「ワイルドカードトーナメント 2回戦」マッチサマリー(NTTドコモ 10-33 NEC)
NTTドコモレッドハリケーンズ 10-33 NECグリーンロケッツ ワイルドカードトーナメント 2回戦 (試合の写真については、関西協会ウェブサイトでご覧いただけます)
先週のワイルドカードトーナメント1回戦でグループAのトヨタ自動車を破って勢いに乗るNTTドコモとこれまでトーナメント戦には滅法強さを発揮するNECとの戦い。第52回日本ラグビーフットボール選手権大会出場まであと1勝となり、念願の初出場を目前にしたNTTドコモと一方のNECは過去3回の日本選手権優勝を誇る。レギュラーシーズンではセカンドステージ第5節、NECが40-14でNTTドコモを破っている。いよいよシーズンも大詰めを迎えた両チームにとっての重要な一戦は底冷えの近鉄花園ラグビー場で、NTTドコモSOリアン・フィルヨーンの風下からのキックオフで幕を開けた。 序盤はNTTドコモが強い北風の風下にもかかわらず、セカンドステージ以降の勢いそのまま積極的にボールを展開して再三NEC陣に深く攻め込むが、NECの固いDFにプレッシャーを受けたハンドリングエラーなどで得点には至らない。風上のNECもロングキックでエリアを確保しようとするが、上手くコントロールできずにチャンスの芽を摘まれるといった展開。 試合が動いたのNo.8ガレス・デレヴが長駆ゴール前に迫り、ゴール直前の左中間ラックから右に展開して最後はHO臼井陽亮がポスト右にトライ、SO田村優のゴールも決まり0-7と先制した。さらにNECは26分、ゴール前で執拗に繰り返したFWラッシュの末に得たNTTドコモのオフサイドによるPKから速攻、SH茂野海人からのボールを足にかけた田村が左中間に押さえて0-14とリードを拡げる。対するNTTドコモも29分にFBキャプテン才口將太のPGで反撃するが、直後の31分、逆にNECのCTB森田洋介にトライを決められ3-21で前半を終了した。 後半風上に立ったNTTドコモは前半同様、果敢にボールを展開してNECゴールに迫るが、ラインアウトなどセットプレイでミスを連発して得点には至らない。さらにNTTドコモはDFでも集中力を発揮してNECの攻撃を凌いでいたが、27分にNECはフェーズを重ねて手薄になったNTTドコモDF陣の隙を突き、田村の個人技からボールを受けたWTBニール・ブリューが中央にトライを挙げて3-28と勝負をほぼ決定づけた。 快勝で3大会ぶりの日本選手権出場を決めたNECは、トーナメント戦に入り期待通り試合巧者ぶりを発揮した。NTTドコモもチャレンジャーらしく積極果敢に攻撃を繰り返したが、NECの強固なDFの前では単調な攻めとなりNECの術中にはまった形であった。 ● 記者会見ダイジェスト ●
NTTドコモレッドハリケーンズ 下沖監督(右)、才口ゲームキャプテン 下沖正博監督 「先週に引き続き、大阪のホームグラウンドである花園で多くのファンの皆様の前で試合ができることを嬉しく思います。 ──(NECとは)セカンドステージでも対戦して点差が開いていたが、分析と対策は? 「セカンドステージの敗因はセットプレーにあったので、自分達のラインアウト、スクラムをキープすることが勝ちに繋がるとセットプレーをしっかり一週間準備していました。NECも分析力がありますので、相手も分析していると思っていますので、今までのことをそのまま使うのではなく少し変えるところは変えて臨みましたが、分析以外のところでのラインアウトやディフェンスでのプレッシャーが強くマイボールをキープできず、思い通リのアタックができませんでした。ラインアウトを起点としてもう少しアタックしたかったのですが、起点をつくることができませんでした」 才口將太ゲームキャプテン 「本日は素晴らしい環境とたくさんの声援に感謝しています。 NECグリーンロケッツ 相澤総監督(左)、瀧澤キャプテン 相澤輝雄総監督 「NECを応援してくれた皆様に花園で勝利したことを報告できることを嬉しく思います。また、3年ぶりの日本選手権に出られることも非常に嬉しく思っています」 瀧澤直キャプテン 「この試合に勝つことしか考えていなかったので、内容とか過程とかは別にして勝利したことと、3年ぶりに日本選手権に出られることを本当に嬉しく思いますし、その切符を手に入れることができた良いゲームだったと思います」 ──ゲームの中でのポイントとなったところは? 相澤総監督 「風の強い試合で、風の影響が左右する試合でしたので、前半に風上で良い得点ができたことと、後半も風下の中でも非常に良いディフェンスができNECの目指しているラグビーができたと思います」 瀧澤キャプテン 「風上、風下を意識した中で前半に得点できたことと、風上を自分達が選んだことで相手のエリアに居ながら得点したことです。苦しい時間帯でも要所のセットプレーで自分達の思い通りに運べたことが勝利に結び付いたと思います」 ──風上の前半20分位まで点が獲れなかったが焦りはなかったか? 瀧澤キャプテン 「点を獲らないのは慣れているので(笑)、前半20分位得点が獲れなくてもディフェンスをすればよかったので特に焦ることもありませんでした。スクラムでもコンタクトでも要所を押さえていると意識していましたので、焦らず試合を進められると思っていました」 ──日本選手権は大学のチャンピオンと対戦するが、どう考えているか? 相澤総監督 「帝京大は強いチームですので、大学とのやりにくさはあるが、気にせず次の準備を一週間したいと思います」 瀧澤キャプテン 「今回の試合でも目の前の試合に勝つことをフォーカスしてきたので、大学生とか関係なく、目の前の相手に対して自分達のできることを100%やるだけという意識は強くあります」 (記事:石川悟、蜷川善夫、玉川育夫 写真:山口勝一、前田寛文 広報担当:村島博) |