トップリーグ2015-2016 順位決定トーナメント 1回戦 マッチサマリー(リコー 17-27 豊田自動織機)

リコー
ブラックラムズ
リコーブラックラムズ
17 合計 27
7 前半 0
10 後半 27
豊田自動織機
シャトルズ
豊田自動織機シャトルズ

リコーブラックラムズ 17-27 豊田自動織機シャトルズ

順位決定トーナメント 1回戦
2016年1月9日(土)11:40キックオフ/東京・秩父宮ラグビー場

昨年末、全日程が終了したリーグ戦の結果からこの日、両チームにとってはある意味最もシビアで、力を振り絞るべき一戦となった。勝てばトップリーグに残留、負ければ入れ替え戦突入。天国か地獄行きかの9位~16位決定トーナメント戦、全3節のうち最も重要な意味を持つ第1節、ここでの敗者は否応なく入れ替え戦へと向かう。今季、未だ勝ち星を掴めていないリコーブラックラムズに対してリーグ戦終盤で勢いに乗る豊田自動織機シャトルズ。今季9月に行われたプレシーズンマッチでは24-19と僅差ながらもリコーがFW勢の果敢な突進から勝利を勝ち取ったが、リーグ戦第6節でNTTコミュニケーションズシャイニングアークスに29-28で競り勝ち、最終節のコカ・コーラレッドスパークス戦では地元の大声援のもと70-17で大勝した流れをそのまま活かしたい豊田自動織機シャトルズ。
両陣営の胸の内とは対照的に穏やかな晴天の秩父宮、選手達に精一杯のエールを送り続ける両応援団、トップリーガーとしてのプライドをかけた戦いの火蓋が切って落とされた。

この日、土壇場勝負での重圧感からか、激しい攻撃の手を緩めない両チームだが、互いのディフェンス圧力が上回り、重要なシーンでの判断ミス、ハンドリングエラーを相互に繰り返す。均衡を破ったのは前半35分、シャトルズ陣22mライン付近から押し込んだモールから出たボールを、リコーブラックラムズSOバーナード・フォーリーが豊田自動織機シャトルズバックス陣形の動きを捉え、裏へのキックパス。WTB長谷川が見事に押さえてこの日初得点。リコーブラックラムズSOバーナード・フォーリーのゴールキックは美しい弧を描いてゴールポスト中央に叩き込まれた。前半はリコーが古豪の意地を見せ7-0で折り返した。

このままでは終われない豊田自動織機シャトルズ、昨年末はホームの瑞穂で地元大応援団に必勝を誓い、この日秩父宮には必死の覚悟で臨んだ。ハーフタイムを終えて再びグラウンドに登場する選手の表情は心なしか決意と自信に満ちていた。
後半開始早々の2分、リコーブラックラムズ陣ゴール近くからのラックから豊田自動織機シャトルズPR浪岡がここ一番の判断を活かし、押し込んでトライ。このワンプレーで試合の流れが大きく豊田自動織機シャトルズに傾いた。SOマーク・ジェラードは同点となるゴールキックを確実に決めた。7-7と試合を振り出しに戻した豊田自動織機シャトルズの圧力は攻守ともに激しさを増した。続く8分にはリコーブラックラムズ陣ラックからNO.8ライアン・カンコウスキーが持ち込みトライ、13分にはこの日のグラウンドの支配者にも思えるSOマーク・ジェラードがラックからの球出しを受けてトライ。

このままでは終われないリコーも最後の死力を尽くす。WTB長谷川が豊田自動織機シャトルズ陣ラックから展開された球を繋いで気迫のトライ。CTBピータース・ダニエルがゴールを決めるが、無情にも秩父宮にホーンが鳴り響く。終わってみれば27-17で豊田自動織機シャトルズの勝利。この日のマン・オブ・ザ・マッチには後半早々、反撃のトライをあげた豊田自動織機PR浪岡祐貴が選出された。
(志賀 剛)

● 記者会見ダイジェスト ●

リコーブラックラムズ

リコーブラックラムズ
神鳥監督(右)、小浜ゲームキャプテン

神鳥裕之監督

「本日はありがとうございます。新年早々の試合で、昨年はリーグ戦で一つも勝てず、勝利を目指してやってきたのですが、勝つことができませんでした。苦しい試合が続いています。選手たちの悔しい考えや歯がゆい気持ちが伝わってきます。次の試合に向かって頑張りたいと思います」

──ブレイクダウンでやられたが?

「7戦通じての反省点がディフェンスで、特にFWのモールディフェンスでした。今日は機能したところもありましたが、結果として、後半10分から15分くらいで近場で取られました。ただ、悪いことばかりでなく、プレシーズンリーグでノーディフェンスだったところも改善されました。アタックでは反則が多いところは反省点で、しっかり整理して次の試合に向かっていきたいと思います」

──ハーフタイムの指示は?

「デイフェンスの我慢強さについては継続していこうとポジティブなメッセージを残しました。アタックではノーセキュリティでこぼすシーンもあったので、キープザボールを言ったのですが、そこはこう、なかなか改善できませんでした」

──最後に相手は相当疲れていたが?

「お互いにきつい、ああいう局面でしっかりスコアできれば良いのですが。こちらの反則やミスでプレーが終わることが多く、サポートのスピードの部分などミスで結果的には点が取れず、負けに繋がったと思います」

小浜和己ゲームキャプテン

「本日はありがとうございます。ちょっと負けが続いていて、上手くいかないんですが、入替戦が決まってしまったので、顔を上げて、チーム一つになってやっていきたいと思います」

──前半、終わった時点では?

「プランどおり来られている印象でした。もう少し点を取りたかったのですが。後半の入りが問題でした」

豊田自動織機シャトルズ

豊田自動織機シャトルズ
丹生ヘッドコーチ(右)、松岡キャプテン

丹生雅也ヘッドコーチ

「本日はありがとうございます。ウチは5位、リコーさんは8位でしたが、格上のチームという気持ちで臨みました。コカ・コーラ戦のあと、松岡キャプテンをはじめ、選手たちが年末年始と良い準備をしてくれたことが、この結果に繋がったと思います。前半、アンストラクチャーの局面からリコーさんに攻められたのですが、後半は、ボールキープとエリアを意識して修正してくれて、この結果になりました。トップリーグ残留が決まり、入替戦を回避できたことを、本当に嬉しく思います。あと2試合、修正して上位を目指したいと思います」

──前半は敵陣に多く入りながら、リードされたが?

「リコーさんはアンストラクチャーから、キックカウンターなどで攻めてきて、こちらが攻め込んでは戻され、22mライン内に釘付けにされました。選手たちがディフェンスで我慢して規律を守ってくれました」

──ブレイクダウンは?

「選手たちが本当に頑張ってくれました。試合を重ねるごとに良くなりました」

──リコーに勝ったのは、初めて?

「トップウェストの時、入替戦で当たりました。プレシーズンでも負けて、なかなか勝てない相手でした」

松岡毅キャプテン

「本日はありがとうございました。今日の試合は、今シーズンで一番大事な一戦だと言って臨みました。選手たちがそれに相応しいハードワークをしっかりしてくれて、本当に嬉しいです。去年は入替戦という苦しい思いをしたので、今まで勝ったことのないリコーさんに勝って、織機として大きな1勝でした。素直に喜びたいです」

──リコー対策は?

「強力なインパクトのある大きい選手が多いので、足下にタックルに入ろうというディフェンスでした。春からやって来たディフェンスで、一本キックから取られましたが、本当にディフェンスは頑張ってくれました」

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