トップリーグ2015-2016 第4節 マッチサマリー(NTTドコモ 14-36 トヨタ自動車)
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NTTドコモレッドハリケーンズ 14-36 トヨタ自動車ヴェルブリッツ トップリーグ2015-2016 第4節 グループB ジャパンラグビー トップリーグ2015-2016リーグ戦は早くも折り返しの第4節。これまで共に2勝1敗と好調な両チームの戦いとなった。前節、トヨタ自動車は愛知ダービーで豊田自動織機を大差で破り、一方のNTTドコモも優勝候補の神戸製鋼に逆転勝ちをおさめ波に乗る。グループ首位を走るヤマハ発動機への挑戦権を獲得するためにも両チームにとって負けられない一戦は、冬空の東大阪市花園ラグビー場に9000人近い大観客を集め、NTTドコモSOハンドレ・ポラードのキックオフで開始された。 前半、先手を取ったのはビジターのトヨタ。開始直後の2分、2週連続のマン・オブ・ザ・マッチとこのところ絶好調のNo8安藤泰洋が突進。ドコモゴールに迫った右中間ラックからBKが左に展開し、最後は左WTB和田耕二が左中間に飛び込んだ。SO文字隆也のゴールも決まり、あっさりと7点を先制した。さらにトヨタは12分にも、ゴール前15mの左ラインアウトから強力FW陣がモールを押し込んでNo8安藤がトライ。SO文字のPGも決まり、前半20分で0-17。 後半に入ってもトヨタの勢いは衰えない。6分にHL付近から左に展開、FW、BK一体となった攻撃で最後はFL杉本晃一がトライ。さらに10分にはドコモボールをターンオーバーしてゴール前に迫り、右中間ラックからBKが左に大きく展開、WTB和田がこの日3本目のトライを挙げ7-36とダメを押した。 前節、神戸製鋼を破るなど好調さを維持していNTTドコモだったが、トヨタ自動車の強力FW陣に阻まれ活路を見出せないまま、一方的なゲーム展開で敗れ去った。強力な助っ人陣を擁しているだけに何とか修正し、次節のグループ首位ヤマハ発動機戦に臨んでほしい。 ● 記者会見ダイジェスト ●
NTTドコモレッドハリケーンズ 下沖監督(右)、渡辺ゲームキャプテン 下沖正博監督 「試合結果に関しては、トヨタ自動車のアタックに対し序盤から受けに回ってしまったことを、最後まで引きずってしまった。チームとしてはこの試合も勝つことを目的に臨んだが、トライを取り切れなかった。非常に残念だったが次の土曜日にヤマハ発動機との試合を控えているので、今日の課題を5日間できちんと修正して次のゲームに臨みたい」 渡辺義己ゲームキャプテン 「本日は開始10分間にトヨタ自動車の力強い前進をディフェンスが受けてしまい、得点されたことで少し浮足立ってしまった。アタックもトヨタ自動車のフィジカルの強さに対してなかなか前進することができず、ボールを横に動かすことしかできなかった。ただしハーフタイム以降は徐々に修正できたが、その後続かなかったことが修正すべき課題だと思う。今季はいつもより準備期間が短いため、しっかりとリカバリー、修正し、昨年度の日本選手権を制したヤマハ発動機にしっかりとチャレンジして行きたい」 ──ハーフタイム直後に許した連続トライの時点でも修正しきれなかった原因は。 渡辺ゲームキャプテン 「今年のディフェンスのテーマであるラインスピードが後半開始直後にはまだ機能せず、1対1の局面で食い込まれたことで後手に回り、最後に外のスペースにボールを運ばれたことが得点された原因だと思う」 ──試合を通じてトヨタ自動車の出足が強かったということか。 渡辺ゲームキャプテン 「ディフェンスの出足はあまり感じなかったが、強いフィジカルに対してダブルタックルで応じる予定だったが、上手く外にボールを運ばれて1対1の場面を作られたところにトヨタ自動車の巧さを感じた ──ディフェンスに対する評価は。 下沖監督 「今日のトヨタ自動車はアタックの際の間隔が非常に広く、そこに対して内側からしっかりと厚みを持つなど先週の神戸製鋼戦のようなディフェンスの優位性を作れなかったことが課題。試合を通じて全体的にエナジーが感じられなかった点は、トレーニングのマネジメントの誤りであったと反省している。スキルだけではなく練習計画についても修正して、良い状態でヤマハ発動機に挑みたい」 ──初スタメンのポラード選手のゲームメイクなどの評価は。 下沖監督 「セットプレイも先週に比べて安定し、そこから出るボールをしっかりと動かし、キックも交えながら敵陣に入るというプランに沿ったプレイは十分見られた。ゲームマネジメントも非常に上手くいっていると思うが、アタック自体がトヨタ自動車にとってわかり易かったことが課題だ。ヤマハ発動機戦に向けて、相手に的を絞らせないアタックを心掛けたい」 トヨタ自動車ヴェルブリッツ 菅原監督(右)、滑川ゲームキャプテン 菅原大志監督 「NTTドコモは昨年の最終戦で敗れた相手であっただけに、序盤から上手くゲームに入れた点が良かった。前節のゲームからディフェンスを課題に挙げており、その点でも強いボールキャリアの多いNTTドコモ相手に優位に立てたことは1週間の成果である。まだ課題は残っているので、来週に向けてきちんと修正したい」 滑川剛人ゲームキャプテン 「NTTドコモ戦は昨年の苦い思いもあり、勝ちたいと思う気持ちがNTTドコモよりも強かったのではないか。試合内容としてはトヨタ自動車の良い点であるFWの強さと、BKの速さが出た試合だと思う。ただ反省点としてはプレイの精度が80分間の中で下がる局面もあり、その点を修正して次のNEC戦に臨みたい」 ──和田選手が3トライを挙げたが、当初メンバーでなかった和田選手を起用した理由は。 菅原監督 「当初スタメンを予定していた水野が練習中にケガをしたためで、和田にとっては良いチャンスをしっかりものにしてくれたのは嬉しい限り」 ──キックオフ直後から大きくボールを回していくプランは去年の反省からか。 菅原監督 「昨年敗れた相手だけに選手自身が判断した気持ちの表れであった。これまでの何試合かはスタートが上手く切れなかったこともあり、今日は積極的に仕掛けて相手の反則を誘うなどで自分たちのリズムをつかめたことが良かった」 ──これでリーグ戦の前半が終わることになるが、これまで取り組んできたことの手応え、後半戦に向けての課題は。 菅原監督 「TLに入るまでの32週間、チーム作りを行ってきて、そこでやってきたことがゲームに表れている。リーグ戦4試合目、出てきた課題を1週間毎に対応できていて非常に良かった。昨年課題であったスクラムの修正を春からプレシーズンにかけて、特に新戦力を中心に取り組んでおり、良い形で対応できている。今後対戦する上位チームは手強いため、残り1ヶ月半でしっかりステップアップして行きたい。課題はボールポジションをいかにキープするかという点で、今日も細かなミスがあったのでその点を修正していきたい」 ──攻撃のテンポが非常に良かったが、一番の優位点は? 滑川ゲームキャプテン 「ブレイクダウンでFWのリアクションが常にNTTドコモより早かったことで早い球出しができた。そこで出たボールをいかにBKがトライを取り切れるか、その部分の成長が今後の試合では重要になると思う」 マン・オブ・ザ・マッチはトヨタ自動車ヴェルブリッツ11番、和田耕二選手
(記事:石川 悟、丸井康充) |