セカンドステージ・第5節 グループA マッチサマリー(東芝 29-30 サントリー)

東芝
ブレイブルーパス
東芝ブレイブルーパス
29 合計 30
16 前半 14
13 後半 16
1 勝点 4
16 総勝点 23
サントリー
サンゴリアス
サントリーサンゴリアス

東芝ブレイブルーパス 29-30 サントリーサンゴリアス

セカンドステージ・第5節 グループA
2014年1月5日(日)13:00キックオフ/東京・味の素スタジアム

元日から続いた穏やかな日々からうってかわって、曇天、寒風吹きすさぶ天候となった。毎シーズン恒例、厳しい戦いが繰り広げられる味スタでの府中ダービーマッチ。両チームともプレーオフトーナメント出場のためには負けられない。今年も期待に違わぬ、寒風を吹き飛ばす熱い戦いとなった。

先制したのは東芝ブレイブルーパス。CTBリチャード・カフイが大きく前進してできた密集からの連続攻撃で、サントリーサンゴリアスがたまらずオフサイド。今シーズンひときわ輝く東芝の新人SH小川高廣が2分PGを決める。8分にも続けてサントリーのミスからもらったPGを決めて6-0。東芝は幸先の良いスタートをきるが、この間、5分にFLリーチマイケル主将が出血により一時退場。同時に頭も打っており、結局負傷交替となりゲームに戻ることができなかった。東芝にとっては非常に痛い。

10分、今度は東芝陣深く入った左東芝ボールのラインアウト、SHのパスをサントリーFLジョージ・スミスが技ありのインターセプト。そのままゴールに駆け込みトライ。ゴールも決まって6-7とあっさり逆転する。この後もサントリーが東芝ゴール前でブレイクダウンを連取、東芝も粘り強くディフェンスするが、18分SO小野晃征がパスダミーから切れ込んでポスト下にサントリー連続トライ。ゴール決まって6-14とリードをひろげる。

東芝も黙っていない。WTB宇薄岳央のロングゲインでサントリー陣奥深く攻め込み、一旦はハンドリングミスでボールを失うが、サントリーもミスでピンチを脱出できず。ゴール前スクラムから左展開で29分WTB宇薄が左隅にトライ。SH小川が左端からの難しいゴールを決めて13-14と肉薄。この後サントリーが連続攻撃を繰り広げるが、CTBカフイをはじめとした厳しいタックルでしのぎ、切り返す。38分、左中間30m強のPGを東芝SH小川がきっちりと決めて16-14と逆転して、東芝リードで前半を終える。ただ、終了間際東芝は16フェイズ、約2分間サントリーゴール前で攻め続けたが得点に結びつけることができなかった。

後半も東芝があっさりと先制する。ブレイクダウンでサントリーがオーバーザトップ。ほぼ正面、約45mのPGを2分東芝SH小川が決めて、19-14とリードをひろげた。

直後の4分東芝ゴール前、今度はサントリーSO小野からパスを受けたFL佐々木隆道がゴールへ走りこんでトライ。ゴールも決まって19-21と逆転する。ここからしばらくサントリーの時間が続き、東芝はブレイクダウンで反則を犯してしまう。この機に11分、13分とサントリーCTBニコラスライアンがPGを決めて、19-27とリードをひろげる。

ここで東芝は元気印20番スティーブン・ベイツを投入、ブレイクダウンを優位にすすめたい。目論見どおりか、サントリーが密集で反則。16分、ここでも東芝SH小川が約30mほぼ正面のPGを決めて、22-27とする。そして、25分、サントリー陣22m左ラインアウトモールから連続展開し、東芝21番大島脩平が右隅になだれ込んでトライ、27-27の同点。右隅からの難しいゴールをSH小川がまたまた決めて29-27と逆転する。

しかしながら、32分。この日押しつ押されつほぼ互角に組んでいたスクラムで、東芝がコラプシングをしてしまう。左中間約40mのPGをCTBニコラスが決めて29-30と再逆転する。

見せ場は80分を告げるホーンが鳴った後にも待っていた。ハーフウェイライン中央わずかに東芝陣に入ったところでサントリーが反則を犯す。ここで東芝No.8望月雄太ゲームキャプテンは迷わずショットを選択。この日左右端からの難しいものを含めて7本のゴールキックを全て成功させているSH小川に勝利を託す。タッチフラッグを見た限りではやや風上か。しかし東芝の祈りをのせて蹴ったキックは残念ながらバーのわずか下を通過。得点できず。29-30、最少得点差でサントリーが勝利した。

