ファーストステージ第5節 マッチサマリー(NTTコミュニケーションズ 32-31 NEC)
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス 32-31 NECグリーンロケッツ ファーストステージ・第5節 プールA トップリーグ公式戦初開催となる。古くからラグビーが盛んな港街は、9月の晴天に恵まれ最高のピッチコンディションでのゲームになった。NECグリーンロケッツ、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスともに東日本大震災後、東北・石巻へのラグビーを通じた支援を続けており石巻のラグビーファンにもなじみの深いチームである。試合に先駆けて両チームの選手も参加して子ども達へのラグビークリニックも行われた。前節までの結果を踏まえると、この試合の重要性を意識して臨んだ両チーム。会場全体がラグビー熱で盛り上がってのキックオフとなった。 NECボールでゲームがスタート。互いに様子を見ながらの展開であったが、6分NECがラインアウトモールから中央へ攻め込むとNTTコムがたまらずオーバーザトップの反則。22m中央、絶好の位置でのショット権利を得たが、PGはポストの外へ。先制のチャンスを逃すもここで落ちないNEC。10分、ハーフウェイ左でNTTコムボールのラインアウト。大きく後ろに反れたボールはNECがクリアキャッチ、10m後方に下がっているディフェンスラインまでゲインすると、LOフォラウが抜けだし、ゴール下に先制トライ。ゴール成功(ナドロ)【0-7】とした。 追加点もNEC。28分、NTTコムはラインアウトから中央でクラッシュ。LO鶴谷昌隆がラックサイドを抜けだしてゴール前まで攻め込むが、こぼれ球をNECのWTBネマニ・ナドロが反応よく拾い上げると、そのまま敵陣ゴールラインまで100mの快走。ディフェンスを置き去りにしてゴール左へトライを決める【0-12】 NECペースで試合が進むと思われたが、すぐさまNTTコムの反撃。直後のマイボールのキックオフをゲットすると左へフェイズを重ね左サイドにラックを作り、反転右へワイドにつなぐ展開。アタックラインの裏にロングパスを二つ通すと、最後はWTB鶴田諒がディフェンスを振り切り右隅へトライを決めた。(31分)【5-12】 前半はNECがターンオーバーから二つのトライ、NTTコムはグラウンドをワイドに使い追い上げる。点差は4点と石巻のラグビーファンには嬉しい接戦のゲーム展開となった。 後半序盤は、キックゲームの様相。陣取りでは風上のNECが優位に立ち敵陣まで攻め込むがNTTコムの厚いディフェンスをなかなか突破できない。 このトライで会場がNTTコムムードになりかけたところだったが、今度は逆にNECが5分間で3トライを取り返す。 35分、反撃に出るNTTコムは自陣からでもボールを運ぶゲームを徹底する。ここでマン・オブ・ザ・マッチのSOヤンチースが魅せる。前がかりのNECのディフェンスラインの裏側に小パントを上げて敵陣へ進出。ラッシュをかける中で冷静にPKのアドバンテージを確認すると、10mラインからドロップゴールを狙う。低い軌道のボールは見事に決まり【32-31】と1点差の再再逆転。ここで会場のムードは最高潮に。 残り5分、NECがひたすら攻め続ける。前節終了前に逆転PGを決められたNTTコムはノーペナルティが絶対条件。どちらも負けられない意地とプライドがぶつかるプレーから目が離せない。最後はNTTコムがNECの攻撃を凌ぎきりノーサイド。1点差の息の詰まるゲームを制した。逆転に次ぐ逆転、石巻のラグビーファンも満足する内容でラグビーの醍醐味を感じられるゲームであった。 ● 記者会見ダイジェスト ●
NECグリーンロケッツ 相澤総監督(左)、瀧澤キャプテン 相澤輝雄総監督 「石巻で試合ができるということで、ぜひとも勝ちたかったのですが残念な結果でした。自分たちのほうが実力は上だと思いますが、ミスが多く敗戦に繋がってしまいました。残り2試合で5ポイントずつとりたいと思います」 瀧澤直キャプテン 「この石巻のすばらしい環境の中で試合ができたことに感謝しています。負けてしまって残念です。応援してくれた皆さんに申し訳ないです。最後は『どうしても勝ちたい』という気持ちで負けてしまったのではないかと思います。ただ、メンバーは最後まで一生懸命やってくれました」 ──後半に3本連続でトライをとられたときの状況は。 瀧澤キャプテン 「集中力が切れてしまったかもしれません。しかし、敵陣に攻め込んで点を取りきれなかったことが原因です。3本とられましたが、そこで何か特別なことをしようとはせず、自分たちの役割をしっかりと果たすことをチームで確認しました」 相澤総監督 「主将が話したとおりで、モールで取り切れませんでした。3トライ連続というのはとられすぎです」 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス ペニー ヘッドコーチ(左)、溝口キャプテン ロブ・ペニー ヘッドコーチ 「いい形で試合ができました。課題はあるものの、選手の努力を讃えたいです」 溝口裕哉キャプテン 「勝てて良かったです。課題を修正して次に臨みたいです」 ──終盤に逆転したときの状況は。 溝口キャプテン 「ディフェンスの悪いところを直してから点をとるようにチームに話しました。前の試合の反省点であるペナルティからの失点が無くなるように修正できました」 ──石巻で試合をしてどうだったか。 溝口キャプテン 「交流のある小学生にも見てもらえて嬉しかったです」 ──シーソーゲームになってしまったが。 ペニー ヘッドコーチ 「プレーの正確性が足りませんでした。相手はボールの保有率が高く、トライ後に勢いが増しました。劣勢から持ち直してくれたところは素晴らしいです。最後に守り抜いたことも評価したいです」 ──セカンドステージに向けて。 ペニー ヘッドコーチ 「毎週の積み重ねの練習に変わりはありません。今まで通り、これからも必要なことを改善していきたい」 マン・オブ・ザ・マッチは、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス10番 エルトン・ヤンチース選手
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