セカンドステージ・第4節 グループA マッチサマリー(パナソニック 14-12 東芝)

パナソニック
ワイルドナイツ
パナソニック ワイルドナイツ
14 合計 12
8 前半 5
6 後半 7
4 勝点 1
22 総勝点 15
東芝
ブレイブルーパス
東芝ブレイブルーパス

パナソニック ワイルドナイツ 14-12 東芝ブレイブルーパス

セカンドステージ・第4節 グループA
2013年12月22日(日)13:00キックオフ/群馬・太田市運動公園陸上競技場

パナソニック、“不敗の地”で競り勝つ

“野武士軍団”が地元太田で東芝ブレイブルーパスを迎え討ち、僅差で全勝対決を制した。
パナソニックは勝ち点4を得て首位をキープ、三洋時代から続く太田での不敗神話を23勝に伸ばした。
激戦必至の両者の対戦に県内外から4千人を超えるファンが競技場に詰め掛けた。期待通り序盤から激しい攻防が繰り広げられ、迫力ある肉弾戦の一つひとつに悲鳴にも似た大きな歓声が上がった。

前半はパナソニックが落ち着いたゲームプランでじりじりと攻め相手陣で得たPGで先制、21分には20フェイズを超える連続攻撃からこの日ゲームキャプテンを務めた右WTB北川智規が文句なしのトライを決め8-0とリードする。
追いつきたい東芝は38分にラインアウトから得意のモールを押し込みトライ、8-5とスコアを戻し前半を終える。

東芝の本領発揮は後半から。
力強いランナーのタテ攻撃が勢いに乗りはじめ、パナソニックを防戦一方に。会見で和田監督が『余らせてトライをとるイメージはなかった』と語った通り、1人ひとりの前に出る強さで攻め立て、再開早々3分にSOデイビット・ヒルがゴールに飛び込んだ。Gも決まり8-12と東芝が逆転。
その後も、風を味方につけた東芝がパナソニック陣で戦い続け、パナソニックにとって厳しい時間帯が続いた。

しかし、苦しい時こその我慢のディフェンスがパナソニックの真骨頂。粘り強く守り続け、また随所に見られたFW選手によるビッグタックルでこの時間に失点を許さなかったことが結果的に勝利を呼んだ。攻めては怪我で退場したべリック・バーンズに代わってSOに入ったイーリ ニコラスがPGをコツコツと決め33分に再逆転に成功。14-12。
最後は、再々逆転をかけたPGを東芝23番、群馬出身の吉田大樹が慎重に狙うも右にそらしノーサイドとなった。
後半に見せた東芝の攻撃は破壊力充分で、今後対戦があるとすれば依然、脅威となるであろう。

この日は地元企業『メガネのイタガキ』による抽選会や、同じく地元の社会人チアリーダーチーム『Visage(ヴィザージュ)』のパフォーマンス、また花園での全国大会を控える「群馬県ラグビースクール選抜vs東京都ラグビースクール選抜」による壮行試合も行われ、会場を大いに盛り上げた。
(群馬県協会・相澤悦朗)

SH田中選手(中央左)と小川選手(中央右)のマッチアップ

● 記者会見ダイジェスト ●

東芝ブレイブルーパス


和田賢一監督(左)、リーチマイケル キャプテン

和田賢一監督

「前半の戦い方がすべてでした。この敗戦を生かし、次のサントリー戦ではさらにレベルアップした東芝をお見せしたいと思っています。本日はありがとうございました」

──ブレイクダウン(BD)でターンオーバー(TO)されないことをケアしてきたと思うが?

「TOされるということは倒された時に相手に早くコミットされるということです。であれば、ラグビーはコンタクトのスポーツですから純粋に1on1をドライブしよう、接点を押し上げようと臨みました。“余らせてトライを狙う”というイメージはこの試合に限ってはまったく持っていませんでした」

──後半に入ってしばらくBDで優勢が続いたが、1度だけゴール前でTOを許した場面があったが。

「もちろん我々は倒れないプレーを心掛けましたが、意地の張り合いの中でそこを倒したのがパナソニックのスキル。1on1のこだわりの中で彼らが倒し、我々が倒されてしまったということです。フェイズが重なるとどうしてもアタックのストラクチャーは崩れます。キツイ中で2人目3人目がいかに早くコミットできるかが勝負で、あの時間帯ではそれができなかったということです」

