ファーストステージ第3節 マッチサマリー(ヤマハ発動機 9-14 パナソニック)
前半3分 パナソニック ホラニ選手のサイドアタック
ヤマハ発動機ジュビロ 9-14 パナソニック ワイルドナイツ ファーストステージ・第3節 プールA パナソニックがヤマハ発動機の連勝をディフェンス力で止める プールAで2戦全勝と首位に立つヤマハ発動機ジュビロに、1勝1敗の昨季のリーグ覇者パナソニック ワイルドナイツが挑んだ試合は、序盤からお互いに身を削るような非常にタフな戦いとなった。勝利への執念とディフェンス力を最後まで持続させたパナソニック ワイルドナイツが勝点4を獲得する結果となった。 前半1分、パナソニックは開始早々にも関わらず相手陣30m右中間で得たPKを、タッチキックせずPGを選択し先制点を奪いに行く。今日の勝利にかける強い思いを感じた。直後、ヤマハ発動機もキックオフのボールを奪い連続攻撃を仕掛けるがパナソニックの堅いディフェンスで得点することができない。そんな膠着状態が9分まで続く。ブレークダウンではパナソニックがヤマハ発動機よりもほんの少し早く寄ることができており優勢であった。 10分、パナソニックは先制点を挙げた地点とほぼ同じ位置からSOベリック・バーンズが再びPGを成功させて6-0と点差を広げる。14分ヤマハもスクラムでの相手反則から得たPGをFB五郎丸が決めて3点差とする。さらにヤマハ発動機は攻撃を仕掛け得点を奪いに行くが、攻めあぐんでいる29分、順目の展開を読まれインターセプトを狙っていたCTB霜村にボールを奪われ70m独走トライを許し、3-11と突き放される。 後半はお互いにしのぎを削る一進一退の攻防が続く。攻めている時間が多かったのはヤマハ発動機だが、記者会見でもパナソニック主将のHO堀江が言っていたようにパナソニックはディフェンスに自信を持っていた。 逆転をあきらめていないヤマハは32分FB五郎丸のPGで9-14と5点差に迫った後、39分にもFB五郎丸のスーパータッチキックで相手ゴール前までボールを運び、そのラインアウトからのモールを押し込んでトライを狙う。しかし、パナソニックは約4分間にわたるヤマハの攻撃を執念のディフェンスで防ぎ切る。結局ヤマハ発動機が攻め疲れてノックオンしたところをターンオーバーされフルタイムとなった。5mスクラムを選択すべきところで、再度ラインアウトを選んだ判断ミスが悔やまれる。 攻撃の中心であるマレ・サウを怪我で欠くヤマハ発動機は攻めきれずに得点をあげることができなかった。一瞬のすきを突かれてインターセプトを許したのは、パナソニックが優位性を感じながらディフェンスをしていたためか。ヤマハ発動機の清宮監督は「収穫のあった敗戦」と言っていたが、いずれにしても、今日は粘り強いディフェンスを80分間持続させたパナソニックのしぶとさに軍配が上がった試合だった。 マン・オブ・ザ・マッチは、粘り強いディフェンスの中心で活躍した右FL西原忠佑が受賞した。 後半2分 ヤマハ 伊東選手
● 記者会見ダイジェスト ●
ヤマハ発動機ジュビロ 清宮監督(右)、矢富バイスキャプテン 清宮克幸監督 「ホーム2戦目で、今日の試合を勝って3連勝をと思っていたが勝てませんでした。今年のパナソニックを2試合見たが、監督も変わりチームも変わり、そういう強い相手に対してヤマハが真っ向勝負して、内容は悪くなかったし、力を出せたと思う。 矢富勇毅バイスキャプテン 「ホームの試合で何が何でも勝ちたかったが、結果負けてしまい悔しい気持ちでいっぱいです。自分たちが去年から積み上げてきたものは自信になっているので、今日の敗戦を糧に、来週に向けレベルアップしてリベンジしたいです」 ──今日敗戦したが、その中でもどこに手ごたえを感じたか? 清宮監督 「ボールキャリアもよかったし、ディフェンスを押し返した部分です。セットプレーに関しては、最後はペナルティーをなぜスクラムじゃなくラインアウトを選んでしまったのかというところがもったいなかった。力はあるが、時計が読めていないのでそのあたりを上手くなろうと選手には伝えた」 ──最後の部分、ラインアウトの選択で戸惑いはあったか? 矢富バイスキャプテン 「ラインアウトで相手が反則を犯していたので、その選択の方が相手は嫌かと思った。今後は試合の流れを考えて同じ失敗をしないように自信を持ってスクラムを組んでいきたい」 清宮監督 「大事なのはスクラムでは勝っていたし、モールを組んでももう少しいけたと思った。こういう差をあけたまま次の対戦を迎えると、強いチームはこの差を詰めてくるので、ここからもうひと伸びして、スクラムの差とか相手が嫌がるモールなどを鍛えていきたい」 ──最後のロスタイムで、どうプレーすれば取れると考えて攻めていたのか? 矢富バイスキャプテン 「去年からヤマハスタイルを追求してきたので、それで取ろうという意思統一ができていたと思うが、うまく運べなかった。まだまだ伸びしろはあると思うので、強い相手でも自分たちのスタイルが出せて圧倒できるように成長しなければいけないと思うし、最後の4分以外はいい攻めができたので80分通してできるようにしたい」 ──パナソニックの強さは何だと思うか? 矢富バイスキャプテン 「反応の早さと一人ひとりの意識だと思う」 後半12分 パナソニック JPピーターセン選手
パナソニック ワイルドナイツ ディーンズ監督(右)、堀江キャプテン ロビー・ディーンズ監督 「今日のヤマハ戦を勝てたことをうれしく思いますし、ヤマハのホームスタジアムで勝つということは簡単ではないし、しかも、ヤマハのパフォーマンスが良く非常に厳しい試合になると予想していた。そんな中でも選手のパフォーマンスが素晴らしかったし、誇りに思います」 堀江翔太キャプテン 「予想した通りの試合でした。最後はどちらに転がるか分からず、勝ちたいという気持ちの問題だった。最後までその気持ちを切らさずにできた選手を讃えたいと思います」 ──最後の4分間のディフェンスはどのようなコミュニケーションを取っていたか? 堀江キャプテン 「前半から前を見て、相手のアタックにアジャストしてディフェンスしようと話していた。ディフェンスでは気持ち的にはこちらが有利だったので、自分たちの時間が必ず来ると声をかけて、自信を持って反則を続けてせずにディフェンスしようと継続してきたことが勝利につながったと思う」 ──試合前にどういうところで相手を上回りたいと思っていたか? ディーンズ監督 「ほとんど差はないと思っていました。80分間厳しい試合になるだろうとは分かっていましたし、ディフェンスは非常に良かったのだが、アタックに関しては自分たちの思うようにはいかなかった。セットプレーに関しては、特にラインアウトではしっかりプレッシャーをかけて相手を困らせることができたと思います」 後半14分 ヤマハ 矢富選手、パナソニック 西原選手
後半22分 ヤマハ トゥイアリイ選手を止めるパナソニック ホワイトロック選手
後半30分 パナソニック JPピーターセン選手にヤマハ 三村キャプテンが必死のタックル
マン・オブ・ザ・マッチはパナソニック ワイルドナイツ7番 西原忠佑選手
(写真:静岡県協会 谷本結利 広報担当:関西ラグビー協会広報委員 石垣俊幸) |