トップリーグ2015-2016 第6節 マッチサマリー(ヤマハ発動機 14-43 神戸製鋼)
ヤマハ 五郎丸の突進を神戸 フーリーがブロック
ヤマハ発動機ジュビロ 14-43 神戸製鋼コベルコスティーラーズ トップリーグ2015-2016 第6節 グループB 全勝のヤマハが今季初黒星 開幕5連勝とB組首位を走るヤマハ発動機ジュビロと、首位ヤマハとの直接対決を制し首位を狙う神戸製鋼コベルコスティーラーズとの対戦がヤマハスタジアムで行われた。 ヤマハは怪我のため欠場していた左FLトゥイアリイが4試合ぶりの出場となったが、前節のNTTドコモ戦で危険なプレーがあったとしてSH矢富が出場停止となってしまったのが試合にどう影響するか。一方、神戸製鋼は本来LOのアンドリース・ベッカーを左FLで起用し、FW戦での勝負に挑む。 前半開始直後、神戸製鋼にペナルティーがあり、敵陣ゴール前10mでヤマハがラインアウトを獲得。ヤマハは先制のチャンスであったが、神戸製鋼の前に出る激しいディフェンスに球出しのテンポが乱れ、ゲインラインを越えられず徐々に後退する。17分、ヤマハ左WTB中園は深く蹴り込まれたボールを拾い、走り込んできた神戸製鋼右WTBアンダーソン フレイザーをショートパントでかわそうとしたが、アンダーソンがジャンプしてボールをキャッチし、そのまま右中間にトライ。ゴールも決まり神戸製鋼が7-0と先制する。 その後もディフェンスで神戸製鋼がヤマハに圧力をかけ、ラインアウトではヤマハボールを奪うなど神戸製鋼がゲームを支配する。20分には10mラインアウトを起点に攻め続け、最後はラックからSO山中からライン攻撃に参加した右FLアンドリース・ベッカーを経由し、左WTB大橋が左隅にトライして点差を広げる。さらに神戸製鋼は36分にラインアウトから展開しラックサイドを右WTBアンダーソンが突破し、SHアンドリュー・エリスに繋ぎ中央にトライ。ゴールも成功し19-0と点差を広げる。 後半からヤマハは第1列を3人とも入れ替えペースをつかもうとするが、先に得点したのは神戸製鋼。開始直後2分神戸はスクラムから左に展開し、ヤマハFB五郎丸の必死のタックルも及ばず、左WTB大橋が左隅にトライ。ヤマハは前半の悪い流れを変えられず、神戸製鋼がセットプレーを確実に支配し、トライを重ねる。17分にはラインアウトを起点に左WTB大橋が本日4本目のトライを決め、36-0。差を大きく広げ勝利をほぼ確実にする。 一方、ヤマハは28分10mライン付近ラインアウトから右に展開。SO大田尾が神戸製鋼のディフェンスラインを突破し、途中出場の右CTBシアレ・ピウタウに繋ぎ中央へトライ。ようやく7点を返す。また、終了間際にも敵陣ゴール前20m付近ラインアウトからのモールをFW一体となって押し込み、No.8堀江がトライ。ようやくヤマハスタイルのプレーで意地を見せるが、大きく開いた点差を詰められず結局、神戸製鋼が43-14と試合を制しノーサイドとなった。 神戸製鋼はセットプレーを確実に支配するとともに、チーム一丸となった前に出るディフェンスでプレッシャーをかけ続けた。また、左FLで起用されたアンドリース・ベッカーがセットプレーで存在感を出すだけでなく、ランでもトライにつながるラストパスを演出し、ワールドクラスプレーヤーの実力を見せつけた。 一方ヤマハは強みであるセットプレーが神戸製鋼の厚いディフェンスで機能しなかったとともに、今季全試合先発で5連勝を支えたSH矢富の欠場が大きく響き、攻撃のテンポを作ることができなかった。昨シーズン、神戸製鋼にリーグ戦で負けたところから立て直して、LIXIL CUP準優勝、そして日本選手権優勝まで駆け上がったが、ここからその再現ができるか。次節のキヤノンとのリーグ最終戦までにどれくらい清宮監督がチームを変えてくるのか注目したい。 この日のマン・オブ・ザ・マッチは、4本のトライを決め、神戸のグループB首位浮上に大きく貢献した左WTB大橋由和選手が受賞した。 ヤマハ 三村の突進をとめる、神戸: 木津、ベッカー
● 記者会見ダイジェスト ●
