ファーストステージ第4節 マッチサマリー(NTTドコモ 26-36 神戸製鋼)

NTTドコモ
レッドハリケーンズ
NTTドコモレッドハリケーンズ
26 合計 36
0 前半 15
26 後半 21
1 勝点 5
3 総勝点 18
神戸製鋼コベルコ
スティーラーズ
神戸製鋼コベルコスティーラーズ
ベッカー選手の突進

NTTドコモレッドハリケーンズ 26-36 神戸製鋼コベルコスティーラーズ

ファーストステージ・第4節 プールB
2014年9月13日(土)18:00キックオフ/山口・維新百年記念公園陸上競技場

昨年に引き続き山口県で2度目となるトップリーグの試合が、維新百年記念公園陸上競技場で開催された。対戦は開幕から3連勝でグループBの首位を走る神戸製鋼と、対照的に開幕3連敗でいまだ勝ち星のないNTTドコモである。強豪神戸にドコモがどのような戦いを挑むかが見所であったが、両者の持ち味がいかんなく発揮され、最後まで山口のラグビーファンを楽しませてくれた好ゲームであった。

前半10分までは一進一退で、お互いに敵陣に攻め込むも、相手DFのプレッシャーからミスやペナルティで得点にならず膠着状態が続いた。
試合が動いたのは13分、セットスクラムで神戸がドコモの反則を誘い、神戸はペナルティキックでタッチに蹴り出した後、ラインアウトからの得意のモールを押し込む。最後尾でボールをキープしていたゲームキャプテン5番右LOベッカーが抜け出し、左サイド15メートル付近に飛び込んで先制トライをする(5-0)。

その後両チームとも敵陣に攻め込むも、なかなか得点を奪えない状況が続いた。

23分、神戸GL付近で神戸が反則を繰り返し、9番SH佐藤がシンビンで一時退場。ドコモは数的優位を活かしてボールを動かし攻めるも、神戸の激しく分厚いDFに阻まれ、ミスを重ねてチャンスに得点できなかった。

32分、徐々に圧力を増す神戸のスクラムに対し、ドコモは耐えきれずに反則。10番SO森田がPGを決め、8-0とする。

前半も残り少なくなった33分、中盤からボールを展開した神戸は、前節からセンターで起用されている12番インサイド(左)CTB山中がDF裏に絶妙なキックを蹴り、ワンバウンドでキャッチした右WTB 山下がそのまま走りきり追加点を入れた。10番SO森田のコンバージョンも決まって、15-0とドコモを突き放し前半を終える。

後半も開始早々から前半の勢いのまま、神戸FWがスクラムやブレイクダウンでドコモを圧倒。6分にはトライライン近くの神戸スクラムでドコモが故意にスクラムを崩す反則をし、反則の繰り返しで認定トライ。10分にはドコモのアタックをターンオーバーした神戸が、9佐藤→10森田→11中濱とつないで突き放す。コンバージョンも決まり29-0となり、「神戸圧勝、ドコモこれまで」と誰もが思ったが、ここからドコモの猛反撃が始まる。

14分、敵陣10mL中央付近のペナルティを素早く展開して、11番左WTB茂野がこの日ドコモの初得点を上げる。コンバージョンも決まり29-7。

その後もドコモは神戸の激しいプレッシャーを受けながら、19分には自陣から巧みなハンドリングスキルを活かしてボールをつなぎ、14番右WTB渡辺がトライ。4分後の23分には、22メートル付近のラインアウトモールを押し込み、パスを受けた14番渡辺が連続トライをする。この時点で神戸29-19ドコモとなり、試合は目が離せない状況となった。

次にドコモが得点すれば結果はますますわからなくなっていたのだが、先に点を入れたのは神戸であった。

26分、ドコモのオブストラクションで敵陣22メートルに入った神戸は、モールを形成した後すぐに9番SH佐藤が持ち出し、10番SO森田にパスする。森田はドコモのDFが上がってきたところで裏にショートパントを上げ、それを13番アウトサイド(右)CTBアンダーソンがキャッチしてそのままトライ、コンバージョンも決まり再び突き放した(36-19)。

ドコモも試合終了が近づく35分に、自陣から果敢にボールをつないでトライするも(36-26)、後半途中までの最大29点差を覆すことはできず4連敗した。神戸は開幕4連勝でプールBの首位。ドコモは本節でも勝ち星を上げることはできなかったが、FW戦をしのぎ、ボールを広く動かすラグビーは、強豪にも十分通用することが確認できた。

マン・オブ・ザ・マッチには、先制のトライをした後も、DFやブレイクダウンで再三にわたって激しいプレーをし続けたゲームキャプテンのアンドリース・ベッカー選手が選ばれた。

