トップリーグ2015-2016 第3節 マッチサマリー(パナソニック 59-28 リコー)

パナソニック
ワイルドナイツ
パナソニック ワイルドナイツ
59 合計 28
24 前半 7
35 後半 21
5 勝点 1
15 総勝点 2
リコー
ブラックラムズ
リコーブラックラムズ
(写真提供:上毛新聞社)
前半20分、ヒーナンの力強いトライ

パナソニック ワイルドナイツ 59-28 リコーブラックラムズ

トップリーグ2015-2016 第3節 グループA
2015年11月29日(日)13:00キックオフ/群馬・太田市運動公園陸上競技場

野武士軍団の地元“不敗神話”、続く

パナソニック・ワイルドナイツが地元・太田でリコーブラックラムズを迎え討ち、全勝をキープした。同時に、三洋時代から続く太田での公式戦連続勝利記録を26に伸ばした。
W杯後、地元での初開催となった試合には5,756人のファンが押し寄せ、選手とともに勝利に酔いしれた。

パナソニックボールのキックオフで試合開始。そのまま相手陣に攻め込んでリコーのペナルティを誘い、選択したスクラムからNo.8マッカルマンがサイド攻撃を仕掛け、ラックでテンポを作ってBKに展開、早々に北川が中央に飛び込んで最初のトライを決める。(三輪G成功7-0)
その後もバーンズのキックを起点にパナソニックがほぼ相手陣でゲームを進める。山田、ヒーナンらの鋭いランで攻め立て、リコーがまたもハイタックルのペナルティ。ここはタッチキックでゴール前でのラインアウトを選択。矢田部がしっかりとキャッチして作ったモールを押し込み2つ目のトライ。三輪がGも決め、開始11分で14-0と優位に立つ。

リコーも食らいつく。パナソニック陣深い位置でのスクラムでプレッシャーをかけてコラプシングを誘い、タッチキックからL.O.。そこからのボールをFWで激しく攻めて17分にトライをもぎ取る。(フォーリーG成功14-7)
両チームの果敢にアタックを仕掛ける姿勢にスタンドは大いに盛り上がり、それを受けてか選手もさらにヒートアップ。ここで光るのはまたしても山田とヒーナン。ステップを切りながら加速するランで大きくゲインすると、BKでつないだボールを左外でキャッチしたヒーナンがやや強引に走り切ってトライを挙げる。(三輪G成功21-7)

キックオフから攻めたいリコーはFW戦に活路を見出したか、数回得た相手ペナルティの場面ではとことんスクラムにこだわる。しかしブロードハースト、桜エモシらの突進でじりじりと攻めるも、パナFWの低く鋭い出足のディフェンスに要所要所で押し返されてスコアを取りきることができないまま前半を終了する。

会場を沸かせた山田選手、切れきれのステップ

後半、リコー反撃開始。マイボールキックオフから相手陣に入り込み早い球出しで連続攻撃をしかけ、最後はプロップ辻井がこの日2つ目のトライを挙げる。(G成功24-14)
後半開始2分でのトライでリコーがゲームの均衡を取り戻すかに思えたが、ここからパナソニックが凄みを見せつける。W杯を経て身体のキレを増した山田がここでもナイスランを見せてリコーを翻弄、また前半から“格の違う”アタックを重ねていたマッカルマンが爆発、10分に鋭さと強さを備える個人技でリコーディフェンスを切り裂いてトライを決めると、19分にはハイパントからきれいに展開して最後はプロップのヴァルがトライ、23分にはバーンズのカットインによくリアクションした西原が、26分にはマッカルマンの突進からラックを重ねたところに猛然と走りこんだ林がトライを挙げて突き放す。この3連続トライ(三輪Gすべて成功)で52-14とし、勝利を固めた。

リコーも最後まで切れずによく攻め、33分にはラインアウトからモールでトライを奪う。(G成功52-21)その3分後には自陣ラインアウトから同様にモールをきれいに押し込まれてトライを奪われるが、試合終了間際の40分にはSOフォーリーが鋭く切れ込み裏に出て左WTB星野にきれいに渡して4つ目のトライを挙げて貴重なボーナスポイントを獲得した。

