「プレーオフトーナメント ファイナル」マッチサマリー(パナソニック 45-22 サントリー)
パナソニック ワイルドナイツ 45-22 サントリーサンゴリアス プレーオフトーナメント ファイナル パナソニック、三洋電機時代(2011年)以来3季ぶり2回目の優勝 首都圏では45年ぶりの大雪の影響により延期となったプレーオフトーナメントファイナルは、予定より2日遅れの2月11日(火・祝)に雪の残る秩父宮ラグビー場で行われた。試合は、今季の好調をそのままにパナソニック ワイルドナイツが最終スコア45 - 22で勝利、三洋電機時代以来3季ぶり2回目の優勝を果たし、サントリーサンゴリアスの3連覇はならなかった。 前半、先制したのはパナソニックだった。5分、自陣10m付近に出来たラックから左に大きく展開しゲイン、その後攻撃を継続しフェーズを重ね、最後はサントリー陣22m付近に出来たラックサイドにWTB山田章仁(プレーオフトーナメントMVP)が走りこみボールを受け、最後まで走りきりトライをあげた(ゴール成功7-0)。 サントリーもすぐに取り返す。9分パナソニック陣22m上のスクラムでサントリーが反則。パナソニックSH田中史朗のクイックアタックからCTB林泰基とつなぐも、ブレイクダウンからサントリーFLジョージ・スミスがジャッカルしターンオーバー、最後はLO真壁伸弥(主将)につないでトライ(ゴール失敗7-5)。 その後、14分にはサントリーSHフーリー・デュプレアがトライ(ゴール成功7-12)を上げ逆転するが、21分、24分、31分にはパナソニックのSOベリック・バーンズがPGを決め(16-12)再逆転。36分には、サントリーFB有賀剛がトライ(ゴール成功16-19)を決め、一進一退の攻防はサントリーのリードで前半を終了した。 後半、先制したのはパナソニック。9分サントリーのドロップアウトから再開のボールをパナソニックがアタック。ラックから出たボールを受けたSOバーンズがパスダミーで自らキャリーしゲイン、出来たラックから出たボールをNO8ホラニ龍コリニアシが縦をつき、走りこんだWTB山田につなぎ中央にトライ(ゴール成功23-19)となった。 その後11分、パナソニックに大きく試合の流れを呼び込むビックプレーが出る。サントリー陣10m付近のラックから出たボールをキャリーしたサントリーFLスミスをパナソニックHO堀江翔太(主将)が仰向けに押し返すナイスタックル。サントリーのオフサイドも誘い、得たPGを13分にSOバーンズが決め(26-19)サントリーをつきはなした。試合後の記者会見でもパナソニックの中嶋則文監督、北川智規副将ともに勝負を分けたこのプレーを賛辞していたが、主将が自ら体を張ったこのプレーでパナソニックは落ち着きを取り戻した。 その後、互いに3本のPG(パナソニック)と1本のPG(サントリー)を決め35-22となるが、サントリー陣での攻防が長く続いた。37分サントリーゴール前10m付近のサントリーボールスクラムをパナソニックがプッシュしてターンオーバー、出たボールをパナソニックSOバーンズがインゴールにキックパス、直前でFB笹倉に替わりFBに入った三宅敬が押さえてトライ(ゴール成功42-22)となり勝負が決した。(最終スコア45-22) 今季のパナソニックは、ブレイクダウンに人数をかけず15人がリバイブしてボールを奪取。アタックでは個々が接点で前に出て攻撃を継続、ハーフ団の好判断でチャンスを作り、トライまでもっていく。後半、本来のゲームプラン通りの試合運びに持ち込んだパナソニックがトップリーグでの優勝を決めた。これから始まる日本選手権でも今季の強さを発揮し完全勝利を果たすか、試合後「日本選手権では、とりかえしたい」(サントリー 真壁主将)との言葉にあるように他チームが待ったをかけるか。日本選手権も熱い戦いが期待出来そうだ。 ● 記者会見ダイジェスト ●
サントリーサンゴリアス 大久保直弥監督(右)、真壁伸弥キャプテン 大久保直弥監督 「寒い中、雪で順延した試合でしたが、関係者の方々がこの舞台を作っていただき感謝しています。最高の舞台で最高の相手とプレーできるという大きなチャレンジでしたが、私の力不足で勝てませんでした。パナソニックさんの集中力は素晴らしく、後半のサントリーは、ボールを持っていないことが多く、消化不良でした。パナソニックさんの優勝を率直に祝福したいと思います」 ──リーグ戦で戦っている相手に対し、戦い方に変更はあったか? 「戦い方はあまり変えていませんが、前半の入りに加えてブレイクダウンでの人数や真ん中でのプレーを意識して臨みました。しかし、特に後半フィジカルで差し込まれ、思うようなプレーができませんでした」 ──どこを中心に攻めようとしたのか? 「ラック周辺の0チャンネルから1チャンネルのスペースを意識しました。