セカンドステージ・第1節 グループA マッチサマリー(パナソニック 24-20 ヤマハ発動機)

パナソニック
ワイルドナイツ
パナソニック ワイルドナイツ
24 合計 20
7 前半 7
17 後半 13
4 勝点 1
8 総勝点 4
ヤマハ発動機
ジュビロ
ヤマハ発動機ジュビロ

パナソニック ワイルドナイツ 24-20 ヤマハ発動機ジュビロ

セカンドステージ・第1節 グループA
2013年11月30日(土)14:00キックオフ/埼玉・熊谷スポーツ文化公園(県営熊谷ラグビー場)

ファーストステージでは、共にプールBで第3節に対戦した両チーム。
この時は、試合終了3分前にヤマハが同点に追いつき、ドローとなった。
プールB1位(パナソニック)、2位(ヤマハ)が、セカンドステージ第1節でいきなり対戦する事となった。
熊谷ラグビー場は、この日は快晴で風も弱く、展開ラグビーを予感させる陽気で、4000名弱のお客さまが観戦に訪れた。

試合開始早々、パナソニックは連続してのライン展開で相手ディフェンスを崩そうとするが、ヤマハの執拗なディフェンスにあう。
最初の得点機はヤマハ。
パナソニック陣右中間10M付近でのパナソニックのオフサイドにより、FB五郎丸歩がPGを狙うが僅かに外れ、先制のチャンスを逃す。

パナソニックは、その後のドロップアウトをヤマハ陣内まで蹴り込む。ヤマハがそのボールを蹴り返したところを、パナソニックNo8ホラニ龍コリニアシがキャッチしラックに。前半8分、ラックからのボールをHO堀江翔太からPRホラニ龍シオアペラトゥーと繋ぎ再度ラックに。
ハーフウェイライン中央のポイントから再度、HO堀江-SOベリック・バーンズ-CTBマイケル・ホッブスと左へ繋ぎ、ホッブスが相手裏にショートパントを上げ、最後はWTB山田章仁がそのボールに反応、左中間へ先制トライを挙げた。CTB13大澤のゴールも決まり、7-0に。

その後10分以上、試合が膠着する。
パナソニックは、ヤマハのプレッシャーからかミスが続き、ヤマハもボールに手が付かず得点のチャンスを逃す。
前半21分には、パナソニックがヤマハ陣左中間10M付近でペナルティーを得るが、CTB大澤雅之のキックはゴールポストで跳ね返り、得点には至らず。
一方のヤマハも、27分にパナソニック陣左中間10M付近でのペナルティーをFB五郎丸が外し、得点は変わらず。

次に得点が動いたのは、前半29分。
ヤマハはパナソニックのペナルティーからキックで陣地を進め、パナソニック陣右10M付近でのラインアウトから、モール→ラックとし、素早く左サイドへ展開。
SH小池善行-SO大田尾竜彦と繋ぎ、CTBマレ・サウがカットインして、相手ディフェンダーを引きつけた間に、ブラインドWTB田中渉太がコース良く入りゴール真ん中へトライ。FB五郎丸のゴールも成功し、7-7で前半を終える。

後半に入ると、前半最初のようなオープン展開ではなくお互いにキックを使い、相手陣で勝負を掛けようとする。
後半5分、日本代表欧州遠征から帰国したHO堀江がすばらしいプレーを見せる。
パナソニックは、右中間センターライン付近からオープン攻撃を仕掛け、外側にいた堀江がディフェンスラインをゲインした後、裏へボールを蹴りこんだ。
このボールを、堀江がそのまま確保し、数度サイドをついた後、最後はヤマハ陣左サイドのゴール前から、SHイーリニコラス→HO堀江と繋ぎ、堀江が左サイドのインゴールへボールを運びトライとなる。ゴールキックは失敗し、得点は12-7に。

このトライで活気付いたパナソニックは、この後、11分、15分、25分と、SOバーンズがPGを成功させ、21-7と差を広げた。
この時間帯、試合の流れは完全にパナソニックに傾いていた。

このまま、ずるずるとパナソニックが攻める展開になるかと思われた27分、ヤマハにとって起死回生のトライが生まれる。
ヤマハが自陣ゴール前から右側にタッチに出し、そのボールをパナソニックFLバツベイシオネがクイックスローしたボールを、ヤマハHO16番の加藤圭太がインターセプト。このボールを15ヶ月ぶりに戦列復帰したSH21番矢富勇毅に繋ぎ、最後はFL20番モセ・トゥイアリイが右中間へトライ。ゴールも決まり、21-14となる。このプレーで、今度はヤマハが勢いづき、続く32分、35分と、FB五郎丸が確実にPGを決め、得点は僅か1点差になった。

