「プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015」セミファイナル マッチサマリー(神戸製鋼 12-41 ヤマハ発動機)
神戸製鋼コベルコスティーラーズ 12-41 ヤマハ発動機ジュビロ プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015 セミファイナル 昨年8月に開幕したトップリーグ2014-2015もレギュラーシーズンを終え、いよいよポストシーズン。第12代トップリーグ王者を目指す『プレーオフトーナメント LIXIL CUP 2015』と第52回日本ラグビーフットボール選手権大会への出場を賭けたワイルドカードトーナメントへと舞台は移る。 近鉄花園ラグビー場でのプレーオフトーナメントはセミファイナル、圧倒的な攻撃力と堅いDFでセカンドステージ1位の神戸製鋼コベルコスティーラーズと終盤の3連勝で8シーズンぶり2度目のプレーオフ出場を果たしたヤマハ発動機ジュビロとの戦い。セカンドステージの対戦では40-10と神戸製鋼がヤマハ発動機を圧倒しているが、終盤に東芝、パナソニックを連破したヤマハ発動機のパワーも侮れない。注目の一戦は冬晴れの穏やかな日差しの下、花園ラグビー場に駆けつけた6,000人を超すラグビーファンに見守られ、神戸製鋼CTB山本大介のキックオフで幕を開けた。 ゲームは前半キックオフ直後から、ヤマハ発動機がチャレンジャーらしく自陣からも積極的に展開し、神戸製鋼陣深く執拗に攻め続ける。神戸製鋼もゴール前では、今季機能しているハードタックルでヤマハ発動機のアタックを凌ぎ、SO山中亮平のロングキックで地域を挽回するという展開が続く。しかしヤマハ発動機は12分、ゴール前5m神戸製鋼のラインアウトが乱れたところ、SH矢富勇毅が隙をついてキャッチしたボールをそのまま左中間に押さえ、あっさりと先制点を奪い、FB五郎丸歩のゴールも決まり0-7とする。 一方、セットプレイ、特にラインアウトが乱れてなかなか攻撃の機会を掴めない神戸製鋼も32分、ゴール前22m右端でのヤマハ発動機五郎丸のキックを右WTB山下楽平がチャージし、ボールを受けたFB正面健司が右隅にトライ、5-14と反撃を開始。しかし逆に36分、ヤマハ発動機はハーフウェイライン中央付近のロングPGを五郎丸が決めて5-17とリードして前半を終えた。 後半、風上に立った神戸製鋼はキックを有効に活用して主導権を握りたいが、接点でも不用意な反則が目立つ。ペナルティキックで陣地を進めた開始直後の1分、ヤマハ発動機はゴール前10mのラインアウトからのサインプレーでHO日野剛志が左隅にトライを挙げ、逆に5-22とリードを拡げる。神戸製鋼も17分、ゴール前15メートル左中間のラックから右に展開、アドバンテージを活用した山中のキックを山本がキャッチしてポスト左に押さえて12-22と10点差に迫る。しかしヤマハ発動機は20分すぐさま反撃、FW・BKが一体となってピッチを大きく左右に展開し、最後は右LOデューク・クリシュナンが右隅に勝利を引き寄せるトライを挙げ、12-29。ヤマハ発動機はさらに34分、36分にトライを追加し、戦前の予想を大きく覆した12-41の大差で神戸製鋼を下して初のファイナル進出を決めた。 神戸製鋼は攻守の要であったジャック・フーリーの欠場があったとはいえ、最多得点、最少失点で制覇したセカンドステージの試合運びが崩壊し、退任するギャリー・ゴールドHCにとっても残念な幕引きとなった。かつて7連覇した日本選手権での雪辱を期待したい。 ● 記者会見ダイジェスト ●