相手の選手を寄せてスペースを作り、そこをバックスで攻めるようにしました。前半は上手くいったのですが、後半はそうはいきませんでした」 ──後半、相手に得点を重ねられたのは疲れによるものか? 「疲れがあったとは思わないが、ペナルティのときに修正がうまくできていなかったと思います」 ──日本選手権4連覇に向けては? 「リベンジとは考えず、新たにトロフィーを取りに行く気持ちでやっていきたい」 真壁伸弥キャプテン 「今年のパナソニックさんは良いチームで、チャレンジしましたが一歩及びませんでした。もっとアタックしたかったです。日本選手権では、サントリーらしいプレーをパナソニックさんに見せたい」 ──後半、相手と7点差であったところでペナルティゴールを選択した理由は? 「相手との点差を詰めたかったためペナルティゴールを選択しました」 ──密集やその周辺での反則が多かった理由は? 「レフリーともっとコミュニケーションをとるべきでした。自分達で判断しすぎてしまいました」 ──前半は少ないフェーズでトライが取れ、後半はフェーズを重ねたがトライを取れなかった理由は? 「単純なミスと相手のプレッシャーによるものです」 パナソニック ワイルドナイツ 中嶋則文監督(右)、北川智規バイスキャプテン 中嶋則文監督 「本日はありがとうございます。キャプテンの堀江翔太が秩父宮からオーストラリアへ直接向かわなければならないので、記者会見には北川智規副将が出席させていただきます。試合については、前半、思うように進められなくて、慌てているところがあったと思います。ハーフタイムに『自分たちのラグビーをやろう』と指示し、後半は修正できました。試合に出る選手だけでなく、45人の部員全員が自分たちのやるべきことについて、共通の認識を持つことができたことが、優勝に結び付いたと思います」 ──サントリーはリーグ戦での結果を踏まえてラック周辺でのプレーに賭けてきたと思うが、これへの対応は? 「サントリーがどう攻めてくるかに関わらず、自分たちのディフェンスシステムを遂行しようと考えていました。ただし、人数をかけなくていいところに人数をかけ過ぎてオーバーラップされたところはあったと思います」 ──ハーフタイムには具体的にどういう指示を出しましたか? 「『フィフティ・フィフティでの無理なパスをせずにボールを継続しよう。敵陣でボールを運べば、得点のチャンスはやってくる』と言いました」 ──ゲームの中ではどのあたりで優勝を確信できましたか? 「後半11分の堀江がジョージ・スミスを止めたディフェンスが大きかったと思います」 ──今季のトップリーグ優勝を勝ち取った感想と、次に控える日本選手権への抱負は? 「トップ4のチームはいずれも油断できない相手です。自分たちのプレーに自信を持ってやろうと臨みました。セミファイナルの東芝戦で自信がつきました。運よく勝てたけれど実力差はありません。日本選手権には堀江翔太と田中史朗は、スーパーラグビーのため出場は難しいと思いますが、チームとしての勢いが出てきているし、また、堀江・田中の控えの選手も戦力が落ちるとは思いません」 ──SOバーンズのゴールキックがよく決まり、今日の勝利の大きな要因となったが? 「ゴールを狙えるところは狙っていこう、と、全員が『ここはショット』という同じ意識で臨めました。FWのブレイクダウンでの頑張りも大きかった」 ──最後はスクラムでのターン・オーバーでノーサイドとなりましたが? 「最後まで全員が集中して気を抜かなかった表れだと思います」 ──2011年、三洋としての最後の年に優勝しましたが、その後、トニー・ブラウンが抜け、また、堀江・田中の2人のキープレーヤーをスーパーラグビーに送り出し、厳しい年を経ての優勝ですが、これについての感想は? 「3年間でようやく結果が出せました。田中も堀江もスーパーラグビーとの兼ね合いで今日の試合への出場が微妙だったが、先方との交渉の結果、やっとベストメンバーで戦えたことがよかった」 北川智規バイスキャプテン 「前半、やろうとしていたラグビーができず、ゴールを背負ってのプレーが続きましたが、FWのいい仕事により相手にプレッシャーをかけるいいプレーで、ターン・オーバーすることができ、敵陣に入ってペナルティで得点を重ねることができました。今日は勝ててうれしいです」 ──ゲームの中ではどのあたりで優勝を確信できましたか? 「後半11分の堀江のビッグタックルです。あのプレーでFWが一つになったと思います」 ──リーグ戦からチームとして上乗せできたものはなんだと思いますか? 「他のチームと実力差があったわけではありません。今日はFWの選手が頑張ってブレイクダウンで勝っていた。細かいことを積み重ねて勝ちにつなげることができたと思います。チーム全員で勝った感じがします」 |