「ワイルドカードトーナメント 2回戦」マッチサマリー(トヨタ自動車 18-3 近鉄)
ワイルドカードトーナメント 2回戦 第51回日本ラグビーフットボール選手権大会の出場をかけたワイルドカードトーナメントもいよいよ最終戦。1回戦でリコーを破ったトヨタ自動車と上位チームであるグループAのキヤノンを破った近鉄との争い。関西地区で古くから幾度となく死闘を演じてきた両チームは、新方式となったジャパンラグビートップリーグ2013-2014では対戦がなく、今季初めての対決となる。昨夜からおよそ10年ぶりにピッチに降り積もっていた雪も小雨に変わり、肌を刺すような寒さにも関わらずスタンドに陣取る2,000人を超える両チーム応援団の必死の声援を受けて、トヨタ自動車SO文字のキックオフで開始された。 前半開始直後はこう着状態。両チームとも足場の悪い中でも積極的にパスを展開して相手陣に攻め込むが、特に近鉄はエリアの大部分を支配していたにも関わらず肝心な場面で濡れたボールが手につかず、ハンドリングエラーや相手FWによるターンオーバーで得点できない。 後半、風上に立ったトヨタ自動車はSO文字やFBイェーツの精度の高いキックを有効に活用して、徐々にゲームを支配し始める。 この試合で近鉄は2013年度のシーズンを終了したが、2ndステージ以降好調を維持して上位チームとも接戦を繰り返した。2014年度はさらに精度を向上して、上位進出を目指してほしい。一方のトヨタ自動車は日本選手権1回戦では大学チャンピオン帝京大学と対戦するが、この日のゲームのような強固なディフェンスでトップリーグチームの力を見せつけたい。 ● 記者会見ダイジェスト ●
近鉄ライナーズ 前田隆介監督 「今年もここで跳ね返された結果になりました。年間を通じて温かい声援を頂いたファンの方々に改めてお礼を申し上げたいです。1シーズン身体を張り続けてくれた選手にお礼を言いたいし感謝しています。試合は前半からテリトリーをしっかり押さえていましたが、なかなかボールをスコアゾーンで継続できず、ブレイクダウンで終始プレッシャーを受けて我々の流れでボールを動かすことができませんでした。今日は負けましたが、ゲームに関してと、このシーズンをしっかり振り返ることと、一年間頑張ってくれた選手達と支えてくれたスタッフの皆さんにお礼の思いをしっかり伝えて、完全終了までしっかりやって行きたいです。本日は本当に有難うございました」 森田尚希ゲームキャプテン 「シーズンが終わった実感はありませんが、ここ数年日本選手権出場手前で悔しい思いをしています。今日のトヨタ自動車戦に向けて一週間いい練習をして、自信を持って試合に臨みました。前半、風上スタートでエリアも獲れて相手陣でできたが自分達のミスで、相手は風下のリードで折り返し、後半は相手のリズムにしてしまった印象です。しっかり準備をしてきた自分達の実力を出し切ることができず、点差以上に悔しい試合でした。今日でシーズンは終了しますが、しっかり来シーズンに向けてブレイクの間、各自が準備していきたいと思います」 ──ブレイクダウンでトヨタ自動車は想像以上に強かったか? 前田監督 「ファイトしたトヨタ自動車は良かったと思いますが、我々からするとアングルだったり、ゲートだったりがクリアになっていなかったと思います。ラインアウトもそうですが、選手達は戸惑っていました。やり合いになって最後はトンプソン(ルーク)がイエローカードをもらった状況になりました。前半からレフリーがしっかり笛を吹いていてくれていたら、もっとクリーンなゲームになったと思う。そこに、どこでも人数をかけてファイトしたトヨタ自動車と我々は受けてしまったことです」 ──雪が積もったグラウンドは本拠地近鉄でもなかったのでは? 森田ゲームキャプテン 「朝は真っ白だったので、(除雪で)ここまでになれば精神的にも花園はやりやすい良いグラウンドですし関係なく試合ができました」 前田監督 「キックオフまでの間、雪かきをしてくれた皆さんに感謝しています。朝はラインだけだったのですが、いいグラウンドで水捌けの良いグラウンドですので、悪いコンディションでなかったと思います」 ──重光選手の体調は厳しくなかったか? 前田監督 「脳振盪したゲームの次の試合は休ませましたが、本人の意思はあったが休ませました。次の試合でキックを決めています。今日は足場と足のステップとの部分でちょっと狂いがあったと思います。入るも入らないもこれがラグビーだと思います。 ──シーズンを通じての課題は? 前田監督 「詰めの甘さです。もっとトライは獲れるところで自らボールを放し、戦い方もキックでバランス良くすればもっと楽に試合が運べました。自陣からもしっかり継続するプランを持っていますが実際の状況と判断との境目で上手く我々の流れに乗れなかったと思います」 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 廣瀬佳司監督 「本日は有難うございました。何とか近鉄に勝って日本選手権出場を決める思いで臨みました。このコンディションで堅いゲームになりましたが、良くディフェンスもしてくれましたし、オーバーも沢山してくれました。厳しいプレーでトヨタ自動車らしいゲームに満足しています。次は学生でどちらになるか判りませんが、トップリーグの代表としてしっかり戦いたいと思います」 上野隆太キャプテン 「雪が積もっている中で、協会の方々と多くの人達にグラウンドを整備してもらい有難うございました。この様なコンディションでミスはお互いにあったがしっかりしたディフェンスで守り切れて良かったです。アタック面はボールを動かし敵陣では粘り強く攻撃したかったですが、この様なコンディションで仕方がなかったと思います。次は帝京大か早稲田大ですが、学生の壁をなくしてしっかり準備して良いゲームをしたい」 ──風下の前半からのキックはプラン通りですか? 廣瀬監督 「もう少しボールをキープして行くべきだと思います。前半途中、上から指示を出しましたが、グラウンドレベルでは裏が空いているとかは現場判断でしたので、本来ならボールをキープしてFW近辺のパワープレーで臨んでほしかった」 ──ゴール前ピンチでスクラムを7名で凌いだが、心掛けたことは? 上野キャプテン 「押してくると思っていました。7名が集まって低く組むことと勝負どころで声をかけて、しっかり方向性を示せました」 ──途中から再出場となったが・・・。 上野キャプテン 「準備はしていたので、大丈夫でした(笑)」 ──シーズン後半に良い勝ち方をしているが、良くなったところは? 廣瀬監督 「ウインドウマンス明けに4連敗しても悲観的になっていませんでした。ゲームのあやのところでの勝負が(勝敗を)分けていたので、これはチーム力でチームとしては何も変えるのではなく、春から取り組みを徹底してゲームに出せるようになったということです。再徹底してブレることなくやってくれたことです」 上野キャプテン 「やることは変えていません。ウインドウマンス明けから4試合負けて、相手もトップ4で強かったですが、年明けから自分達のラグビーが試合中にできて、自信に繋がって勝つことができました」 ──大学生と試合をするときに気をつけることは? 廣瀬監督 「僕も経験しているのでがやりづらいです(笑)。トップリーグと同じようにプロセスを持ってしっかり戦いたいです。難しいところもあります。観客も同じ様に期待するし、レフリーも難しいところもあると思います。会場は秩父宮ということで、みんな受け入れてやります。早稲田大に負けた現役も残っていますので、頑張ってくれると思います」 ──文字選手を起用していますが一番良いところは? 廣瀬監督 「リーダーシップが出てきました。自分でゲームコントロールしなくてはいけませんので、練習中でもやっています。まだまだスキル面では物足りないが、チームのいい存在感になっています」 |