神戸製鋼コベルコスティーラーズ ゴールド ヘッドコーチ(右)、橋本キャプテン ギャリー・ゴールド ヘッドコーチ 「残念です。今シーズンの一番大事なところで、一番悪いパフォーマンスになってしまいました。ただハードワークの結果であり、レギュラーシーズン1位の事実については、選手を褒めたいです。ヤマハ発動機は素晴らしいチームであり、立派です。数週間前とは全く違う、逆の展開となってしまいました。我々は自分達よりもより優れたチームに負けました」 橋本大輝キャプテン 「内容も点差も完敗です。今シーズン最悪の出来で、悔しいです。(セカンドステージで)一度パナソニックに負けてから、良い流れで来ていましたが‥‥シーズンは続くので、きちんと修正していきたいと思います」 ──前回の対戦(12/21の対ヤマハ発動機戦)と何が違ったのか? 橋本キャプテン 「ヤマハ発動機が非常にアグレッシブでした」 ──気負いや緊張があったのでは? 橋本キャプテン 「確かに緊張はありましたが、その緊張を力に変えられませんでした。前回勝っていたこともあり、今日のゲームも勝たなければとは思っていました」 ──セットプレーを中心にミスが多かったが、何が原因と思うか? 橋本キャプテン 「ヤマハ発動機の出来が良かったです」 ──相手に研究されていたと思うか? 橋本キャプテン 「相手の出来が良かっただけでは‥‥接点で負けてしまいました。ディフェンスのスピードを上げようとしましたが、ボールの動きについていけませんでした」 ──トーナメントという一発勝負の準備では、ヤマハ発動機が上だったのではないか? ゴールド ヘッドコーチ 「ヤマハ発動機のことは分かりませんが、フィジカルで負けてしまって、我々がやりたいことができませんでした。ラグビーは接点を支配すれば優位に立てますが、その点では今日はヤマハ発動機が上でした。相手にプレッシャーをかけることができませんでした」 ──ジャック・フーリー選手の欠場や、今村選手の途中交代の影響があったのではないか? ゴールド ヘッドコーチ 「ワールドクラスのプレーヤーがいなければ、当然影響はありますが、大橋選手も良いプレーヤーです」 ──これでチームを離れるが、個人的な寂しさはあるか? ゴールド ヘッドコーチ 「南アフリカに帰るのは家庭の事情でそれ以外にありません。今シーズンの神戸製鋼はどのチームよりも激しくファイトし、良いシーズンでした。優勝できればよかったのですが、残念な結果となりました」 ヤマハ発動機ジュビロ 清宮監督(左)、三村キャプテン 清宮克幸監督 「今日はこういう結果になるかもと、予想していましたが、ここまでとは思っていませんでした。神戸製鋼のキープレーヤーが欠けていたのが、大きかったのではないでしょうか。そのメンバーが活躍することで、神戸製鋼の強みであるFWが活きます。ラグビーはバランスが大事ですが、その点でヤマハ発動機はベストメンバーで戦えました。これはメディカルスタッフのお陰です。決勝に向けて万全の準備をしたいと思います」 三村勇飛丸キャプテン 「一回負けた相手にプレーオフで勝てたのは、チーム一丸で最高の準備ができたからだと思います」 ──セットプレーで優位に立てていたと思うが、何が原因か? 清宮監督 「ファーストスクラムのレフリングで反則をとってもらえました。あのプレーで勢いに乗れました」 ──ホーンが吹かれた後も、攻め続けていた。 清宮監督 「途中出場のリザーブ選手が攻めさせろと猛アピールしたようです。ヤマハ発動機の文化でもあります」 三村キャプテン 「流れを止めたくなかったので。試合中もキックを少なくし、攻め続けました。我々はチャレンジャーであり、攻め続けました」 ──前回の敗戦(セカンドステージ)からどの部分を修正したのか? 清宮監督 「全部です(笑)。負けたことで大きく変われました」 ──SOの横にWTBを配置していたのは、狙ったプレーか? 清宮監督 「準備していたプレーです。ただ、同じプレーが2回、3回と成功するとは思いませんでした。それだけ神戸製鋼はゲーム中の修正能力が今日は無かったのだと思います」 ──(決勝の相手となる)パナソニックもしくは東芝はレギュラーシーズンで勝っているが、決勝で再度勝つということはどうか? 清宮監督 「非常に難しいですが、万全の準備で臨みたい」 (記事:石川悟、蜷川善夫、廣島治 写真:山口勝一 広報担当:村島博) |