ファーストステージ第3節 マッチサマリー(サントリー 20-17 キヤノン)
ファーストステージ・第3節 プールB ジャパンラグビー トップリーグ第3節、9月5日(金)秩父宮ラグビー場のナイターはプールB2位で2戦勝利をあげているが勝点4ずつでボーナスポイントを奪えずになかなか波に乗れないサントリーサンゴリアスと、プールB3位で第1節こそトヨタ自動車ヴェルブリッツに負けはしたものの、第2節はリコーを相手に4トライ以上のボーナスポイントも取って勝ち、この試合も勝って波に乗りたいキヤノンイーグルスとの一戦。 前半のキックオフはサントリー。 2分、キヤノンのノットロールアウェイのペナルティーでサントリーはPGを選択し、中央35mから10番SOピシ選手が決めて先制した3-0。 5分、今度はサントリーのペナルティーにキヤノンもPGで応戦、15m中央から12番CTBの三友選手が決めてすかさず同点 3-3。 21分、キヤノンのオーバーザトップのペナルティーにサントリーはPGを15m右寄りから10番SOピシ選手が決めて6-3。 30分、キヤノンは6番FLトムソン選手がシンビンで14人になった。 31分、サントリーNo.8バーガー選手の縦突破から5番LO真壁選手が作った密集から出た球をもらった3番PR畠山選手が左側へこの試合初トライを挙げた。10番SOピシ選手がGを決めて13-3。 34分、キヤノン22m内側で7人のスクラムで押されながらもNo.8菊谷選手が右サイドへ持ち出し、ラックから9番SH福居選手がパスダミーから抜け出して中央へトライ、12番CTB三友選手がGを決めて離されずに13-10で前半を終了。 後半はキヤノンのキックオフ。 4分、22m中央のラックから出た球を10番SOブルース選手が右サイドにいた6番FLトムソン選手へキックパス。見事にキャッチして中央へ回り込んでトライをあげて逆転した。トライ後のGも12番CTB三友選手がキッチリ決めて13-17。 32分、両チームともに決め手を欠いてなかなか点を取れなかったが、キヤノンが24分に反則の繰り返しによるシンビンで1人足りない時間帯、サントリーはゴール前5mでペナルティをもらい、スクラムを選択し、No.8バーガー選手が自らスクラムサイドをついてトライをあげて再逆転した。10番ピシ選手がGも決めて20-17。 36分、キヤノンがサントリー陣地へ攻め込んでゴール前へグラバーキックで14番WTB和田選手を走らせタッチダウン、トライに見えたが、TMO(テレビジョンマッチオフィシャル)の判定はインゴールノックオンで再々逆転は幻となってノーサイドになった。 マン・オブ・ザ・マッチは攻撃の起点となり、献身的なタックル、常にワールドクラスの動きで相手を圧倒し再逆転のトライをあげたNo.8スカルク・バーガー選手に贈られた。 負けたキヤノンは随所でサントリーを上回り逆転もしたが、シンビンによる2回の一時的退出者とラインアウトの精度を欠き、勝っていた試合を落としてしまった。ただ着実に上位のチームとの得点差は縮まっているだけに修正点を直して次の試合に臨みたい。 勝ったサントリーは若手を使いながらの試合運びでミスも多くなかなかトライを奪えずに引き離すことができなかったが、試合の要所でのベテランの働きで勝利を手繰り寄せた。次の試合ではボーナスポイントも含めて取ってすっきりと勝ちたいところ。 ● 記者会見ダイジェスト ●
キヤノンイーグルス 永友監督(右)、和田キャプテン 永友洋司監督 「今日は関係者の皆様、ありがとうございました。今までサントリーさん相手に取れなかったポイントを取れました。ポジティブに捉え、次の試合に向けてやっていきたいと思います」 ──できたところと、そうでないところは? 「セットピースからのアタック、そこは相手の上へ行けるかなと考えていました。実際、セットピースからのトライも獲れましたし、分析どおり選手が作戦を遂行してくれました」 ──トムソン選手の交代は? 「予定どおりです。残り時間も考えて、あのタイミングでした」 ──ディフェンスは? 「相手のミスに助けられました。ディフェンスラインはよくはなったと思いますが、ブレイクされそうになるケースがありました。ある程度は想定内でしたが、選手は短い間に、良くトライしてくれました。