この日、リコーで初先発となったフォーリーの存在感は素晴らしく、随所に見せる研ぎ澄まされたプレーは“世界”を感じさせた。両軍には他に何人ものW杯出場選手がプレーし、ワールドクラスの技術と強さを披露、またその刺激を受けた周りの選手も決して遜色ないレベルにいることを示した。トップリーグが新たな段階に進んだことを感じさせたとても贅沢な試合だった。

MOM(マン・オブ・ザ・マッチ)にはこの日9本のキックをすべて決めた三輪忠寛選手が堂々選ばれた。三輪選手は地元群馬出身で、会場にはご家族や後輩にあたる多くのちびっ子ラガーたちが集まり歓声を贈った。
この日はマッチデープログラムの作成配布に始まり、ブーステントでの盛り上げ、地元チアチーム「Visage(ヴィザージュ)」によるパフォーマンス、可愛いエスコートキッズによる先導、ハーフタイムには今冬の全国大会出場に臨む明和県央高校、群馬県スクール選抜の壮行会、MOMセレモニーなど盛りだくさんの内容で、群馬のラグビーファンにとって楽しみ満載の1日だった。
(群馬県協会 相澤悦朗)

W杯戦士のブロードハースト選手も存在感を示した

● 記者会見ダイジェスト ●

リコーブラックラムズ

リコーブラックラムズ
神鳥監督(右)、野口キャプテン

神鳥裕之監督

「まず、今日もたくさんのお客さまの前でプレーできたことに感謝します。われわれとしては開幕からの2試合が満足のいく内容ではなかったので、チャンピオンチームを相手に一泡吹かせてやろうという強い気持ちで臨んだ試合だったが、パナソニックさんの素晴らしい攻撃に対して我々がディフェンスでしっかり止めきれず、結果としては悔しい内容になってしまった。リーグ戦はまだまだ続くのでここで下を向くことはせず、最低限の勝ち点1を取れたということを自分たちの励みにして次に備えていきたい」

──バーナード・フォーリー選手を起用したが期待通りだったか?

「本来ならもっと早く使いたかったが、コンディションを整えながら満を持しての登場となった。内容は期待に応えてくれるものだった。特に最後のボーナスポイントにつながるトライの場面では彼がチャンスの起点となってくれた。ワールドクラスの選手として期待通りのプレーを見せてくれた。今後もさらに期待したい」

野口真寛キャプテン

「多くのご声援、ありがとうございました。監督が言った通り今日はチャレンジした試合だったが、ディフェンスの面で反省が多かった。(いっぽうで)相手陣に入ってからの前5人でのFW戦で前に進むことができていたことなどに手応えを感じた。チャンピオンチームであるパナソニックから4トライを奪えたことはポジティブに、次につながる試合だったと思う」

再三にわたり力強いアタックを見せたマッカルマン

パナソニック ワイルドナイツ

パナソニック ワイルドナイツ
ディーンズ監督(右)、北川ゲームキャプテン

ロビー・ディーンズ監督

「リコーさんも今日は必死の思いで勝つためにここ太田にやってきのだと思う。我々に対していろんなことを試して、結果4トライを奪った。そのおかげで今日は素晴らしい試合をすることができた。たくさんのファンのみなさんの前で今日のような試合ができてとても嬉しい。
新しい選手をトップリーグにデビューさせることができた(水上選手)こと、そして、堀江翔太がワイルドナイツとして100キャップ目の試合となったことも我々にとってとても嬉しかった。ただ今日のスキッパーは隣にいるトモキ(北川選手)。笑」

──29点の失点は想定内?

「もちろん計画通りではないが、リコーさんも絶対に勝つという強い気持ちで来られたのが伝わったし、それに対して我々も素晴らしいラグビーをしたことで良い試合になった。選手たちが自分たちで考えて、自分たちの強みを出し切ってトライを取ることができたことは今後の可能性につながる」

──W杯を終えて初めての地元太田の試合を、このようにとても多くのファンの前で行ったが、どういう思いでプレーした?

