トップリーグ 2016-2017 weekly preview:開幕節編<後編>

text by Kenji Demura

昇格・宗像サニックス、初陣はHonda戦
名古屋で豊田(トヨタ)ダービーと共に

ジャパンラグビー トップリーグ 2016-2017開幕節プレビュー。後編では27日に名古屋、神戸、熊本で行われる4試合に関する見どころを掲載する。

愛知・パロマ瑞穂ラグビー場の第1試合では、昨季、再昇格したばかりのシーズンながら3勝を挙げて11位となったHonda HEATに、入替戦でNTTドコモレッドハリケーンズを破り、トップリーグ復帰を果たした宗像サニックスブルースが挑戦する(16:30)。

再昇格を果たした宗像サニックスは名古屋でのHondaとの対戦でトップリーグでの戦いを再開 photo by Kenji Demura

再昇格を果たした宗像サニックスは名古屋でのHondaとの対戦でトップリーグでの戦いを再開
photo by Kenji Demura

今季の目標を「8勝してトップ8」(藤本知明ヘッドコーチ)に置くHondaとしては、開幕ゲームとなる宗像サニックス戦は絶対に落とせない試合。
「ボールの動かし方を工夫している」(同HC)という新たなスタイルで主導権を握りたい。リオ五輪でも圧倒的な決定力を見せたWTBレメキ ロマノ ラヴァもいい状態で開幕を迎えられそうだ。昨季まさかの0トライに終わったCTB/WTBディグビー・イオアネも2年目になりチームへのフィット度は格段に良くなっていて、力強い走りを披露してくれそうだ。
NZ留学を経て、DF力とキック力が大きく進歩したSH山路健太のゲームメイクも鍵を握る。

Hondaの藤本HCが「あまり情報がない」と認めるとおり、実像を掴みきれない面もある宗像サニックスだが、6月のプレシーズンマッチでコカ・コーラに勝つなどTL勢にも十分太刀打ちできる実力があると見て間違いないだろう。

「あらゆる負荷のかかる場所で走り込んできた」(藤井雄一郎部長兼監督)といい、持ち前のランニングラグビーはさらなる進化を見せてくれそうでもある。
近鉄(6月)、ヤマハ発動機(7月)に対して後手に回ったセットプレーを安定させることができるかが、宗像サニックススタイルを生かすポイントとなる。

パロマ瑞穂の第2試合は豊田(トヨタ)ダービー(トヨタ自動車ヴェルブリッツ−豊田自動織機シャトルズ=19:30)。

地元ダービー戦でのシーズンインとなるトヨタ自動車(写真はFL安藤主将)。キヤノンは九州・熊本での開幕 photo by Kenji Demura

地元ダービー戦でのシーズンインとなるトヨタ自動車(写真はFL安藤主将)。キヤノンは九州・熊本での開幕
photo by Kenji Demura

過去のトップリーグにおける同ダービーの対戦成績はトヨタ自動車の3勝。
昨季が5位、その前が2季続けて6位と4強入りへあと一歩というシーズンが続いているトヨタ自動車としては、得意のダービー戦で快勝してトップ4入りへの勢いに乗りたいところ。
「それぞれの選手がそれぞれの役割をしっかり理解するようになってきた」
就任2年目のトヨタ自動車の菅原大志監督は新シーズンに向けての手応えをそう語る。重点的に取り組んできたのはブレイクダウンの基本スキルのアップとスクラム強化。日本代表、サンウルブズでの経験もあり大きく成長したFL安藤泰洋主将のプレーイメージ通りに激しく前に出るプレーぶりで上位進出を狙う。

昨季のリーグ戦と9〜16位決定トーナメントで計5勝を挙げ、過去最高の10位となった豊田自動織機としては上位進出のためにまずは地元でのダービー戦を制して勢いに乗りたいところ。夏のプレシーズンマッチでもNTTコムに敗れた以外はNEC、コカ・コーラ、Honda(1勝1分)から勝ち星を挙げるなど、仕上がりは良さそうだ。
「相手のボール保持率を上げさせないのといかに敵陣で戦うか。ディプシリンとブレイクダウンで受けに回らないこと」と、丹生雅也監督はダービー戦勝利へのポイントを挙げる。

