしたね(笑)。レフリーの久保さんにも、去年のヤマハ戦で最後の10分で9個のペナルティを取られていましたから。(その悪夢が)よぎることはなかったですが、とにかく反則をしないようにと指示していました」

──試合直後、目が赤かったようだが?

「ほんと、嬉しかったです(笑)。トップ6に入ろうと言ってきて、まず1stステージの4位以内に入らないと行けないわけですから、9月28日ではあるものの、我々にとっては事実上の決勝戦であると臨みました。いつもと違う1週間を過ごして勝てたことが非常に嬉しいです」

友井川拓キャプテン

「今日も、多くのファンの皆様の声援が背中を押してくれました。この勝利をお届けできて、心から嬉しく思います。スクラム、ラインアウトからプレッシャーを掛け続けたことと、ディフェンスもペナルティがありましたが、我慢できたことが勝因です。次のNTTダービーに向けて、また準備していきたいと思います」

──監督がいつもと違う1週間と述べたが?

「毎試合、毎試合、目の前の試合に全力を尽くそうとしています。トヨタ戦は本当に大一番と選手が理解してくれて、皆でしっかり良い準備できたことがこの結果に結び付いたと思います。本当に気持ちの入った練習ができて、トヨタに勝つんだという声が出ていました」

──最後の場面は?

「ノーペナルティと言っていました。僕だけじゃなく、皆が言ってくれました。3点入れられた後も、相手の陣地深いところで試合しようと言ったのですが、ビッグゲインされて守らなければならない時間帯になってしまいました。それでも、ディフェンスは機能していたので、心配はしていませんでした」

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