セカンドステージ第7節 マッチサマリー(近鉄 10-19 クボタ)
セカンドステージ・第7節 グループB 夏の終わりに始まったトップリーグも本日でセカンドステージの最終節を迎える。近鉄花園ラグビー場での第1試合は、グループB2位の近鉄と5位のクボタとの戦い。順位は一見開いているように見えるが、勝点では25-20と5ポイントの差しかなく、この試合の結果次第では逆転もあり得る状況。試合は風上に立つクボタのキックオフで開始された。 立ち上りは風を利用してクボタが有利に試合を進めるが、近鉄の前に出るディフェンスが良く機能して、クボタはなかなかトライラインを越えることができない。しかし、ようやく9分、近鉄陣深くで、近鉄が正しくスクラムが組めずにフリーキックを課されると、クボタは、タップキックから大きく右展開、最後は大外につけたFB宮田拓哉が右隅にトライ、0-5とリードする。 その後も同じような展開の内にゲームが進むが、この日、特に前半、クボタはディシプリンが維持できず15分にNo.8キーガン ・ダニエルが槍を地面に突き刺すような危険なスピアタックルでシンビン、7人のFWで近鉄の強力FWと対峙することを強いられる。そして果たして近鉄がクボタゴール前まで攻込むとクボタは反則を繰り返し、チームコーションを受けた直後の18分に、スクラムを選択した近鉄のプッシュ・オーバーにクボタは堪らず故意のコラプシングを犯し、これがペナルティトライとなり、近鉄7-5と逆転する。さらにこの反則にシンビンが課され、この後5分以上クボタはFW2人を欠いての試合となる。しかし、この後は両チームともそれぞれの利点を活かすことができずに、ようやく35分、近鉄は相手のオフサイドの反則にショットを選択、SO重光泰昌がこれを決めて10-5と点差を広げ、そのままハーフタイムを迎える。 後半に入ると、クボタの動きが良くなり、ボールが動き出す。そして、まず6分自陣22mライン付近からクボタCTBアイザイア ・トエアバが近鉄のディフェンスのギャップを見逃さずに大きくブレイク、近鉄陣の10mライン付近でよくフォローした田村に繋ぐともうノーマーク、そのまま中央にトライを挙げ、10-12と逆転する。そして、さらにその直後の10分には、この日不調を極めた近鉄のラインアウトをクボタがスティール、右展開からラックとし、最後はLO鈴木康太がポスト右に飛込み10-19とさらに点差を広げる。これで、クボタはこの試合3トライを挙げ、クボタが果たして4トライで勝点5を獲得するのかどうかにファンの関心が集まる。 勝点のことは、試合後の会見によると両チームとも強く意識をしており、この後両チームとも動きがやや硬くなり、ブレイクしても継続できないという一進一退の展開が30分以上続き、ノーサイド直前にクボタが相手ペナルティから攻撃に転じた時には近鉄ファンから悲鳴に似た声が上がるが、結局それまで、10-19のままノーサイドを迎えた。 ● 記者会見ダイジェスト ●
近鉄ライナーズ 前田監督(左)、豊田キャプテン 前田隆介監督 「本日は、セットピースの中でラインアウトが機能せず負けてしまい悔しいです。ただ、次のステップ(ワイルドカード)に行ける機会を与えていただいた。勝って行きたかったというのが本音ですが、ここで切り替えてワイルドカードに臨みたいと思います」 豊田大樹キャプテン 「前半は自分たちのラグビーができたが、後半は相手のペースでやられてしまいました。本日の敗戦は非常に悔しいです。この悔しさをワイルドカードにぶつけ勝利していきたいと思います」 クボタスピアーズ 石倉監督(右)、立川キャプテン 石倉俊二監督 「先週のひどい試合からチーム全員で立て直しを図った結果、本日勝利できたことは評価しています。ただ、前半にペナルティーが多く、シンビンを2人出してしまったことは反省材料です。入替戦行きとなったことは残念ですが、1カ月しっかり準備して臨み、来シーズンもまたトップリーグでプレーして上を目指したいと思います」 ──5ポイント獲得できなかったが‥‥。 「正直、勝利はしたが5ポイント獲れなかったことは、残念です。ただ、選手たちには結果よりも、自分たちのラグビーを80分間やり抜くことで結果がついてくると話していました。選手たちはよくやってくれたと思っています」 立川直道キャプテン 「1週間いい準備をしこのゲームに臨み、勝つことができたことは、自分たちのやってきたことに間違いがなかったと思っています。ただ、ファーストステージもセカンドステージもあと一歩のところで(上に)届かないということには必ず原因があるので、そこを修正できるようにしていかなければならないと思っています」 マン・オブ・ザ・マッチはクボタスピアーズ9番、茂木隼人選手
(記事:村島博、蜷川善夫、高橋茂治 写真:小巻真司 広報担当:村島博) |