トップリーグ 2016-2017 weekly preview:第2節編

text by Kenji Demura

王者・パナソニックは敵地で神戸製鋼と試練の一戦
東芝 – NEC、キヤノン – ヤマハ発動機も金曜ナイターで

先週末に開幕したジャパンラグビー トップリーグ 2016-2017は、いきなり昨季の上位チームが下位チームに敗れるアップセットが相次ぐなど、今後、戦国リーグとなっていくことが十分予想できる波乱含みのスタートとなった。

東京・秩父宮ラグビー場でのオープニングゲームでは、昨季3位のヤマハ発動機ジュビロがトップリーグ3連覇中の王者パナソニック ワイルドナイツに24—21で競り勝った。
この試合、なんと言っても際立っていたのがヤマハ発動機のスクラムの強さ。
開始2分ファーストスクラムを押し込んだのを皮切りに、スクラムでPKを獲得すること実に計9回。後半8分には流れを決定づけるペナルティトライを奪うなど、「スクラムにかけてきた時間の差が出た」とFL三村勇飛丸主将が胸を張った圧倒ぶりだった。

王者パナソニックをスクラムで粉砕したヤマハ発動機は町田の金曜ナイターでキヤノンと対戦 photo by Kenji Demura

王者パナソニックをスクラムで粉砕したヤマハ発動機は町田の金曜ナイターでキヤノンと対戦
photo by Kenji Demura

そんな好スタートを切ったヤマハ発動機の今節の対戦相手はキヤノンイーグルス。
キヤノンの本拠地である東京・町田市立野津田公園陸上競技場へ赴き、2週連続となる金曜ナイトゲームを戦う(9月2日19:00)。

キヤノンは27日、熊本で行われたコカ・コーラレッドスパークス戦で今季力を入れて強化してきた「セットプレーとDFの部分」(HO庭井祐輔主将)で安定したプレーを見せて31 – 14で快勝。
まずはどちらがセットプレーで優位に立った上でミスなく戦えるかがポイントか。
共に新戦力のFBゲラード・ファンデンヒーファー(ヤマハ発動機)、SOジャン・クロード・ルース(キヤノン)のキック力にも注目だ。

開幕戦でヤマハ発動機に屈した王者パナソニックの第2節は、関西に乗り込んでの神戸製鋼コベルコスティーラーズ戦となる(9月2日19:30、兵庫・神戸総合運動公園ユニバー記念競技場)。

開幕から2週続けてのホームゲームとなる神戸製鋼もスクラムに自信を持つチーム。開幕節のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦でも、ハーフウェイライン付近のスクラムで得たPKでもう一度スクラムを選択するほど強いこだわりを見せて、一時は17点をリードされた試合をひっくり返す原動力となった。

PR稲垣啓太、HO堀江翔太主将(パナソニック)、PR山下裕史、HO木津武士(神戸製鋼)など、両チームのフロントローには日本代表組も顔を揃えるだけに、この試合もスクラムの優劣が勝敗を分けるポイントのひとつになりそうだ。

開幕ゲーム後、ヤマハ発動機の清宮克幸監督は「あんなにパスを回してくるパナソニックは初めて」と、王者のスタイルの変化に関して言及したが、そんな新生パナソニックに対して、神戸製鋼としては絶対的にセットプレーで優位に立ちたいところ。
FW陣がしっかりボールキープできれば新ハーフ団コンビのSH梁正秋、SOコディ・レイも余裕あるゲームメイクができるようになる。

開幕戦では昨季までは不動のSOだったベリック・バーンズをインサイドCTBに入れて、筑波大在学中の山沢拓也をSOのポジションで先発起用したパナソニック。やはり新人のCTB森谷圭介がいきなりトライを奪い、LO長谷川峻太、FB藤田慶和という期待の新顔も途中出場したが、リオ五輪で活躍したセブンズ代表でもあるWTB福岡堅樹もそろそろトップリーグ初出場を果たしてもおかしくない状況だ。

開幕戦で途中出場したパナソニック新人FB藤田。同じく日本代表WTB福岡のTLデビューはあるのか photo by Kenji Demura

開幕戦で途中出場したパナソニック新人FB藤田。同じく日本代表WTB福岡のTLデビューはあるのか
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土曜の秩父宮はサントリー – Honda、NTTコム – リコー
山口で宗像サニックス – 豊田自動織機、コカ・コーラ – 近鉄

