セカンドステージ第1節 マッチサマリー(近鉄 12-8 NEC)
セカンドステージ・第1節 グループB 国際試合のツアーが世界中で行われるウインドウマンスが終わり日本にトップリーグプレーヤーが帰って来た。ここからはシーズンの順位を決するセカンドステージ、近鉄花園ラグビー場での緒戦は近鉄ライナーズとNECグリーンロケッツとの一戦。 近鉄はファーストステージでは、プールBで4勝3敗の5位で最後までトヨタ自動車と上位グループ入りを競って戦い、得失点差でわずかに及ばなかった。一方のNECはプールAで2勝5敗の6位と不本意な結果に終わったが、ジャパンの田村優を始め今年スーパーラグビーのクルセイダーズで大ブレイクしたネマニ・ナドロなどのタレントが揃い潜在力は高い。ファーストステージでは対戦のなかった両チームだけに好試合を期待して、朝からの荒れ模様の天候にもかかわらず、花園には4000人を超えるファンが集まった。 試合は曇天の下近鉄のキックオフで始まったが、両チームともボールが手につかず一進一退を繰り返す。試合が動き始めたのはようやく15分を過ぎてから。NEC、近鉄FWの攻勢にラックでの反則が続き、19分に近鉄10番重光泰昌、NECのハンドの反則から30m中央のPGを決め、3-0と先攻する。これに対してNECは10番ウェブ将武のキックで相手陣深くまで攻め込むものの、ハンドリングエラーなどによる反則で攻め切れない。結局、前半は双方密集サイドのFWのパワープレーとスタンドオフのキックによるいわゆる10メンラグビーにほぼ終始し、3-0と近鉄リードのまま折り返す。 後半に入ると、NECが前半終盤に見せた勢いを駆って攻勢を続け、10分、近鉄のハンドの反則を得てタッチに蹴り出し、ゴール前5mのラインアウトからモールドライブ、そして左サイドをFWの核8番ニリ・ラトゥが衝いて左隅にトライ(G不成功)、3-5と僅差ながらリードを奪う。さらにNECは19分、アウトサイドセンターに切札ナドロを投入し、終盤20分の勝負に出る。しかし、厚い雲から度々雨が降るというコンディションの中でハンドリングミスが多く攻め切れない。そして、試合は近鉄10番重光、NEC12番田村のPK合戦の様相を呈し始める。 まず、30分に重光、6-5と最少点差ながら逆転する。次いで32分田村、10mライン付近からのPGを成功させ6-8と再逆転。直後35分には重光が、9-8と再度逆転する。そして、37分、ハーフウエイから近鉄陣に少し入ったところで、NECオフサイドの反則を犯す。この時近鉄の豊田キャプテンの頭にはタッチキックからラインアウトというシナリオも頭をよぎったということだが、長距離のPKは任せてくれとばかりに15番アンドレ・テイラーがボールを受け取り、見事に60m近いPGを決め12-8とする。この後ノーサイドホーンの鳴った後もNECは果敢に攻め、この日では珍しいBKの長いラインにナドロが逆サイドから走り込んだところでノックオン、これで万事休した。MOMは、この日の近鉄の得点の大半をたたき出した10番重光泰昌に贈られた。 ● 記者会見ダイジェスト ●
NECグリーンロケッツ 相澤輝雄総監督 「ファーストステージ6位で、しっかり立て直して今日の試合は必勝体制で臨んだが負けてしまいました。応援してくれた関係者の皆様に非常に申し訳なかったです。内容は悪くないので、次の試合には気持ちを切り替えて更にステップアップしてまた頑張ろうと思います」 瀧澤 直キャプテン 「天気がもう少し雨かなと思いました。芝もスリッピーなところもあったが最後は晴れて気持ち良くやれたことが第一印象です。 ──5-3からのペナルティでショットを狙えたシーンでの選択は? 瀧澤キャプテン 「微妙なところでした。キッカーが、風も吹いて距離もありボールも流れるし、自分の調子も含めてモールで行こうという話がコミュニケーションの中でありました。結果論としてペナルティで終わってしまったので残念でしたが、キックも選択肢の中に入れていましたが間違っていなかったと思います」 ──前半の終盤からチャンスを生かせなかったのは、攻めきれなかったのか、相手の防御が良かったのか? 瀧澤キャプテン 「獲りきれなかったと思います。感覚は獲ってスコアーして自陣に帰りたかったが獲りきれなければ勝てません。そこをしっかり分析しなくてはいけないと思います」 近鉄ライナーズ 前田隆介監督 「花園でセカンドステージの開幕を迎えることを嬉しく思います。 豊田大樹キャプテン 「セカンドステージの開幕戦、いい環境で素晴らしいグラウンドコンディションで、たくさんのライナーズファンに来ていただき嬉しく思います。 ──どこを強化してこの試合に臨んだか? 前田監督 「前半節までミスが多かった。攻撃での時間が非常に少なかったので、1ヶ月しっかりボールを継続してアタックすることを行いました。我々がチャンスの時間を長く過ごすことを望んだが今日も少なかったです。まだまだ課題だと思います。 ──スクラムはどうだったか、優劣は、五分だったか? 豊田キャプテン 「五分だったと思います。何本か当たられたところはありましたが、コントロールもできていたし、安定していたと思います」 ──最後のペナルティキックは素晴らしかったが、あの位置での選択は? 豊田キャプテン 「タッチに出してモールを希望しましたが、アンドレが自信を持って近付いてきたので、普段の練習でも決めている距離だったので任せました」 前田監督 「ロングキッカーですし、狙える選手ですので良かったと思います。もう少し時間をかけてキックするかと思ったが意外と早く蹴ったので、そこを含めて本人には伝えておきます」 マン・オブ・ザ・マッチは近鉄ライナーズ10番、重光泰昌選手
(記事:蜷川善夫、村島博、玉川育夫 写真:長谷川昭男) |