トップリーグ 2016-2017 weekly preview:第4節編

text by Kenji Demura

今週の秩父宮金曜ナイターは熱い熱いキヤノン – リコー戦
パナソニック – サントリー、ヤマハ発動機 – 東芝の大一番も

日中の蒸し暑さは相変わらずだが、9月も中旬となり、夜は随分過ごしやすくなってきた。

ラグビーをナイターで楽しむのには、うってつけの季節とも言えるが、今週末に第4節を迎えるトップリーグでは、リーグ一熱いと言ってもいいダービーマッチが金曜夜の東京・秩父宮ラグビー場で組まれている(16日19:30)。

赤のキヤノンイーグルス対黒のリコーブラックラムズ

チームカラーも対照的なライバル企業同士が「この試合だけは負けるな」とハッパをかけられる“事務機ダービー”。
共に現在1勝2敗。しかも、前節はキヤノンが東芝ブレイブルーパス、リコーがサントリーサンゴリアスという強豪に対して、悔しすぎる逆転負けを喫しているだけに、この一戦でライバルを蹴散らして、上位争いに踏みとどまりたいところだ。

このダービー戦時は、試合だけではなく、場内で販売される特別フードの「赤黒カレー対決」やハーフタイムの「ハイパントキャッチ対抗戦」などのイベントでも熱き戦いが繰り広げられることになり、両チーム関係者ではなくても、いつもとは違った雰囲気が楽しめそうだ。

そんなライバル心を燃え上がらせるキヤノンとリコーに、それぞれ前節、際どく勝利を収めた東芝とサントリーも今節は今シーズンの覇権を占うとさえ言えそうなビッグマッチを迎える。

CTB森谷など若手の活躍もあり復調モードの王者パナソニックはサントリーとの大一番に臨む photo by Kenji Demura

CTB森谷など若手の活躍もあり復調モードの王者パナソニックはサントリーとの大一番に臨む
photo by Kenji Demura

事務機ダービーの翌日の17日の土曜日に秩父宮で組まれているのが、リーグ3連覇中のパナソニック ワイルドナイツと4シーズンぶりとなる王者返り咲きを目指すサントリーとの対戦(19:00)。

開幕戦でヤマハ発動機ジュビロにスクラムで圧倒されて力負けしたパナソニックだが、その後の神戸製鋼コベルコスティーラーズ、近鉄ライナーズとの対戦では「スクラムも改善」(ロビー・ディーンズ監督)されて、しつかり2連勝。

SHに田中史朗が復帰してからは、アタック時の判断力も格段に良くなった印象。FL長谷川崚太、CTB森谷圭介、WTB藤田慶和といった注目の新人もそれぞれ持ち味を十分に出す活躍を見せて、チームに勢いを与えている。

新生サントリーの快進撃は続くのか? 王者討ちにはPR畠山など百戦錬磨のベテランの活躍も鍵を握る photo by Aki Nagao

新生サントリーの快進撃は続くのか? 王者討ちにはPR畠山など百戦錬磨のベテランの活躍も鍵を握る
photo by Aki Nagao

対するサントリーは開幕3連勝。
ただし、2戦目のHonda HEAT戦こそ計7トライを挙げて、50得点を記録したが(50—0)、初戦の近鉄戦では1トライ(14—13)、前節のリコー戦も2トライ(23—17)しか奪えておらず、必ずしも持ち前のアタッキングラグビーが炸裂しているとは言い難い状況だ。

前述のアタック力だけではなく、DF面でも判断力の上がっている印象の王者パナソニックに対して、どれだけボールキープしながら攻め続けられるか。
沢木敬介監督 – 流大主将率いる新生サントリーにとっては、現時点での自分たちの真価を問う大一番となる。