ボールには二人目、三人目の判断ですが、その中でもシンビンが出て、モールとブレイクダウンでエリア内でのペナルティが出たのはコーチングが足りないと思います」 和田拓キャプテン 「こんばんは。今日は80分通してディフェンスで我慢しようと臨みましたが、勝負どころでサントリーさんの強さに押し切られました。もっと練習して良い試合にしていきたいと思います」 ──試合の入りで、キヤノンはショットを狙わなかったが? 「そうですね。3点狙えるところは取って行こうと考えていましたが、あの場面ではキッカーの三友さんと話して、タッチを狙いました。実際、強気でできたと思いますし、常にポジティブにいこうというチームの雰囲気がありました」 ──勝負所でキャプテンのプレーのTMOがあったが? 「結果的に、僕のノックオンで試合が決まりました。冷静に処理していれば勝った試合でした。ノックオンしたことは、すぐに分かりました。勝利につなげられるプレーをしていきたいと思います。僕らは、あの時間、我慢してディフェンスしていました。サントリーさんはしっかりトライを獲ってくる、強いチームです」 ──毎年、差は縮まっているが? 「サントリーさん相手だけではなく、この2試合、リアクションスピードが上がって、チーム全体の運動量が上がっています。トップリーグのサントリー戦で、こういうところに向かっていこうという強いメンタリティも出てきています」 サントリーサンゴリアス 大久保監督(右)、小野バイスキャプテン 大久保直弥監督 「今日は大変ありがとうございました。率直に言って、良く勝ったな、というゲームでした。チームとして、いきなり良くなるとは思えないので、僕らももう少しポイントを絞って教えていかないと。経験の少ない選手が多いので、次に向けてもっとシンプルに伝えていきたいと思います。キヤノンさんとは、明日、もう1試合府中でやりますので、今日以外のメンバーにやってもらおうと思います。少しずつは良くなってはいます」 ──ブレイクダウンで二人目、三人目が十分行けていたか? 「おっしゃるとおり、ゲインラインを何とか取れたところで、何度もターンオーバーされています。一人一人が人任せにしています。もっとボールを継続する意識を持たないと。何人か、ボールが出る前提でプレーしています」 ──バーガー選手は? 「ゲームを読むと言いますか、どこがゲームの肝か分かっているなあと思いました」 ──先週は佐々木選手がナンバー8だったが? 「縦のラインの8、9、10、15番はチームの軸であり、ちょっとピシ選手のところもそうだが、チームで模索している状態です。メンバーが入れ替わって、サントリーのアタックをつくっていく中で、スカルクにどこでボールを渡すと彼の力を最大限に生かせるか、ゲームをやっていかないと分かりません。ある程度の時間がかかるので、我慢強さも必要です。彼は先週も16回、ボールに触っている選手です。チームにとって何が良いか、見極めていきたいです」 ──苦しい展開でもリザーブをドンドン入れたが? 「本当に戦力と見て入れました。例えば、小澤選手もフッカーとしての経験は少ないし、鈴木選手の広さ、精度の高いスローとスクラムワークがあるけれど、青木選手の穴を埋めるのには物足りないのは事実です。良いところを伸ばしていきたいですが、100回練習やるより、あのプレッシャーの中でやるのが若手の肥やしになります。躊躇しないで、一番良いスクラムを金井選手と鈴木選手で作ってほしいと入れました」 小野晃征バイスキャプテン 「開幕から3試合、あまり得点が取れない試合が続いていますが、勝てている。その理由は、キーのポジションに経験ある選手がいるからです。でも、チャンピオンシップを取れるかというと、まだまだです。シニアの選手が頑張らないと取れません」 ──スカルク・バーガー選手は? 「やっぱりワールドクラスです。キーの時間帯で、そういうプレーをしてくれています」 ──どのあたりが良くなってきたか? 「まあ、セットピースとブレイクダウンですかね。ボールをキープできないとサントリーのゲームを作れません」 マン・オブ・ザ・マッチはサントリーサンゴリアスNo.8スカルク・バーガー選手
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