プレシーズンリーグ トーナメント戦 2回戦マッチサマリー(神戸製鋼 27-24 サントリー)
(写真:松本かおり)
神戸製鋼コベルコスティーラーズ 27-24 サントリーサンゴリアス プレシーズンリーグ カップトーナメント 決勝戦 日本のラグビーファンだけでなく、国民の多くに衝撃と感動を与えたラグビーワールドカップイングランド大会。今シーズン、国内ではW杯開催に併せて実験的・革新的なスタイルとして「プレシーズンリーグ」が開催され、トーナメント戦各プール1位同士が激突するカップトーナメント決勝戦の火蓋が切って落とされた。 代表選手のいない戦いとなるプレシーズンでは、代表に引けを取らない選手の活躍や才能を発揮できるシーンを見逃せない。また各チーム戦力の厚みを確かめ、新戦力や成長著しいプレーヤーを発掘できる好機でもあった。 試合は前半開始早々、ボールを積極的に動かすサントリーから神戸製鋼陣10mライン付近で神戸FL橋本がターンオーバー。14番アンダーソン フレイザーが約60mを走り、最後はサポートしたSO山中が右中間に先制トライ。ゴールキックも山中が無難に決めて7-0。 序盤から、テンポの速い試合展開を望むサントリーとセットプレーで優位に立ちたい神戸製鋼との攻防駆け引きが随所で行われた。 攻め続ける神戸製鋼。しかし前半27分、神戸製鋼BKの一瞬の隙をついてサントリーCTB村田がインターセプト、約40mを走り切りトライ。ゴールキックも決まり17-7とする。33分にはサントリー陣ゴール前ラインアウトからのモールを押し込み、神戸製鋼HO長崎が密集を抜けてトライ。ゴールを決めて24-7。前半は神戸製鋼ペースの展開で終わった。 後半、どちらも一進一退の攻防が続くも決定的なチャンスとはならなかったが、17分に投入されたサントリーSH流がテンポアップし徐々にサントリーの動きに勢いが増してきた。 完全に勢いに乗ったサントリーは続く30分、FL西川がラックサイドを突いてトライ。24-24と振り出しに戻した。後半終了のホーンが鳴り響く中、最後のチャンスを手にするべく全てのプレーヤーが全精力を注ぎこみ攻防を続けた。一つのミスも許されない緊迫した状況の中、サントリーの反則により最後の攻防は幕を閉じた。神戸製鋼SO田邊が慎重にPGを決め27-24、神戸製鋼の優勝が決まった。 表彰式では日本協会副会長・トップリーグチェアマンの高島正之からトロフィーが手渡され、有終の美を飾った神戸製鋼。11月からのトップリーグ新シリーズに向けて多くのファンが期待できる試合となった。マン・オブ・ザ・マッチには神戸製鋼HO長崎が選出された。 ● 記者会見ダイジェスト ●
サントリーサンゴリアス フレンド ヘッドコーチ(右)、村田ゲームキャプテン アンディ・フレンド ヘッドコーチ 「前半はファンダメンタルなエラーが沢山出ましたが、選手は後半に修正してアグレッシブなアタッキングラグビーをしてくれました。もちろん、勝てなかったですが、選手は良く頑張ったと思います」 ──夏合宿で大敗した相手だったが? 「自分たちでこだわっている、クリーンアウトやタックルの小さい部分が成長して来たと思います。神戸製鋼さんには9週間前に、やらねばならないことに気付かせていただきました」 村田大志ゲームキャプテン 「ゲーム前から、後半ラスト20分にサントリーの時間が来るのでと言って来ました。選手は最後まで我慢してくれました。最後のワンプレーは小さいが、大きな差だと思います。勝ち切れるチームにして行こうと思います」 ──夏合宿で大敗した相手だったが? 「あの時点では、エリアマネジメントはせず、あえて個人のスキルで臨んだ試合でしたので」 ──最後の場面は? 「向こうがアタックしてくると、我慢しきれなかったですね。自陣からやってくるかなと思っていました。フィットネスに自信のある自分たちにとっては、我慢しなくてはいけないところでした」 神戸製鋼コベルコスティーラーズ クッツェー ヘッドコーチ(右)、橋本キャプテン アリスター・クッツェー ヘッドコーチ 「こんにちは、そして、おめでとうと両チームに伝えたい素晴らしい試合でした。これは、日本ラグビー全体にとっても良い試合でした。キャプテンにもタイトルを取っておめでとうと言いたいと思います。チームが始まってから、ここに至るキャプテンシーに敬意を表します。プレシーズンマッチも勝つことは重要です。メンタル面でウィニングカルチャーを浸透させる意味で、ファイナルで過去に何度か負けている自分としては選手たちには良い経験になったと思います。 ──日本代表がスプリングボクスに勝った試合は? 「素晴らしい試合で、信じられませんでした。今回のワールドカップではレベルの低い試合は2試合だけで、スタンダードが高い大会です。大会自体が良いブランド価値を持つようになりました。レフリーが良い判断をして、論争があまりないこともあり、全体にとって良い大会になっています。日本代表はセレブレイトされるパフォーマンスを披露しています」 橋本大輝キャプテン 「今日もヘッドコーチがすべて言って下さったので(笑)。まず、素晴らしい環境で試合ができたことに対し、関係者、ファンの皆様に感謝申し上げます。プレシーズンリーグでタイトルを取ることができましたが、もう終わったことです。トップリーグで、どう勝つかが重要です。タイトルを取ったことを、今日、しっかり楽しんで、トップリーグでもタイトルが取れるよう頑張っていきたいと思います」 ──今日の課題は? 「ヘッドコーチが言っていた、ダークプレイスをどう打開していくかが重要ということです。ぼくらの戦術から離れていたところがあり、戻ろうと周りから声が出ていました」 ──今日の日本代表に期待することは? 「期待は勝つことだけです。新たな歴史を作ってもらいたいし、戻ってくれたらラグビー人気が上がり、勢いが出て、盛り上がって欲しいと思います」 マン・オブ・ザ・マッチは神戸製鋼コベルコスティーラーズ2番、長崎健太郎選手
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