今節は3試合の金曜ナイターが組まれているが、東京・秩父宮ラグビー場では、昨季2位の東芝ブレイブルーパスにNECグリーンロケッツがチャレンジする(2日19:30)。
開幕節では東芝がクボタスピアーズに辛勝(22—19)、一方のNECはリコーに惜敗(20 – 23)。

クボタ戦でマン・オブ・ザ・マッチに選ばれた2年目のWTB松岡久善、いきなり森田佳寿主将に代わって先発出場した新人のSO田村熙など、若手の活躍も目立った東芝。後半、途中出場したFLリーチ マイケル日本代表主将、出場機会のなかったSO森田主将の回復具合も気になるところ。

日本代表、サンウルブズのハーフ団コンビを抱えるNECも、惜敗した初戦のリコーブラックラムズ戦でSH茂野海人、SO田村優のゲームメイクを軸に勝利をつかんでいてもおかしく内容だっただけに、好ゲームが期待できそうだ。
もちろん、SO田村兄弟対決も見逃せない。

翌3日、土曜日の東京・秩父宮ではサントリーサンゴリアス – Honda HEAT(16:30)、NTTコム – リコー(19:00)の2試合が予定されている。

開幕戦で近鉄ライナーズの激しいプレーに苦しめられたものの1点差勝利をものにしたサントリーだが、得意の連続攻撃は不発。地元・東京に戻り、中7日という十分な準備期間の中、どう立て直してくるのか。沢木敬介新監督の手腕、そしてSH流大新主将のリーダーシップが注目される。

開幕節で早くもフル出場したHonda五輪組WTBレメキ。今節は秩父宮でサントリーに挑む photo by Kenji Demura

開幕節で早くもフル出場したHonda五輪組WTBレメキ。今節は秩父宮でサントリーに挑む
photo by Kenji Demura

対するHondaは初戦で昇格組の宗像サニックスブルースにまさかの完敗(22—33)。宗像サニックスのランニングラグビーについていけずに4トライを奪われての敗戦となったが、サントリー戦に向けては、「春、夏としっかりトレーニング積んできたので、フィジカルの強さを出していきたい」(SO小西大輔主将)と、まずは個々のプレーヤーがコンタクトエリアでしっかり戦うことを修正点に挙げる。
リオ五輪でも活躍したレメキ ロマノ ラヴァ、2年目の元豪州代表ディグビー・イオアネという、圧倒的な決定力を持つ両WTBを生かすためにも、FW陣のがんばりが期待される。

神戸製鋼に力負けしたNTTコムはセットの安定性、逆にNECに競り勝ったリコーはブレイクダウンでの精度を高めることが最大の課題か。

開幕節ではHondaを圧倒した宗像サニックスは山口で豊田自動織機戦(写真はWTBヘスケス) photo by Kenji Demura

開幕節ではHondaを圧倒した宗像サニックスは山口で豊田自動織機戦(写真はWTBヘスケス)
photo by Kenji Demura

9月3日に山口・維新百年記念公園陸上競技場で行われるのは宗像サニックス – 豊田自動織機シャトルズ(16:30)、コカ・コーラ – 近鉄(19:00)の2試合。

トップリーグ復帰初戦でいきなり持ち味を出しきる快勝をものにした宗像サニックスの快進撃は続くのか。豊田ダービーでの大敗(18—39)からの復活を目指す豊田自動織機としては「ブレイクダウン」(丹生雅也監督)を修正して4シーズン連続してトップリーグでの戦いを続けてきているチームとしての底力を見せたいところ。

前節、どうしても勝ちたかった熊本での開幕戦を落としたコカ・コーラは、サントリーに対して持ち味を出しながらも惜敗した近鉄との対戦。
「ひとり目が確実に倒すDFとブレイクダウンでの球出し」(臼井章広監督)をもう一度見直して、初白星を狙う。
キヤノン戦は欠場したリオ組のFL /LO桑水流裕策、WTB副島亀里ララボウ ラティアナラの出場はあるのか。

4日には今季唯一の北海道開催となるクボタスピアーズ – トヨタ自動車ヴェルブリッツ戦が札幌・月寒屋外競技場(月寒ラグビー場=13:00)で予定されている。

開幕出場を果たした豊田自動織機CTB坂井とヨタ自動車WTB彦坂匡。今節はさらに多くのリオ組がプレーしそうだ photo by Kenji Demura

開幕出場を果たした豊田自動織機CTB坂井とヨタ自動車WTB彦坂匡。今節はさらに多くのリオ組がプレーしそうだ
photo by Kenji Demura

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