ディフェンスラインを突破する神戸製鋼の山中選手
神戸製鋼の強力なモール

● 記者会見ダイジェスト ●

NTTドコモレッドハリケーンズ

NTTドコモレッドハリケーンズ
下沖監督(右)、吉岡キャプテン

下沖正博監督

「これまで連敗が続いている中で、強敵である神戸製鋼さんに対し、今日もまずトライを取りに行こうというテーマのもと積極的にいきました。ただ特に前半、我々のボールキープの部分で相手の強固なディフェンスにあって、簡単にボールを渡してしまい、それが相手のトライにつながってしまいました。ハーフタイムで、もう一度我々のやってきたことをしっかりと、マイボールスクラムを含めて後半やりぬこうということで全員と話し合ったのですが、その部分が後半の4トライにつながったと思っています。残りの試合もあきらめずに、一試合一試合勝ちを目指して、がんばっていきたいと思います」

──今日5トライ取られましたが、ディフェンスについての評価を聞かせてください。

「これまでの神戸製鋼さんの試合を見ると、やはりセットプレー、特にラインアウトからモールで押し込んでそこでペナルティを誘う、もしくはそのままモールでトライを取るという形が多かったので今週、FWはモールディフェンスを徹底的にやりました。そして、特に前半非常にFWががんばってくれました。そういった選手たちの頑張りによって、防げたトライがありましたので、その辺りは次につながると感じています」

吉岡宏樹キャプテン

「前半からセットプレーで神戸製鋼さんのプレッシャーを感じて、少し反則があったのですが、後半は思い切って攻めていこうということで自陣からも積極的にボールを回していって、小さいチャンスをものにできたのかなと思います。また次節、セットプレーの修正等を行って、しっかり戦っていきたいと思います」

──認定トライのところ、レフェリーとどんなやりとりがあったのでしょうか。

「どういう反則でトライになったのか確認をしたのですが、反則してしまったことに対して確認行為がなかなか上手くいかなかったので、僕のレフェリーとのコミュニケーションのミスがあったのかなと感じています。あの時はこちらがシンビンで1人少なかったので、注意できないところだったのですが、我々も簡単に反則をしてしまったという部分は気をつけていきたいと思います」

プレッシャーをかけ続けた神戸製鋼スクラム
突破するパエア・ミフィポセチ選手

神戸製鋼コベルコスティーラーズ

神戸製鋼コベルコスティーラーズ
ゴールド ヘッドコーチ(左)、ベッカー ゲームキャプテン

ギャリー・ゴールド ヘッドコーチ

「非常にいいスタートが切れ、22対0までは上手く持っていけたと思いますが、そこから何人かの選手を下げ始めたところから、少し集中力が切れ始めて、プレーの質が下がって4トライを献上してしまいました。ただ、NTTドコモがすごくパッションを持って向かってくることはわかっていましたし、それをあの時間帯までやり続けていたNTTドコモに対する正当な結果なのかもしれません」

──CTBの山中選手が日本代表候補に入りましたが、彼が春から成長した部分とこれからもっと良くなってほしい部分を聞かせてください。

「彼は若い選手ですし、学ぶべきことは多いと思います。しかし若い選手ですが、高いレベルのスキルを持っています。パスもキックも素晴らしいし、タックルも勇敢にできる選手です。ゲームマネジメントの部分はもう少し学んでいかないといけないところかもしれません。トップリーグの試合を経験することで、いい選手になっていくことは間違いありません。いいスピードも持っていますし、非常にエキサイティングな選手です」

──今日のBK陣の働きについてはどのように考えていますか。

「FWとBKを分けて話をするというのは難しい話ですが、やはりNTTドコモのようにボールを大きく動かしてくるアタックをするチームに対しては、やるべきことがあるということは今日はっきりしました」

──後半NTTドコモに再三トライを奪われたのは個々の問題か、それとも組織的なものでしょうか。

「そこに関しては自分にもある程度責任があると理解しています。そのタイミングで選手を全部変えたということもありますし。その時点ではある程度の得点差がありましたので。その結果、我々の集中力は少し下がりましたが、NTTドコモは変わらずにボールを大きく動かすラグビーを続けました。それが結果として現れました。NTTドコモはいいアタックをしていたし、作ったチャンスをしっかりとものにしていました」

アンドリース・ベッカー ゲームキャプテン

「ヘッドコーチもおっしゃったとおり、いいスタートが切れましたが、重要なところでの重大なミスが出てしまいました。ただ、NTTドコモもすごくクリエイティブなアタックをしていたので、トライに関しては向こうの力もあると思います。我々としては、同じミスは来週のサントリー戦ではできないと感じています」

──2年目のシーズンですが、ギャリー・ゴールド ヘッドコーチ体制になって、昨年から大きく変わった部分はどういうところでしょうか。

「一番変わったところは、ストラクチャーのところです。最初から最後まで何をしなくちゃいけないのかということを明確にしてくれたということです。プレーに関する違いで言えば、より厳しく規律をもったプレーを求められていて、ゾーンによっては、プレーの選択肢がある程度決まっている。今のシステムを信じてやっていくことができれば、チームとしていい結果が出ると信じています」

後半2トライをあげたNTTドコモ渡辺選手
マン・オブ・ザ・マッチは神戸製鋼コベルコスティーラーズ5番アンドリース・ベッカー選手

(山口県協会:畑村 学)

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