トップリーグ2015-2016【LIXIL CUP2016】セミファイナル マッチサマリー(東芝 34-22 ヤマハ発動機)
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![]() トップリーグ2015-2016 LIXIL CUP 2016 セミファイナル セミファイナルの一戦は、リーグ戦Aグループ2位通過だが1回戦トヨタ自動車との対決を勝ち上がった東芝ブレイブルーパスとリーグ戦Bグループ1位通過で1回戦NTTコミュニケーションズを退けたヤマハ発動機ジュビロの対戦。14,000人超の観客が入った東大阪市花園ラグビー場で行われた。 前半戦はヤマハのキックオフで開始された。この後、両チームの素晴らしいプレーで大観衆が時の経つのも忘れるくらいのシーソーゲームが繰り広げられる。6分、東芝はペナルティーのタッチラインアウトからフェイズを重ね最後は右CTBリチャード・カフイが右中間に押さえTMO判定が入るが認められ先制トライとなる(5-0)。 先制されたヤマハは11分、ゴール前30m右中間ラックからSH矢富勇毅が左に展開する。左CTBマレ・サウのダミーで東芝ディフェンスを引きつけ空いたスペースを右WTB伊東力が走り抜け、外で待つ左WTBハビリ ロッキーに大きくパスしそのまま左隅にトライし追いつく。難しいGをFB五郎丸歩が見事に決めて逆点する(5-7)。 16分には追加点を狙ってSO大田尾竜彦がゴール前30m右中間からDGを放つが外れると19分、今度は東芝FBフランソワ・ステインが10mL中央からロングPGを決めて再逆転に成功(8-7)。直ぐ様、22分ヤマハ、FB五郎丸が左中間30mからPGを蹴り込んで再々逆転(8-10)。 再びリードされた東芝は25分、自陣ゴール前5m左ラインアウトからロングスローでNo8リーチ マイケルがキャッチして一気に10mL付近まで走り切るとその後もFW・BKが一体となってヤマハ陣に攻め込む。最後は見事なオフロードパスを2回繋ぎ左CTB増田慶介が回り込んで中央にトライしGもFBステインが決めて再々再逆転する(15-10)。 まだまだ終わらない。32分ヤマハはFB五郎丸がグラバーキックをインゴール右隅に転がす。TMO判定で右WTB伊東のトライが認められ同点とし、ここも難しいGをFB五郎丸がしっかり決めて再々再々逆転する(15-17)。 後半に入ると様相は一変、開始早々1分にゲームが動く。東芝右CTBカフイが個人技で突破し右中間にトライしGもSH小川高廣が決めてリードをひろげる(27-17)。勢いに乗った東芝は7分にも右CTBカフイがトライしSH小川のGも決まって一気にヤマハを突き放した(34-17)。 トップリーグ優勝を目標にするヤマハは諦めない、猛攻撃を仕掛ける。リードを広げた東芝だが23分、右LO小瀧尚弘がシンビンで10分間の一時退出。規律の乱れが気にかかる。しかしこのピンチの10分間、激しいヤマハの攻撃を東芝のレッドウォールが堅いしぶといディフェンスで凌ぎきる。ヤマハも最後の意地を見せ、34分に後半途中出場の右WTBシアレ・ピウタウが右隅にトライを挙げ、難しいGをFB五郎丸が狙うが外れてしまう(34-22)。ヤマハの反撃も時すでに遅しになる、後半はこの得点のみに封じ込まれ逆転勝利には至らなかった。しかし、手に汗握る両チームの戦いに大観衆は魅了されていたに違いない。 これでヤマハはワールドカップイヤー、いつもと違うトップリーグ戦、日本選手権で、トップリーグ優勝と日本選手権連覇の夢は断たれたが素晴らしいチームに間違いはない、24日の3位決定戦でも見る者を引きつけるプレーを期待したい。 ![]() ● 記者会見ダイジェスト ●