リーチマイケル キャプテン

「パナソニックは期待していた通り激しく向かってきてくれました。後半、風が自分たちに有利になって敵陣に入ることができスコアできたことは良かったですが、僕の判断ミスで(ラインアウトからの)モールを選択すべきところでショットを狙い、流れを失ってしまいました。セカンドステージ4戦を戦ってきて東芝はまだ力を発揮できていないので、次の試合までにレベルアップできるよう頑張っていきたいです」

──後半攻め込んだところで相手にTOされたことを振り返って。

「勢いが出ている中で前が空いているのが見えたのでピックして持ち込みましたが、サポートが遅れてしまいました」

──ショットの選択について。

「相手陣地に入って時間が経っていたので何とかスコアしたかったです。位置が端っこだったことと風の影響もあり難しかったです」

抜群の仕事量で勝利に貢献したワイルドナイツの第1列
怪我も癒えて本調子か、東芝のリーチマイケル主将

パナソニック ワイルドナイツ


中嶋則文監督(右)、北川智規ゲームキャプテン

中嶋則文監督

「ファーストステージでは勝利していますが、やはり東芝さんはやりたいことを簡単にはやらせてくれませんでした。途中で怪我(による交代)が多かったにも関わらず、2点差で勝てたことは評価したいです。ここ太田のグラウンドには私たちの勝ち運があると感じました」

──交代でSOに入ったイーリ ニコラス選手について。

「これまでもSOとして練習してきましたし、本人もいつ出番が来てもいいようにしっかりと準備をしてきていたので今日は良いパフォーマンスを出してくれました」

──そのニコラス選手がマン・オブ・ザ・マッチに選ばれたが、監督自身が選ぶとしたら?

「全員にあげたいです(笑)。私たちはゲームプランの中でタイトファイブの選手たちの仕事量を重視していて、サントリー戦でも高いワークレートを見せてくれていました。その意味ではHOの設楽やPRの選手にあげたいです。今日の試合でも風の強い中、セットプレーを安定させてくれました」

──前節でサントリーを相手にいい勝ち方をしたが、1週間どのように過ごしたか。

「選手自身がよく理解してくれていましたが、先週の勝ちを忘れて東芝戦に向けてどれだけいいチームづくりをするかということに取り組んできました。前半はしっかりできていたと思うが、後半の入りの場面で集中を欠いた部分がありました。一瞬でも隙を見せると東芝さんは怖いチーム。80分間集中し続けることが必要でした」

──スクラムを押し込みました。

「セットプレーの強い東芝さんにその強みを出させなかったことは“効いた”と思います。TOの後のプレーについて選手たちが普段のプランと違う選択をしていたところがあったので、そこは話し合って修正したいです」

──ヒーナン選手とバーンズ選手の状態は。

「ゲームを続けることはできませんでしたが、1週間もあればピッチに戻れる程度の怪我と思います」

北川智規ゲームキャプテン

「前半は自分たちのペースでできたと思いますが、後半最初のキックオフからウチが受けてしまったところがあって東芝さんを乗せてしまいました。前半で“いける”とどこかで思ってしまった後の戦い方の重要性を選手はしっかりわかったと思います。そこを残りの試合に繋げていきたいです」

──後半、向かい風に変わって戦いにくかったか?

「自陣から脱出しにくかったです。低いボールを蹴っても向かい風で浮いてしまい、背走させるキックも難しかった。滞空時間が長くなってノーバウンドでキャッチされてカウンター攻撃を受けたり、エリア争いで風が東芝さんに有利に向いたと感じました。
とにかく自陣でやりすぎました。“回せ”と指示をしましたがそこで有効なプレー選択ができず、自陣でペナルティを犯すことが多かったです。そういったゲームプランを全員が共有できるようじっくりやっていきたいです」

伸長著しい東芝のルーキー小川高廣均選手
80分間通して仕事人ぶりを見せた東芝、大野均選手

第3列並の機動力に加えスクラムも安定してきたパナソニックのシオアペラトゥー選手
マン・オブ・ザ・マッチに選ばれたパナソニック ワイルドナイツ、イーリ選手にはメガネのイタガキより記念品のサングラス

群馬県RS選抜 vs 東京都RS選抜
チアリーダーチーム『Visage(ヴィザージュ)』

(写真提供:上毛新聞社)

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