しかし、この後パナソニックは38分に相手ペナルティーで得たヤマハ陣右中間20MでのPGをSOバーンズが着実に決め、得点差を4点とした。結果としてこの3点が最後の最後にものを言った。
試合終了間際、ヤマハは敵陣でペナルティーを得た。1点差であれば、着実に逆転PGを狙える位置だったが、4点差だった為にタッチキックからのラインアウトで逆転トライを狙った。相手ゴール前のラインアウトからのモールで一気にトライを奪う算段だったが、モールから持ち出したボールをパナソニックに奪われ、最後はタッチキックに蹴り出されて24-20というスコアで試合終了となった。

パナソニックの前半の反則8個を、ヤマハが得点に結び付けられなかった事がこの日のヤマハにとって惜しまれるところだったであろう。
両チームの実力は拮抗しており、セカンドステージは始まったばかりなので今後の両チームの活躍に期待したい。


● 記者会見ダイジェスト ●

ヤマハ発動機ジュビロ

清宮克幸監督

「最後の10分までは自分たちのアタックもできず、パナソニックさんに支配されている試合だったので、この点差で最後の攻防ができたということについては、地力がついてきたのかなと納得はしている。試合についてはコンディションの問題がかなり難しく、特にチームから離れていたメンバーのパフォーマンスは悪かった。ここはしっかりと修正して、それぞれの役割をしっかり果たせるような仕上がりにしていくことが重要だと思う」

──自分たちのアタックができなかったという原因は?

「ゲームの最初のライアウトの失敗や、背後へのキックをうまく使われたりしたこと、スクラムも何本かプレッシャーを受けたし、そういうところではないか。起点となるところが相手の方が少し上回っていた」

──最後の10分に盛り返すことができたのは?

「スクラムハーフについては小池でゲームを作って矢富で点をとるというゲームプランだったが、二人ともしっかりと仕事をしてくれたということだと思う」

──矢富選手のコンディションは?

「戻ってこられたといっても、まだ50%くらいでは? 本来の彼なら、最後のペナルティーはクイックタップで走って逆転トライだったのではないでしょうか。そういう選択をしなかったのは、まだ自信がないということ」

三村勇飛丸キャプテン

「ファーストステージでは引き分けたパナソニックさんが相手だったので、リベンジを誓って戦ったが、自分たちのスタイルを出す時間がほんとうに少なく、結果は残念なものになってしまった。ただ、始まったばかりで下を向いてはいられないので、チーム一丸となって次に臨みたい」


パナソニック ワイルドナイツ

中嶋則文監督

「セカンドステージの開幕戦、まずは、勝てたことは大きかったと思う。ただ、ラストの15分くらい、展開が悪くなったところは、しっかりとチェックして次への準備につなげたい」

──ヤマハの印象は?

「1回対戦しているところから、ボールを動かしてからのキックを多用してきた。私たちは自分たちのプランをしっかり遂行しようと考え、特にヤマハさんだからということではなく、どれだけ自分たちのプレーができるかということにフォーカスを当ててこの一か月準備をしてきた」

──バーンズ選手について。

「エリアもしっかり考えて、チャンスがあればボールを動かして、そういったところの状況判断がとても良いし、チームのこともよく理解してプレーしている。これからさらに、相手チームにとっては難しい存在になるだろうと思う」

──田中選手を控えとした理由は?

「今のところ、バーンズとイーリニコラスのコンビネーションがうまくいっているので。代表から帰ってきたばかりということも考慮した」

──ほかの代表から戻ってきた選手のコンディションは?

「スケジュールがタイトだったことと、時差のことがあるので、様子を見て起用を考えてきた。試合に出たメンバーは厳しい状況にもかかわらずよくやってくれたと思う」

──ピーターセン選手の状態は?

「今の段階では重症ではないと報告を受けている」

堀江翔太キャプテン

「前半はタイトなゲームになるとは考えていたが、最後まで自分たちのミスで苦しんでしまったので、しっかりとしたプレーを心掛けて、反省を次に活かしたい」

──ご自身のトライの場面は?

「スペースが見えていたので、キックは練習していたし自信をもってプレーした。最後は9番からのリードでトライをさせてもらった」

──終了間際のペナルティー、ペナルティーゴールの選択はセオリー通りとの考えから?

「1点差で時間を使うという考えもあったが、スコアを重ねる方を選択した。それについては選手全員の意識がしっかりとその後のプレーに向かっていたので、良かったと思っている」

──1点差の場面の気持ちは?

「それほど焦ることはなかった。さらに攻めようと、みんなも自信を持っていたと思う。最後まで自信をもってディフェンスもできていた」

──バーンズ選手について。

「コミュニケーションもしっかりと取れている。自ら仕掛けていくようなところもあるが、もう少し、敵陣へ入ることを優先してプレー選択をしたほうがいいかなとも思う。自分自身がチームを離れていたということもあるので、これから話をしていこうかと考えている」







マン・オブ・ザ・マッチはパナソニックワイルドナイツ、ベリック・バーンズ選手





(写真提供(クレジット表記のないもの):埼玉県ラグビーフットボール協会)

RELATED NEWS