尚、同日同ラグビー場での第1試合(16:30)では、まだ共に白星のないNECグリーンロケッツと豊田自動織機シャトルズの対戦が予定されている。

パナソニックを圧倒したスクラムを軸に東芝へのリベンジを狙うヤマハ発動機。今季初ホームに気合十分 photo by Kenji Demura

パナソニックを圧倒したスクラムを軸に東芝へのリベンジを狙うヤマハ発動機。今季初ホームに気合十分
photo by Kenji Demura

名古屋でトヨタ自動車 – 神戸製鋼、九州ダービーも

開幕第4節にして、今季初めて本拠地である静岡・ヤマハスタジアム(磐田)での試合となるヤマハ発動機。
強力FWを前面に出した戦いぶりでパナソニック、 キヤノン、宗像サニックスブルースと撃破して現在首位に立つが、いきなり初のホームゲームの相手はやはり開幕3連勝の好スタートを切っている東芝(17日18:00)。

ヤマハ発動機にとっては、昨季のLIXIL CUPセミファイナルで22—34で敗れたリベンジマッチともなるだけに、絶対に負けられないホーム開幕戦となる。
「ヤマハとしてはスクラムで圧倒的に押したかったが、アドバンテージが取れなかった」
8ヶ月前に東芝に敗れた際、FL三村勇飛丸主将はそう悔しがったが、今回もまずはセットプレーでの制圧を試みようとすることは間違いないだろう。

東芝の戦い方に一戦ごとに慣れてきた印象の元NZ代表WTB/FBジェーン。そろそろ爆発するか? photo by Kenji Demura

東芝の戦い方に一戦ごとに慣れてきた印象の元NZ代表WTB/FBジェーン。そろそろ爆発するか?
photo by Kenji Demura

一方の東芝も、前節でのキヤノン戦(21—19)では、勝負どころの相手ボールスクラムをターンオーバーして逆転勝ちをものにしているだけに、当然ながらスクラムでの優劣がどうなるのか注目される。

スペースを見つけるのに長けた新司令塔の新人・田村熙、ここまで3試合で3トライの2年目WTB松岡久善、リオでも活躍したWTB豊島翔平、CTBリチャード・カフイ、FBコンラッド・バンワイク、WTB/FBコーリー・ジェーンなどBK陣も好調な東芝のアタックをヤマハ発動機が止め切れるかもポイントになりそうだ。
「ラインブレーク数は多いが点数につながっていない」(FLリーチ マイケル)というのがアタックに関する東芝サイドの自己評価だが、そろそろ殻を破って進化していくのか、それともヤマハ発動機が抑えきるのか。覇権争いにもつながる見応え十分の攻防が期待できそうだ。

開幕から3連勝。ヤマハ発動機と並んで勝ち点14のトヨタ自動車ヴェルブリッツは地元愛知に神戸製鋼を迎える(17日19:00 パロマ瑞穂ラグビー場)。
前節はHondaに対してロスタイムの同点トライ・逆転ゴールで辛うじて勝利をものにした(32—30)トヨタ自動車は、原点に返った力強いプレーを取り戻して上位に踏みとどまれるか。
一方、第2節でパナソニックに完敗(6—30)したものの、前節はコカ・コーラを一蹴(48—7)した神戸製鋼も復調モードにあり、こちらも上位進出を見据えた熱き一戦となること請け合いだ。
ここ2シーズンの対戦でも1勝1敗1分と全くの五分(昨季のプレシーズンでの対戦を除く)であることも実力伯仲を証明している。

ゲームメイカーSO小倉を中心に多彩なアタッキングラグビーで調子を上げてきたNTTコムは仙台で近鉄と対戦 photo by Kenji Demura

ゲームメイカーSO小倉を中心に多彩なアタッキングラグビーで調子を上げてきたNTTコムは仙台で近鉄と対戦
photo by Kenji Demura

また、今節は福岡でコカ・コーラレッドスパークス対宗像サニックスの“九州ダービー(17日19:00 レベルファイブスタジアム)”、宮城では共に特徴のあるアタックを仕掛けるチーム同士のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス対近鉄の好カード(17日14:00 ユアテックスタジアム仙台)など、九州、東北でも熱戦が繰り広げられそうだ。

今節、唯一の関西圏での開催となる17日の大阪・万博記念競技場では、前節、劇的な逆転勝利でシーズン初白星を挙げたクボタスピアーズと、前述通り悔しい逆転負けで同3連敗となったHondaの一戦が予定されている(19:00)。

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