トップリーグ2015-2016 第1節 マッチサマリー(パナソニック 38-5 サントリー)
パナソニック ワイルドナイツ 38-5 サントリーサンゴリアス トップリーグ2015-2016 第1節 グループA パナソニック ワイルドナイツがサントリーサンゴリアスを圧倒、例年より約2ヶ月遅い開幕となった今季のトップリーグ初戦を快勝した。 ナイトゲームにはやや肌寒い天候だったが、イングランド(ワールドカップ)から東京・秩父宮へ運ばれて来たかのような熱気の中、キックオフからいきなりチャンスを掴んだのはパナソニック。自陣から繋いでオーバーラップを作り出し、WTB北川智規を走らせる。北川の独走は、この日はFBに入っていたサントリー松島幸太朗に阻まれるが、その後得たPGのチャンスをSOベリック・バーンズが確実に決めてパナソニックが先制した。 パナソニックはそのリスタートからも敵陣へ攻め入り、ゴール前ラックから出たボールをSOベリック・バーンズが左足でインゴールへ転がす。そこに飛び込んだのはWTB山田章仁。左隅からの難しいゴールもバーンズが成功させ、パナソニックが7分までに10-0とした。 後半、明らかにサントリーがペースアップ。自陣からもキックを使わずボールを繋いでパナソニック陣へ。しかし、何フェーズにも及ぶサントリーのアタックにも、パナソニックのディフェンスは崩れない。ブレイクダウンでも規律を守り、ターンオーバーのチャンスを狙っていた。圧巻は11分、自陣でサントリーのアタックを止めた後のラックで山田がボールを奪うと、巧みなボディターンとコース取りで一気に敵陣へ。その後のラックから出たボールを、バーンズが右サイドにいたCTB JP・ピーターセンにキックパス。そのままインゴールへ走り込んで3つ目のトライ。その後サントリーに1トライを許すも、終盤にはHO堀江翔太主将が2度3度とボールタッチした攻めの後、FL劉永男がチーム4つ目のトライで仕上げた。 サントリーのランナー、NO8ツイ ヘンドリック、SOトゥシ・ピシ、松島らがボールを手にするや、すぐにパナソニックのディフェンスが襲いかかる。LO真壁伸弥主将らFWの突進もがっしり受け止める。この日、サントリーのラインブレイクをほとんど許さなかったディフェンスを背景に、バーンズとSH田中史朗の正確なプレー選択でチャンスを掴み、それを山田やピーターセンらアウトサイドバックスが仕留めるという、理想的なプレーを展開した。 ● 記者会見ダイジェスト ●
サントリーサンゴリアス フレンド ヘッドコーチ(右)、真壁キャプテン アンディ・フレンド ヘッドコーチ 「ありがとうございました(と、日本語で、以下は英語で)自分たちの望む試合ができず、前半15分から20分まで、ファンダメンタルなミスや規律を守れない場面が出てしまいました。パナソニックさんは美しいプレーを見せてくれましたし、バーンズ選手が素晴らしいゲームコントロールをして、チャンピオンチームである理由を示したと思います。自分たちのアグレッシブアタッキングラグビーがそのためにできませんでした」 ──若手を積極的に起用したが? 「とても多くの経験ができました。エラーも多かったですが、ベストのチームとやってのことなので、自分たちの成長につながると思います。もちろん、来週はこれを生かして勝つつもりです」 ──ワールドカップから戻ったバーガー選手たちを起用しなかったのは? 「火曜日がセレクションの日ですが、火曜日の夜に到着したので。次の試合には出ると思います」 真壁伸弥キャプテン 「入りの部分がまずくて、自分たちの流れが作れず、ラックへの入りも負けていて、修正することができなかったのが敗因です」 ──修正できなかった部分は? 「パナソニックさんはラックで人を使わず守っていたので、自分たちがそこを無理してしまい、ブレイクできず、ディフェンスで今日は受けてしまったと思います」 ──開幕戦で人が来たが? 「非常にたくさんの皆様が来てくださったのを嬉しく思います。それにもかかわらずサントリーの熱量が足りなかったことを申し訳なく思います。もっと面白い試合をお見せできるように練習していきたいと思います」 ──日本代表としての挨拶をして? 