ヤマハ発動機ジュビロ 清宮監督(右)、三村キャプテン 清宮克幸監督 「ホームゲームで、私が知る限り過去最多のファンの前で勝利を飾ることができなくて申し訳なく思っています。やっと見ることができた(大勢の)観客席の姿でした。 三村勇飛丸キャプテン 「たくさんの地元のファンの中でこんな試合をしてしまい、非常に残念です。結果は結果なので、しっかり課題を見つめ直して次のキヤノン戦、トーナメント戦につながる試合をやることが必要だと思います。本日はありがとうございました」 ──矢富選手の欠場でプランが大きく変わったか? 清宮監督 「プランは変わらないが、結果が変わりました」 ──グラウンドレベルでいつも以上に風があったか? 三村キャプテン 「この時期のヤマハスタジアムは風が巻いている状態なのですが、キックケア以外にも対応できませんでした」 ──できなかったところとは? 三村キャプテン 「セットプレー、モールがいまいちだったと思います。そういったところから流れをつかむのがヤマハのラグビーなのですが、そういうプレーができなかったし、ブレイクダウンなども前に出られてしまいました」 ヤマハのトゥイアリイ、大戸、神戸の橋本、ベッカー、伊藤、山下
神戸製鋼コベルコスティーラーズ クッツェー ヘッドコーチ(右)、橋本キャプテン アリスター・クッツェー ヘッドコーチ 「我々にとってこのリーグの状況で勝つことが非常に重要でした。非常に強いFW、ラインブレイクもできるBK、五郎丸選手もいる強く無敗のヤマハとの対戦ですので、だからこそベストを尽くさないといけません。そういう準備をしなくてはいけませんでした。 橋本大輝キャプテン 「今日の試合はテストマッチのように戦おうと言っていました。自分たちにプレッシャーをかけたように相手にプレッシャーをかけ続けたことがこの点差につながりましたし、試合前に全員ですべてを出し切ろうと出ていきました。全員がいいパフォーマンスで全てを出し切れたので、この結果につながったと思います。素晴らしい環境でラグビーができたし、たくさんのお客様に来ていただいて感謝しています。本日はどうもありがとうございました。 ──ベッカー選手をフランカーに起用し、ラインアウトも完勝の秘訣は? クッツェー ヘッドコーチ 「テストマッチを戦うには強固なディフェンスが必要になります。ディフェンスがよければトライにつながるターンオーバーを生み出すことができます。先週、No.8の谷口がケガをしたので、彼に近い選手、そしてバックローでジャンパーになる選手を、ということです。今日は橋本、イシレリ、伊藤、ベッカーと4人のジャンパーを揃えることができました。大きなFWを持つヤマハに対して今日は効果的だったと思います」 ──ラックに人数をかけるとき、かけないときの判断は? クッツェー ヘッドコーチ 「選手がいい判断をしました。ディフェンスシステムの中で我慢し続けてくれました。テストマッチの試合や五郎丸のような選手がいるチームと戦うときは、ペナルティ・イコール・キックというポイントにつながるので、ディシプリン(規律)が重要でした」 ──最初にヤマハのモールを止めたのは大きかったのでは? 橋本キャプテン 「十分対策してきましたし、不安なく自信を持っていきました。モールを止めたことで自分たちに流れがきたと思います」 ──ベッカー選手がFLに入ることで、FWの全体のバランスは? 橋本キャプテン 「チームでも一番いいFLになっているのでは(笑)。彼はワールドクラスなので不安はないし、むしろバックローにはプラスになることしかなかったです」 ──首位になったと思うが、その気持ちは? 橋本キャプテン 「シーズン前に首位通過を目指してきました。残り1試合あるし、満足もしていませんが、来週の試合が終わってから結果が出ますので、そこまで自分たちはチャレンジャーの立場ですので、その気持ちを忘れずにプレーしたいと思います。 ──テストマッチの気持ちで臨んだのは今シーズン初めてか? 橋本キャプテン 「全勝のチームに対して戦うので初めてテストマッチという言葉が出ました。それだけ強い相手なのは間違いがないです。昨シーズンの悔しい思い、リベンジというわけではないが強い思いがありました。テストマッチでチームは統一していたし、去年は去年なので、今年のベストパフォーマンスをすることを考えていました。今日のパフォーマンスが神戸のラグビーなので、あと最大4試合、自分たちにプレッシャーをかけ続けたいし、貫き通したいと思います」 (静岡県ラグビー協会 小林聖子) 神戸 ベッカーの突進
神戸 山中の突進
ヤマハ クリシュナンのタックルをかわす神戸のアンダーソン
ヤマハ 五郎丸のコンバージョンキック
ヤマハ マレ・サウのラン
マン・オブ・ザ・マッチは神戸製鋼コベルコスティーラーズ11番、大橋由和選手
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