トップチャレンジ1・第1節 マッチサマリー(三菱重工相模原 36-23 九州電力)

三菱重工相模原 36-23 九州電力キューデンヴォルテクス

トップチャレンジ1・第1節
2015年1月12日(月祝)14:00キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場


三菱重工相模原が粘る九州電力キューデンヴォルテクスを終盤突き放してボーナスポイント付きの勝利を上げ、トップリーグ再昇格に向けたタフなチャレンジのスタートを切った。

この週末に行われた大学選手権決勝、トップリーグ最終節にも負けない熱い戦いに、両チームのサポーターを中心に多くのファンが、寒風舞う秩父宮に詰めかけた。前半スコアボードのある北スタンド側に陣取るやや風上の九電は、SO荒牧佑輔の堅実なキックで外国出身選手の多い三菱の強みを出させないように戦った。その荒牧が、三菱にトライ&ゴールを奪われた後の14、22、24分と3連続PGを決め、7-9と試合を拮抗させた。

対する三菱は、高岩監督が試合後「九電のキッキングゲームに付き合い過ぎて、自分達の強みを出せていなかった」と話したように、SOスティーブン・ドナルドのハイパントやロングキックで組立てるが、なかなかチャンスを作れずじまい。前半の最後にトライ&ゴールで17-9とし、辛うじてリードしての折り返し。

後半に入ってすぐゲームは動く。まずは九電が、敵のキックを自陣10m付近で受けてカウンターアタック。FL平田一真主将、WTB末藤雅宣と繋いで、最後は荒牧が九電最初のトライを上げる。しかしその後、三菱もFB山本逸平がキックカウンターから抜け出てゴール前まで迫った後、ラックから出たボールをドナルドがどどどどっ、といった感じでインゴールへ。2011年ワールドカップでは、NZで4番手SOであったドナルド。同大会でSOにケガ人が続出したため追加招集を受け、途中出場した決勝戦では自国を優勝へと導く決勝PGを入れた経歴を持つ31歳はこの日、常に味方選手に声をかけて励まし、三菱を引っ張っていた。

一方の九電も粘る。中盤左ラインアウトからの右ラインアタックで、CTB中づる憲章が抜け出てFB加藤誠央に繋ぎトライを返す。ゴールも成功し22-23とまた九電が逆転したが、九電の得点はこれが最後。リスタートのすぐ後、三菱は中盤の左ラインアタックで、レポロテビタ、ロコツイ シュウペリの両CTBのコンビネーションからトライを返して再逆転。満を持して後半27分からは元ウェールズ代表WTBシェーン・ウィリアムズが登場。左ライン際のラックサイドでボールをファーストタッチしたかと思えば、するすると右オープンサイドへ移動。回ってきたボールを受け、右隅にトライした。これで7点差以内の敗戦に与えられるボーナスポイントを九電に与えず、三菱がまず1勝を上げた。
(米田)


● 記者会見ダイジェスト ●

九州電力キューデンヴォルテクス

九州電力キューデンヴォルテクス
平田監督(右)、平田キャプテン

平田輝志監督

「初戦敗戦という残念な結果になりました。しかし、昨年度、トップリーグから降格となり、先が見えない中での今シーズンのスタートとなったことを考えると、今、トップチャレンジ1に立てていることに喜びと幸せを感じています。今日のゲームは外国人選手の多い三菱重工にはフィジカルの強さがあり、タフなゲームになるとは思っていました。しっかりと準備してきたつもりですが、三菱の外国人選手に自由に動かれてしまいました。今日の試合は残念な結果でしたが、次の試合に向けて切り替えて、次戦では最高のディフェンスをしたいと思います」

──ゲームの最後には離されましたが、それまでは九電として意図したゲームプランはできたと思いますか?

「前半は風をうまく使いキックでゲームメークできたのはゲームプラン通りでしたが、前半にリードできませんでした。後半、風下の時間帯が多くなったのですが、キックの使い方について監督としてしっかり指示できなかったと思います」

──次戦は釜石シーウェイブス戦ですが、特に戦い方に変化はありますか?

「釜石シーウェイブスも外国人選手を起点としてアタックしてくるチームだと思います。今日の三菱重工戦と同様に、第一に敵のアタックを止めるというシンプルなラグビーをして、自分達の規律を守ることをやり抜きたいと思います」

──九電は今年度から外国人がいなくなりましたが、ゲームプランへの変化は?

「外国人選手がいなくなりペネトレーターがいなくなりました。しかし、個人でなくチームとしての組織でとることを求めていっています。組織的な『とり方』にこだわってやってきました」

平田一真キャプテン

「タフなゲームになることは分かってはいましたが、勝ちたかったです。三菱重工の強いFWに通用するところ、通用しないところがわかりましたので、しっかり修正して2戦目は必ず勝ちたいと思います」

──ゲームの最後には離されましたが、それまでは九電として意図したゲームプランはできたと思いますか?

「特に後半にはディフェンスで、三菱の強い外国人選手にやられてしまいました。後半の最初には逆転してリードした時間もあったのですが、九電がディフェンスに人数を使って逆にスペースをつかれてしまいました」


三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズ
高岩監督(右)、安藤キャプテン

高岩映善監督

「今日の試合はチーム全員が『今年こそトップリーグへ昇格しなければ』という強い気持ちをもって臨みました。試合内容については、前半は九電のキッキングゲームに付き合いすぎてしまいました。後半は自分たちの強みを出すように修正できたと思います」

──これまで数年間、トップチャレンジでもう一歩での悔しい思いを続けていますが?

「『もう一歩』を乗り越えるため底辺の強化をしてきました。以前、チーム内で言っていたディフェンスでの『みどりの壁』をもう一度作ろうとやっていますが、正直、まだ完成はしていないと思います。2年前のシーズンでは『みどりの壁』でいいディフェンスができていましたが、得点力・判断力が足りませんでした。今年もう一度、ディフェンスを再構築していますが、まだまだ未完成だと思います」

──今日はWTBシェーン・ウィリアムズを後半27分からの入替投入としましたが、ウィリアムズ選手の使い方は?

「シェーン・ウィリアムズ選手は後半途中から投入という使い方が多かったが、トップイーストでは何回か先発でも起用しました。来週の使い方はまだわかりません」

安藤栄次キャプテン

「今日の試合では九電のキッキングゲームに付き合いすぎてうちのリズムがなかなか出せませんでした。後半はこれまでやってきたものをしっかり出すことができました。次の釜石戦でもしっかり自分達のやってきたものを出して戦いたいと思います」








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