「今日来ていただいた大観衆の皆様の歓声が間違いなく選手たちの背中を押した。ラグビーに対する関心が高まっているのは普段の練習の時にも観に来る人が増えるなどで実感していたし、W杯以後の空気の変化は感じていた。しかし偶然このような状況になった訳ではなく、その過程において多くの努力が費やされていることを知っている。先ほどスピーチをしたワイルドナイツスポーツプロモーションのミヤッキー(三宅代表)は地域の中でラグビーの普及のために非常に素晴らしい仕事をしている。そういう積み重ねが今日のような集客につながっている。選手たちも小学校や地域の団体を回ってさまざまな活動を行っている。今日のように素晴らしい声援に背中を押してもらうのに相応しい活動をしていると思う。(窓の外を指して)そして、次の世代を担う子供たちの笑顔をこのように見られるということは本当に素晴らしいことだと思う」

北川智規ゲームキャプテン

「自分たちが何ができるかチャレンジしたゲームだった。前の試合で相手に合わせすぎたり考えすぎたりした部分があったので、自分たちの目の前で起こったことに対してどれだけ良いリアクションを取れるかということを目標に臨んだ。それができた部分とできなかった部分があったが、できなかったなりにもこの点差で勝てたことには伸びしろを感じるし、もっともっといいチームになっていけると思う。
監督も言ったが新しい選手が入ってきた。彼らはいい意味でアホ。色んなものを貪欲に吸収しようとして俺らに対してもガンガン来るので本当に恐ろしい奴らが入ってきたなと感じる。いい意味でアホです。笑」

──29失点について。前半にペナルティを重ねたことを含めて。

「一つのペナルティ、一つのミスが即失点につながるということをあらためて学んだ。自分たちがやらなければならないのは、ミスをしないペナルティをしないことをもう一度意識すること。そうしないとこれ以上勝っていくことはできない。今日も最後に自分たちがボールキープしていたにも関わらず、一つのミスでトライまで持って行かれてしまった。そういう甘さがいっぱいあったから、あれだけ攻めていたのに29点も取られてしまう結果につながった。そこが反省点」

──今日の試合でできた部分とできなかった部分を具体的に。

「リコーさんがどんなラグビーをするかはある程度わかっていたが、アンストラクチャーの場面がどういう風に動くかはわからなかった。そこでしっかりと目の前を見て、相手のディフェンスに対応していくところはできていたと思う。できなかったのは自分たちの中でしっかりと規律を守れなかったこと。細かいミスがあったことだと思っている」

──ノットロールアウェイが続いた場面について。

「レフリーとはゲーム中に話し合い、初動が遅いと言われていた。リコーさんの巧さもあった。レフリーの見解に対して修正すべきだったが、林が取られたのも稲垣が取られたのも初動。同じことを繰り返して言われるということは、それはあかんことなんで、自分たちが修正しきれなかったということ」

──FW、BK関係なく戦うパナソニックらしさが出ていたが。

「監督が練習中によく言うのが、ゴール前では背番号は関係ないということ。それを自分たちもチームポリシーにしてきた。そのように見てもらえたのであればロビーのいうことを実践できたことになるので嬉しい」

──地元の大観衆の前での試合は?

「やはりお客さんに観てもらうことは選手にとってモチベーションの上がること。応援してもらえたら嬉しい。これを一過性のものにしたくない。ロビーが言った通り地道な活動もずっとやってきているので、みなさんぜひ取り上げてください。笑
僕たちはほんまに呼ばれたらどこでも行ってるんで沖縄から青森まで行ってます。オフシーズンだったら全国各地どこでも行きます。ご応募お待ちしてます!笑」

前後半にわたりボールに絡み続けた西原選手

豪代表フォーリーは鋭いパスとランでたびたびパナのDFを切り裂いた

スタンドを埋め尽くす大観衆

キック成功率100%でMOM(マン・オブ・ザ・マッチ)に輝いたパナソニック ワイルドナイツ15番、三輪選手。副賞は群馬のマグロ???

開門前から多くのファンで賑わったブーステント

エスコートキッズと共に入場する両軍

ハーフタイムに行われた壮行会。仕切りはこの人、ミヤッキー

恒例となった試合後の風景。ファンと選手がグランドで一体に

出場のなかったホラニ選手のもとには長蛇の列

新名物となるか?初お目見えの太田版芝被り席

丁寧なファンサービスする人気者、山田選手

RELATED NEWS