「気持ちがブルーだったので(苦笑)いざ、話そうとすると、うまくいきませんでした」 パナソニック ワイルドナイツ ディーンズ監督(右)、堀江キャプテン ロビー・ディーンズ監督 「まず、初戦を良い形でスタートできて嬉しく思います。しかも、あのように素晴らしい試合でしたし。コーチングスタッフの観点では、初戦は正確なプレーが難しいのですが、それができていて喜ばしいです。選手たちが一つになって、エキサイトして楽しみながらゲームしてくれました。日本代表の選手たちもワールドカップから帰って来て、パナソニックのラグビーを理解して、上手くフィットしてくれました」 ──今日はバーンズ選手の貢献が大きいのでは? 「バーンズ選手はチームにとっての心臓です。田中も良く、キープレーヤーの二人が機能しました。コントロールして、精度が高かったと思います。また、ディフェンスで落ち着いてサントリーさんのしたいプレーをさせませんでした。もう一人、素晴らしい働きをピーターセン選手がディフェンスでしてくれました。アタックでも、サントリーさんに疑問を投げかけてくれました」 堀江翔太キャプテン 「お疲れ様です。(プレスの取材の皆様が)たくさん来てくださってありがとうございます。嬉しいです。僕自身がチームの頑張ってきたことにどうフィットするか不安もありました。しかし、厳しい練習をしたパナソニックの体力は素晴らしく、選手がやってくれて、僕の声も聞いてくれて、何とか勝つことができました。ただ、サントリーさんも東芝さんもまだ、本領ではないと思います。次のステップへ進めるよう、ミーティングして次の試合に向かっていきたいと思います」 ──アジャストに不安とは? 「思っていたよりフィットしていましたが、まだ、頭で考えてやっています。相手がどう動くか良く見て、味方と自分の良いところを生かして行こうとしましたが、もっとコミュニケーションをとって、スペースのあるところへボールを運んで行こうと思います」 ──4年前と比べて? 「僕自身はクラブも、スーパーラグビーもモチベーションは変わらず、目の前のどの試合にも向かって行きますが、4年前より気持ち良くできたかな、という感じです。代表の選手たちはモチベーションを上げるのが難しいので、チームスタッフと話し合っています。僕は1週間休んで、2週目から身体を動かしましたが、他の選手では2週間休んだのもいます。山田なんかテレビに出っぱなしでしたが(笑)。しっかり充電して、チームの感触を肌で感じることができました。パナソニックでずっと走っていた選手がすごくフィットしていて、勝ちたいという気持ちがあって、こちらも下手なプレーはできないなと思いました」 ──ディフェンスが良かったが? 「パナソニックのディフェンスはニュアンスがちょっとだけ違うのですが、向こうのアタックで変わるディフェンスをしています。バックスにそこは任せて、お互いに信頼し合って守っています。サントリーさんのアタック自体、ジャパンウェイみたいな感じなので、代表の選手はその強みも弱みも知っています。そこはチームメイトに教えました。ただ、今日はサントリーさんもアタックをちょっと変えて、進化していました。今日は少しパニックになってもしっかり試合の中で修正できました。サントリーさんもアーリーサポートしてリズムを作るチームなので、二人目の仕事をしっかり、行くところ、行かないところの判断をしました」 ──真壁キャプテンはパナソニックがブレイクダウンを捨てて広がったところを攻めてしまったと? 「それだけではないと思います。たぶん、捨てていたら向こうのリズムになったと。今日は一人一人が理解してやったから向こうが少しパニックになったのかと思います。ロビーさんは向こうが嫌がることをやろうと、行くところ、行かないところの判断を求めています。一人が判断して動いたことに14人が合わせて行くのを理想としています」 マン・オブ・ザ・マッチはパナソニック ワイルドナイツ11番、山田章仁選手
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