トップリーグ2015-2016 第1節 マッチサマリー(リコー 12-39 NTTコミュニケーションズ)

リコー
ブラックラムズ
リコーブラックラムズ
12 合計 39
7 前半 13
5 後半 26
0 勝点 5
0 総勝点 5
NTTコミュニケーションズ
シャイニングアークス
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

リコーブラックラムズ 12-39 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

トップリーグ2015-2016 第1節 グループA
2015年11月14日(土)11:40キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

NTTコム、起用された若手が活躍し5トライで初戦に快勝

ラグビーワールドカップから日本代表チームが帰国して1か月。日本代表に選出された選手は、リコーではマイケル・ブロードハースト、NTTコミュニケーションズではアマナキ・レレィ・マフィのそれぞれ1人ずつだが、この2人の日本代表選手がチームに戻ったことでチームにどれだけいい影響を与えることができるのか?また、両チームの今年の新戦力がどの程度活躍できるのか?が見どころだ。この日、NTTコムはゲームキャプテンに2年目のFL金正奎を起用、またSHに光井勇人、CTBに石橋拓也、FBに小倉順平とBKに3人の新人を起用してきた。
雨の中、両チームともキック主体のゲームメイクをしてきた。雨の中のキックを多用する試合では、ノックオンや反則をしないこと、また、カウンターアタックへのしっかりしたディフェンスをすることがカギとなる。起用された若手選手がこの試合での課題をしっかり実行したNTTコムが勝利を手にし、シーズンのいいスタートを切る試合となった。

前半8分、キック合戦からリコーのキックボールを確保したNTTコムFL栗原大介が中央付近からカウンターアタック。敵陣22mに迫ったところでリコーディフェンスにつかまるが、リコーがホールディングの反則。SOエルトン・ヤンチースがしっかりPGを決め、NTTコムが0-3と先行していいスタートを切った。リコーも、18分、中央のPGチャンスを得たが、FBピータース ダニエルがこれを外し、同点機を逸した。しかし、その直後のドロップアウトでNTTコムが大きく蹴ったボールをリコーSOコリン・ボークがカウンターでパントキック。FLブロードハーストがこのボールを確保して敵陣ゴール前に迫ると、ラックから出たボールをSOボークがうまくオープンサイドにキックパス。このボールが左WTB長谷川元氣の胸におさまりトライ。ゴールも成功し、リコーはすぐに7-3と逆転した。

すると28分、リコーSOボークのキックから、NTTコムがカウンターアタック。FB小倉順平からの右へのロングパスを受けたFL栗原からクロスでWTB鶴田諒につなぐと、鶴田が右ラインサイドを快走。鶴田はゴール前でリコーディフェンスに捕まるが、これによくフォローしたFL栗原がナイスセービングでボールを確保すると、ラックから出たボールをHO三浦嶺がブラインドサイドをゴールラインに持ち込んだ(ゴール成功、7-10)。NTTコムは、更に、前半35分にもPGで3点追加して7-13で前半を終えた。

後半に入っても、NTTコムの若手選手の活躍が続いた。後半6分にはラインアウトから右オープンのアタックでCTB石橋がラインブレイク。すると、ラインアウトには参加せず、バックスの後ろに位置していたNo.8レレィ・マフィにボールをつなぎ、レレィ・マフィが右隅にトライ。W杯でも何度もチャンスに絡んできたレレィ・マフィが、雨の中応援にかけつけてくれたファンにいいトライを見せてくれた。NTTコムは、更に、後半10分、ラインアウトからフェイズを重ねたアタックでSOヤンチースがリコーディフェンスの裏を狙ってショートパント。リコーバックスがボールをファンブルしたところを、すかさずCTB石橋がボールを奪い、そのまま中央を抜けてトライ。ゴールも決まり7-25と、ほぼ試合を決めてしまった。18分にもNTTコムはゴール前でのラインアウトサイドで、SH光井がリコーFWのサイドディフェンスの隙を見逃さず、スペースを突いてトライ。NTTコムはこれで4トライ目と、ボーナスポイントも獲得した。

リコーはスーパーラグビーのチーフス、そして、W杯でのサモア代表として活躍した期待の新戦力ティム・ナナイウィリアムズを後半14分からCTBに投入、ナナイウィリアムズが何度もラインブレイクして見せ場を作る。24分にはそのナナイウィリアムズのラインブレイクからゴール前でポイントを作るとLOカウヘンガ桜エモシがインゴールに飛び込み、ようやく2つ目のトライを返す(12-32)。その後も、再三にわたりナナイウィリアムズがラインブレイクするが、NTTコムはフィフティーン全員でよく戻りディフェンスが崩れず、それ以上の失点をすることなく、逆に37分には後半WTBに入っている小泉将がリコーの2人のタックルをはじき飛ばして、とどめのトライ(ゴール成功)。NTTコムが12-39のスコアでの完勝となった。
W杯帰りのレレィ・マフィから日本代表の「ハードワーク」のいい影響をもらったNTTコムの若手選手が、雨の中、ミスも少なく、ディフェンスの集中力が切れずにプレーできたことがこの日の試合の大きな勝因だろう。試合数の少ない今シーズンのトップリーグではプール戦での1勝が、プール戦上位8チームで争うLIXIL CUP進出に大きく影響する。NTTコムが大きな勝利でプール戦をスタートした。
(正野雄一郎)