今シーズンのポイントのひとつにディシプリンを挙げる豊田自動織機(写真はFL/NO8バツベイ) photo by Kenji Demura

今シーズンのポイントのひとつにディシプリンを挙げる豊田自動織機(写真はFL/NO8バツベイ)
photo by Kenji Demura

ホーム開幕の神戸製鋼はNTTコムと
コカ・コーラ−キヤノンは九州・熊本で

兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場では、豪州代表やレッズを指導してきたジム・マッケイ新HCの下、悲願の日本一返り咲きを狙う神戸製鋼コベルコスティーラズがNTTコミュニケーションズシャイニングアークスを迎える(17:00)。

山下裕史、平島久照、木津武士のFW第1列から山下楽平、正面健司のバックスリーまで多くの代表組が顔を揃える神戸製鋼。新加入のSOコディ・レイもプレシーズンを見る限り、早くも馴染んでいる様子で昨季よりもチーム力がアップしているのは間違いなさそうだ。
FL橋本大輝主将は「春はアンストラクチャーの練習ばかりしていたし、例年に比べて5倍は走り込んだ」といい、どこからでも攻めるスタイルで頂点を目指す。

アタッキングラグビーで頂点獲りを目指す神戸製鋼は地元での開幕。日本代表SO/CTB山中はキープレーヤーのひとり photo by Kenji Demura

アタッキングラグビーで頂点獲りを目指す神戸製鋼は地元での開幕。日本代表SO/CTB山中はキープレーヤーのひとり
photo by Kenji Demura

ここ2シーズン8強止まりだったNTTコムもさらなる上位進出に向けて着実に力をつけている。トップリーグチームとのプレシーズンマッチはヤマハ発動機、サントリーなどと6試合戦って全勝。FL金正奎主将、SOエルトン・ヤンチースなどキープレーヤーの欠場は痛いが、NO8アマナキ・レレィ・マフィ、CTB石橋拓也の日本代表組を筆頭に「能力の高い選手が揃っている。昨季を超えるクリエイティビティを披露したい」(ロブ・ペニーヘッドコーチ)と、自信を深めてのシーズンインとなる。

開幕節で唯一の九州開催となるのが、熊本・うまなか・よかなスタジアムで行われるコカ・コーラレッドスパークス−キヤノンイーグルス戦(19:00)。

熊本で負けられない開幕戦を迎えるコカ・コーラ。7人制代表主将LO/FL桑水流のコンディションも気になるところ photo by Kenji Demura

熊本で負けられない開幕戦を迎えるコカ・コーラ。7人制代表主将LO/FL桑水流のコンディションも気になるところ
photo by Kenji Demura

昨季、九州電力との入替戦を14—14で引き分けて薄氷を踏む思いでトップリーグ残留を果たしたコカ・コーラ。開幕戦は地元の九州、それも復興支援活動にも力を注いできた熊本での開催だけに是が非でも勝利をものにして、創部50周年の記念すべきシーズンの勢いに乗りたいところだ。
「今年、課題として取り組んできたのが、ひとり目が確実に倒すDFとブレイクダウンでの球出し」(臼井章広監督)
もちろん、最終的にはボールを動かしてトライを取るスタイル。リオ五輪で4強入りを果たした男子7人制代表主将のLO桑水流裕策が15人制でどんなプレーを見せるのかも注目される。

「ビート・パナソニック」をスローガンに掲げるキヤノンはHO庭井新主将のプレースタイルそのままとも言えるセットとDFにこだわりを持ったミスの少ないスタイルで臨むシーズンとなる。
あえてチャンピオンチームを破ることをスローガンにしたことからもわかるとおり、王者を倒しての優勝が最終目標となるが、シーズンを通して「しっかり規律を守る」(永友洋司監督)試合を続けていくためにも、当然、初戦のアウェー戦をしっかりとした内容で乗り切ることが重要になる。

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