ヤマハ発動機ジュビロ ![]() 清宮監督(右)、三村キャプテン 清宮克幸監督 「残念。トップリーグ優勝を目標に戦って来たが叶わずという結果だった。今日の東芝はヤマハより少しラグビーをよく理解をしていて、気が利いていてラグビーの偏差値がヤマハより少し高かった。その差が点差に現れて来た試合だった。素晴らしい決勝戦になると思う。東芝の来週の結果を楽しみにしている」 三村勇飛丸キャプテン 「今シーズンの目標であったトップリーグ優勝と日本選手権連覇を達成できず非常に悔しい思い。決勝戦に進む東芝には我々の思いの分もしっかり力を出してほしい。三位決定戦があるのでヤマハのプライドを見せるような試合をして今シーズンを終えたい」 ──偏差値について具体的に。 清宮監督 「敵陣で5mラインアウトディフェンスからリーチ マイケルがボールをもらって走ったシーンなど、選手たちは相当悔んでいると思う。ミーティングでは大島選手は良いプレヤーだと伝えていたがキックオフで非常にクレバーなプレーをされてトライされた。この二つのプレーがそうだと思う」 ──今日戦ってみて、東芝が良かった点は何処か。 三村キャプテン 「ヤマハとしてはスクラムで圧倒的に押したかったが、そこでアドバンテージが取れなかった。ゲームの流れでは大きかった」 ──今日のスクラムについての評価は。 清宮監督 「7勝2敗くらいの感覚(笑)よく分からない」 五郎丸歩選手 ──試合後の今の気持ちを。 「トップリーグチャンピオンを目指して今年はやって来たが、それが達成できずに残念な気持ちはある。しっかりと気持ちを切り替えての三位決定戦にはなるが一つでも上に行けるように1週間でチームを修正して挑む」 ──自身の評価は。 「満足している。持っている力を出し切った。何か会見の会場が暗い雰囲気だが(笑)(記者からも笑い)全然そんな感じは無く、次に向けて気持ちは切り替わっている」 ──満足したのは東芝も含めて良い試合ができたからか。次の相手が神戸製鋼に決まったが意気込みは。 「満足したというのは自分の力を出し切れたからで、チームの結果は非常に残念。神戸製鋼戦について、今年は特に短いシーズンだったのでリベンジの機会がなかなかなく、最後に最高の相手が来きたのでしっかりリベンジしてシーズンを終えたい」 ![]() 東芝ブレイブルーパス ![]() 富岡監督(右)、森田キャプテン 冨岡鉄平監督 「今日は良い準備ができていたが、やはり清宮監督率いるヤマハとの試合と言うことで、昨年度同じカードで同じ会場。去年は敗者としてこの席に座って話したのは覚えている。何を話したかは覚えていないほどショックで残念な日だった。今日は逆の立場になれて非常に嬉しく思う。 森田佳寿キャプテン 「去年この場所でヤマハに負けて終わったが、その時と全く同じこの場所でキャプテンとして唯一言『ヤマハは素晴らしいチームで敬意を表す』と言った。結局その後、日本選手権でヤマハが初優勝した。あのシーズンを通してヤマハのスタイルを貫いて出ている15人が一貫して取り組んでいる姿を見ていて他チームでありながらカッコイイなぁと思った。こういうチームが優勝するんだろうなと思って見ていた。一年が経ってもう一度この準決勝の舞台でヤマハにチャレンジする時が来て、去年のヤマハ以上に我々が『ここで勝つ』という意識を持って試合に挑むことができた。それが結果として出てファイナルに進めることを嬉しく思う。これまで作って来たことを精一杯出すだけなので決勝に向けてしっかり準備して挑む」 ──何で勝つつもりだったか。 冨岡監督 「顔じゃ負けないんで(笑)優しさか(笑)規律の部分とディフェンス量。どっちが粘り強くトライラインを割らせず、そこから自分達のアタックをしていくか。最近ディフェンスがフォーカスされてるが実はアタックも魅力的なものを作ってきている。今日もその形で取れたし、今日に関しましてはアタック方を評価したい。一番チームが表現したいのがディフェンス。レッドウォール・赤い壁だと自覚している」 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() (記事:鈴木博之、丸井康充) |