● 記者会見ダイジェスト ●

リコーブラックラムズ

リコーブラックラムズ
神鳥監督(右)、野口キャプテン

神鳥裕之監督

「今日は雨の中、多くのファンの方に来ていただき感謝します。初戦の重要な試合として臨んだのですが、完敗です。次戦に向け、修正するべきところは修正し、あらためてしっかり準備をしていきたいと思います」

──後半途中からCTBに投入したティム・ナナイウィリアムズに対する評価は?

「試合の流れを変えたいと思って後半14分に投入しました。ナナイウィリアムズのいい持ち味を発揮できたと思います。今後の活躍に期待しています。今日はCTBに起用しましたが、ナナイウィリアムズはバックスのどのポジションもできるユーティリティプレーヤーなので、よく見て彼の起用ポジションを固めていきたいと思います。

──今日の試合では選手にミスが多かったですが?

「これだけミスが多かったのは誤算です。ブレイクダウンのプレーでのレフリーとのコミュニケーション、また、ブレイクダウンへの2人目の精度や、ボールキャリアの正確性などが課題です。意図した通りのプレーができず、試合をリードできませんでした。雨という気候もありましたが、ハンドリングの精度も上げていかなければいけないと思います。

──今シーズンから加入のオーストラリア代表SOバーナード・フォーリーはいつごろから起用予定ですか?

「フォーリーは先週水曜日に来日、合流したばかりです。しかし、2戦目か3戦目には試合のスコッドには入れると思います」

野口真寛キャプテン

「雨の中、たくさんの方々に秩父宮に来ていただきありがとうございます。今日の試合はミスで自滅した試合です。レフリーとのコミュニケーションの悪さが失点につながったと思います。雨のせいもありますが、ルースボールをうまく取れず、イレギュラーからの失点を重ねてしまいました。次戦に向けしっかり修正していきたいと思います」


NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス
ペニーヘッドコーチ(右)、金ゲームキャプテン

ロブ・ペニー ヘッドコーチ

「ワールドカップでの日本代表のすばらしいプレーを誇りに思います。日本代表のいいプレーのおかげもあり、今日は自分たちのいいスタイルのラグビーを出せたと思います。今日は試合では若い選手たちが活躍してくれました。若い選手たちが育ってきてくれてうれしく思います」

──今日の試合では特によかったと思われるディフェンスについて? また、若手選手のポテンシャルについてはどう思いますか?

「8月から9月にかけて、個人の成長を中心にトレーニングしてきました。今日はレレィ・マフィ、金、栗原、石橋、ヤンチースらがとてもいいディフェンスをしてくれました。レレィ・マフィはW杯から帰国後、早い段階からチームに合流し、若手選手の能力を引き出してくれました。これをうまくマネジメントできればNTTコムだけでなく、日本ラグビー全体にもいい影響を出せると思います。

──今日は金正奎選手をゲームキャプテンに起用しましたが?

「金正奎選手は昨年入部したばかりの2年目です。しかし、昨年から彼にはリーダーの素質があると気が付いていました。彼はチームスタンダードを上げてくれ、チームを引っ張ってくれています。リーダー陣の一員として期待しています。将来、キャプテンになるのにさほど時間はかからないかもしれません」

金 正奎ゲームキャプテン

「素直に勝てて良かったと思います。チームとしてやってきたことをシンプルに出せた結果だと思います。ディフェンスでも我慢のタックルを続けて止めきることができました。今日は多くの新人選手が活躍しましたが、新人選手だけでなくプレーヤー全員が100%やるべきことをやりきった結果だと思います」

──アマナキ・レレィ・マフィ選手がW杯の日本代表からチームから持ち帰ってものは?

「レレィ・マフィ選手のW杯日本代表での活躍は部員の皆に大きな刺激となりました。レレィ・マフィと一緒にプレーしていることを誇りに思うだけでなく、自分たちにも日本代表という目標があると、いい刺激をもらっています。レレィ・マフィら日本代表選手がやっていた『ハードワーク』にいい影響を受け、全員がハードワークするようになりました。私、選手個人としても2019年をターゲットに、これまでより、もっと、もっと、日本代表になりたいという意欲が出てきました」






マン・オブ・ザ・マッチはNTTコミュニケーションズシャイニングアークス9番、光井勇人選手




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