トップリーグ2015-2016 第4節 マッチサマリー(クボタ 17-40 近鉄)
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トップリーグ2015-2016 第4節 グループA リーグ戦グループA第4節は、ここまで勝点無く8位のクボタスピアーズと、2勝1敗勝点9で4位につける近鉄ライナーズとの対戦。薄曇の下、クボタのキックオフで前半が開始される。 近鉄が開始早々から南アフリカ代表のNO8ピエール・スピースの突破でクボタ陣内に入り込み、ゴール前5m左ラインアウトからモールを押し込みSH金哲元がショートサイドに回りこんで抜け、左隅に先制トライ。難しい位置からのゴールもSO重光泰昌が決め0-7と幸先良く先制する。 クボタの巻き返しが後半の興味となったが、得点を挙げたのは近鉄。9分、前半終了間近のラインアウトからのトライと同じパターンで、モールを押し込み、やはり左FLタウファがトライを奪いボーナスポイントを獲得。さらに14分にはゴール前5m中央ラックから右展開、最後はFB高忠伸が中央まで回りこんでトライ。SO重光のゴールも決まり3-35。重光はここまでゴールキックを全て成功させた。 後半の中盤を迎え、ここまで試合を一方的に支配されていたクボタだったが、戦術的選手入れ替えを行い、28分近鉄ゴール前5m中央ラックから左展開、15番高橋銀太郎がこの試合初めてのトライを中央に決め、ゴールも日本代表の左CTB立川理道が決め10-35。さらに33分にも17番友永恭平が意地を見せトライを奪い、FB高橋がゴールを決め17-35と詰め寄るとスタンドに詰め掛けたファンからは大きな歓声が上がった。 近鉄はこの試合に勝利し勝点5を加え総勝点14。3勝1敗でグループA4位を確保し、LIXIL CUP 2016(1~8位決定トーナメント)進出を目指す。一方、敗れたクボタは、ここまで勝点なく最下位に甘んじているが、実力のあるチームだけに残りの試合での巻き返しを期待したい。マン・オブ・ザ・マッチには、2トライを挙げ、ジャッカルプレーで勝利に貢献した近鉄ライナーズのタウファ統悦選手が選ばれた。花園には久しぶりに1万1千人を超すファンが詰掛けた。この盛り上がりを維持し、今後のトップリーグ、日本選手権の盛り上がりに、ひいては2019年の成功へつなげたいと切に願う。 ● 記者会見ダイジェスト ●
クボタスピアーズ 石倉監督 石倉俊二監督 「本日は2500人のクボタの関西地区の事業所のたくさんの関係者に応援に駆けつけていただき感謝している。試合は、非常に残念な結果に終わったが、この一週間しっかり準備をし、ゲームキャプテンの立川(理)を中心に、選手達で『何とか変えて行こう、やって行こう』と話をし、一生懸命がんばってくれたと思う。ここ3試合ラスト20分でやられているので、80分間戦い抜こうというところだったが、前半から少し離されて、後半はシンビンが続いて追いつかなくなってしまった。選手達は激しくやろうとしているところは良くなっているが、なかなか得点を取り切ることができず、相手にゴール前に釘付けにされてトライをとられてしまったのが敗因だと思う。後が無いので一戦一戦大事に戦って行きたい」 立川理道ゲームキャプテン 「試合の結果は非常に残念。現実をしっかり受け止め、次の試合に向けて準備しなければいけないと思っている。ビデオを見直して、次に向けて自分達が何をしなければいけないのか確認していきたい」 ──ここまで、うまく行っていないのが現状だと思うが、原因は。 石倉監督 「まずディフェンスのところで失点が多いことを問題視している。ここ3試合、後半ラスト20分で大量失点している。そういうことがないようにとこの試合に挑んだが、相手のフォワード中心にゴール前に釘付けにされてトライをとられた。敵陣でエリアを取り、試合を進めたかった。もう一点はトライがとりきれない。プレーの精度というところに問題があると思う。後半最後に自分達の形で得点を挙げたが、ああいう場面をもっと増やしていかなければいけない」 立川ゲームキャプテン 「一週間で、よい準備ができたと思っていた。このようになった結果・原因が自分でもわからないので、これも問題かと思う。しっかり、チームとしてまとまり、次のホンダ戦の分析をして、チームを立て直して行きたい」 ──この一週間かなり手応えがあり自信を持ったと聞こえるが、理想と現実とのギャップについてはどう思うか。 立川ゲームキャプテン 「練習では皆すごく良い練習を行い気合が入ったが、それが空回りしてペナルティーを取られ、大事なところで波に乗れなかった。自分自身、チームとして修正することができずそのままずるずる、レフリーともコミュニケーションがとれず、最後まで響いてしまった。そういう規律のところを練習中から厳しくやって行きたい」 近鉄ライナーズ 前田監督(左)、豊田キャプテン 前田隆介監督 「バックスタンドにもたくさんのお客さんが来ていただき、試合ができたことを嬉しく思っている。試合の方も『先週の試合よりも良い試合をすること』を目標に一週間準備をしてきた。今日はスムーズに点を取るイメージだったが、クボタのディフェンスも激しくて、このゲームにかける思いが伝わるいい試合だった。シーズンはまだ続くし、しっかりとこのゲームを振り返り、次に備えたい」 豊田大樹キャプテン 「先週の試合の次なので難しくなると思っていたが、選手達もいい意味でひきずらず、本当に集中した良いゲームができた。しっかりこれを続けて行きたい」 ──ここまで4試合を行い3勝1敗ということだが、改めて、スピース選手やデアリエンディ選手がチームにもたらしているものは。 前田監督 「皆さんも見られたとおり、ボールを前にしっかり運んでくれ、運んだ後にボールをアライブする。そこにもっと早く我々日本人選手が反応していければ、彼がゴール前まで迫ったところで孤立することも無かったと思う。まだまだ、他の選手が成長していかなければいけない。彼らは、本当にグランドでしっかりとプレーしているので感謝している」 ──スピース選手がひざを痛め今シーズンは厳しいと言うことを聞いたが、状態は。 前田監督 「試合直後なので詳しい状況は分からないが、しっかりチェックしていく」 ──今日の試合で、ボールの争奪に際し、闇雲に突っ込まず、しっかり規律を持ってラックに参加していたが、チームとしての決め事としてチェックしてやっているのか、それともチームの中で意識しなくてもできているのか。 豊田キャプテン 「ブレイクダウンでプレッシャーをかけようとか、捨てようとか、そこまでは話はしていない。ただしっかり選手達一人ひとりが判断したことに対して、反応していこうというのが、この2試合で徐々にできてきている。そこでしっかり良い判断ができていることが、近鉄のディフェンスが成長した要因だと思う」 ──非常に未来が見えてきていると思うが。 前田監督 「今シーズンは開幕からトーナメントの気持ちで目の前の試合を一戦一戦、やろうとしているラグビーをやりきろうと思っている。その結果ここまで3勝させてもらい、これは選手達の頑張り。まだまだトライがとれるシーンが何度もあるので、そこをしっかり取りきることができるよう、追求していきたい」 マン・オブ・ザ・マッチは近鉄ライナーズ6番、タウファ統悦選手
(記事:山林右二、丸井康充) |