サントリー大久保監督の試合後のコメントにもあったように、どちらが勝ってもおかしくない試合。ブレイクダウンの攻防、展開時の東芝カフイ、サントリー平の攻防に代表されるアタック、ディフェンスともどちらも力を出し切った。
ただ、東芝はこの敗戦により5位となり、ベスト4生き残りに向けて残り2試合のヤマハ発動機、神戸製鋼との直接対決に必勝態勢でのぞまなければならない。

マン・オブ・ザ・マッチはブレイクダウンで激しく仕事をし続けたサントリー主将真壁伸弥選手。
(澤村 豊)


● 記者会見ダイジェスト ●

東芝ブレイブルーパス


和田賢一監督(右)、望月雄太バイスキャプテン

和田賢一監督

「府中ダービーということで、関係の皆様の開催に向けてのご尽力に感謝申し上げます。結果は残念です。1点差の負けということで、ちょっとした継続する上でのミスが敗因につながったと思います。ただ、東芝のアタックの良いところもディフェンスで止めるところもありましたので、次節に向けて頑張っていきたいと思います」

──どういう点にフォーカスしてきたのか?

「フィジカル、スタンディングを合い言葉に、接点を前に持っていこうとしました。ラグビーという競技は接点を前に持っていくことで間違いなくスペースが空きます。逆に言えば、継続できなかったので、スペースが取れなかったということです」

──前半の最後はフェイズを重ねても獲れなかったが?

「アタックの方向がバラバラでした。順目に走らず、ショートサイドを突いていたので、得点できませんでした」

──コンタクトでボールを取られてもいたが?

「倒れず、立って繋ぐプレーをしたかったのですが、逆に言うと、こちらの二人目、三人目のコミットが遅れてしまったせいです」

望月雄太バイスキャプテン

「本日はありがとうございました。今日の試合は、正直、自分でやっていても勝てると思った試合だっただけに悔しいです。1点、足りなかったこと、勝つためにはあと2点しっかり取れるよう、もう一度チーム一丸となって、次戦、次々戦しっかり勝って次につなげたいと思います」

──相手にボールを取られる場面もあったが?

「ブレイクダウンのところで、わりとギリギリのプレー、例えば、僕らのマイボールキープしているところで、寝ている選手が絡みついていることが見られました。アタックに人数を掛けたいので、最少人数で出したいところでうまく行きませんでした。ボールのプレゼンテーションもうまくいかなかったので、もう少し修正したいと思います」

──最後の小川選手のPGの場面は?

「時間帯、サントリーさんのディフェンス力を考え、小川のキック力はうちでナンバー1ですので、彼なら決める自信があったし、迷わず彼に託した結果です。外れましたが、チームの総意です。別に変えるつもりもないし、信じるところを信じて、やりきる選択でした」


サントリーサンゴリアス


大久保直弥監督(右)、真壁伸弥キャプテン

大久保直弥監督

「ちょっとまだ、胃が痛いんです(笑)。最後、僕は(小川選手のPGが)入ったと思いました。50cm上なら、僕らは敗者で、東芝さんが勝者でした。こういうワンチャンスで勝敗が分かれるゲームはこれからも続くと思います。僕らはアタックのチームですが、一瞬、一瞬に誠意を傾けられるかどうかが成長に必要だと感じました。どちらが勝ってもおかしくないゲームで、僕らがラッキーだったと思います」

──どの様な意識で臨んだのか?

「ゲームの中でボールが動くスピードが、東芝さんはスローにしようとして、僕らはスローにすると苦しくなるので、ゲインラインを上げることを意識して臨みました。その意識は、今日、わりとボールキャリアーやサポートに出ていて、以前より改善されてきていると感じました」

真壁伸弥キャプテン

「お疲れ様です。今、すごく嬉しいです。印象に残ったのは、東芝さんのキッカーの小川選手の負けたときの顔です。すごく悔しい気持ちが表れていました。次が怖いです。次戦に向けてしっかり準備したいと思います」

──どんな顔だったのか?

「単純に悔しさだったのだと思います。ペナルティーキックで向こうの勝ちが見えていて、悔しさがあふれていました」

──ボールをもぎってターンオーバーしていたが?

「東芝さんは繋いでくるので、最初は一人が下に入って、そこに(佐々木)隆道さんやジョージ(スミス)が入って、そういうシチュエーションでボールが取れたのだと思います」

──オーバー・ザ・トップの反則を数多く取られていたが?

「そのうち、二つは僕です(苦笑)。下を向いてボールを守ろうとしましたが、自分が通り過ぎないといけません。立っていても、下を向いていたら反則を取られます」

──部内A、Bマッチの成果が表れたのか?

「はい。個人的にはヒイヒイ言っていますが(笑)。Bチームが継続してアタックしてくるので、どうするか、身体が覚えています。近場がすごいです。そこでファイトしないとゲームに出られませんので」









マン・オブ・ザ・マッチはサントリーサンゴリアス、真壁伸弥キャプテン

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