トップリーグ 2016-2017 weekly preview:第5節編

今季最後の金曜ナイターはパナソニック対NTTコム
首位ヤマハ発動機は土曜午後の秩父宮でリコーと対戦

text by Kenji Demura

9月17日までに第4節が終了したジャパンラグビー トップリーグ 2016-2017。
先週1週間のショートブレイクを経て、9月30日、10月1日、2日に予定されている第5節からは中盤戦に突入する。

圧倒的なラインブレイク力を誇るCTB石橋など伸び盛りの選手も多いNTTコムが王者討ちを狙う photo by Kenji Demura

圧倒的なラインブレイク力を誇るCTB石橋など伸び盛りの選手も多いNTTコムが王者討ちを狙う
photo by Kenji Demura

今季は計15節という長丁場のリーグ戦となるが、序盤戦で各チームがどんなスタートを切ったのか、第4節終了時点での成績を紹介すると、以下のようになる。

開幕4連勝=ヤマハ発動機ジュビロ(19)、サントリーサンゴリアス(18)

3勝1敗=神戸製鋼コベルコスティーラーズ(14)、トヨタ自動車ヴェルブリッツ(14)、NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(13)、東芝ブレイブルーパス(13)、宗像サニックスブルース(12)

2勝2敗=パナソニック ワイルドナイツ(10)、リコーブラックラムズ(9)、クボタスピアーズ(9)

1勝3敗=キヤノンイーグルス(6)、近鉄ライナーズ(5)、NECグリーンロケッツ(5)

0勝4敗=豊田自動織機シャトルズ(2)、Honda HEAT(2)、コカ・コーラレッドスパークス(2)

( )内は勝ち点

好スタートを切ったチームもそうだが、ことに序盤戦でつまずいたチームにとっては、“第2の開幕”とも言える第5節でどんな戦いを見せるかが、上位進出を見据える上で非常に重要になる。

開幕戦でヤマハ発動機にスクラムで圧倒され(21—24)、前節ではサントリーのアタッキングラグビーの前にまさかの大敗(15—45)。序盤戦で早くも2敗を喫することになった王者パナソニックは、第5節では今季のトップリーグで最後となる金曜ナイターでNTTコムと対戦する(東京・秩父宮ラグビー場=9月30日19:30)。

「どのチームもパナソニックを倒そうという高いモチベーションでくる」

HO堀江翔太主将は苦しい序盤戦になった背景として、対戦相手の“打倒パナソニック”という意識の高さがあると指摘するが、第5節で対戦するNTTコムもチャンピオンチームに対して最高のモチベーションで挑んでくることは間違いないだろう。
第1節こそ、後半、神戸製鋼にスクラムを支配されて逆転負けを喫した(17—27)NTTコムだったが、その後はリコー、NEC、近鉄相手に3連勝。得点ランキングでリーグ2位につける司令塔SO小倉順平を中心に、効果的なキックも織り交ぜながらボールをどんどん動かす攻撃ラグビーの精度は試合を重ねるごとに高まっている。

「しっかり準備をして、またいいゲームをやっていきたい」
近鉄戦勝利の後、ゲームキャプテンを務めたHO須藤拓輝はパナソニック戦に向けて、そう抱負を語っていたが、「最後のところで取り切れなかったり、ペナルティが少し多くなってしまった」という課題をクリアーできるかが、王者討ちのポイントになりそうだ。

HO坂手淳史、FL長谷川峻太、SO山沢拓也、CTB森谷圭介、リチャード・バックマン、タンゲレ・ナイヤラボロ、WTB藤田慶和、福岡堅樹など、多くの新戦力を起用しながらの序盤戦となったパナソニックだが、個々のポテンシャルの高さは十分に感じさせる一方で、堀江主将が「つなぎの部分でうまくいかなかったり」と指摘するとおり、チームとしての成熟度という点ではまだまだ改善の余地があるのも確か。
サントリー戦大敗というショックからの立ち直りを印象づけるためにも、勝利という結果だけではなく、そろそろ内容的にも大きく進歩したところを見せたいところだろう。

両チーム共に、敗れた試合ではスクラムで後手に回るケースも目立っただけに、セットプレーの優劣が勝敗を分けるポイントのひとつになることも間違いない。

尚、この日は「ALL OUT!! DAY」と題され、月刊「モーニング・ツー」(講談社)で連載中のラグビー漫画を原作としたTVアニメ「ALL OUT!!」とコラボレーションした様々なイベントも開催される。元日本代表WTBで現 サムライセブン監督の吉田義人氏や声優の方々が参加するトークショーなどが予定されている。

好調サントリーは山梨でキヤノン戦
地元に東芝を迎える宗像サニックス

快進撃を続けるヤマハ発動機にとってFWの強さを最大限引き出す司令塔ぶりを見せるSO大田尾の存在も大きい photo by Kenji Demura

快進撃を続けるヤマハ発動機にとってFWの強さを最大限引き出す司令塔ぶりを見せるSO大田尾の存在も大きい
photo by Kenji Demura

パナソニック – NTTコム戦の翌日の秩父宮には全勝で首位を行くヤマハ発動機が登場。第3節でサントリーを追い詰め(17—23)、第4節ではキヤノンに競り勝つ(25—20)など調子を上げているリコーと対戦する(10月1日14:00)。
開幕戦でパナソニックをスクラムで粉砕し(24—21)、前節はホームゲームで東芝を圧倒(40—6)。
ことに、全勝対決となった東芝戦を「スクラム、ブレイクダウン、ボールのキープ力。全ての局面で勝っていた」(清宮克幸監督)という完璧な内容で制したヤマハ発動機だけに、戦い方云々よりもショートブレイクの間、「選手の気が緩まないように引き締めて準備」(FL三村勇飛丸主将)できたかどうかがポイントかもしれない。

リコーにとっては強力ヤマハ発動機FWにどれだけ対抗できるかが鍵。新人NO8松橋の決定力にも期待がかかる photo by Kenji Demura

リコーにとっては強力ヤマハ発動機FWにどれだけ対抗できるかが鍵。新人NO8松橋の決定力にも期待がかかる
photo by Kenji Demura

リコーとしては、セットプレーも含めたコンタクトエリアでしっかり対抗してボール獲得率を上げ、タマティ・エリソン、コリン・ボークという異なるタイプの司令塔のゲームメイクで堅守のヤマハ発動機DFを翻弄するような展開に持ち込みたいところ。
新人ながらNO8に定着し、すでに3トライを記録している松橋周平の「ゴール前でトライを取り切るセンスの良さ」(神鳥裕之監督)にも注目だ。

同10月1日、秩父宮での第1試合に組まれているのはクボタ – 近鉄戦(11:40)。
第3節で豊田自動織機(24-22)、第4節でHonda(18-15)と接戦をものにしてきたクボタの勝負強さは本物なのか。
一方の近鉄にとっては今季最初で最後の関東圏での試合でもあり、「ムーブファースト」のスローガン通り、リアクションで相手を上回るテンポのいいラグビーを印象付けて2勝目を挙げたいところだろう。

パナソニックを破って勢いに乗るサントリーは山梨でキヤノンと対戦(写真はPR石原) photo by Kenji Demura

パナソニックを破って勢いに乗るサントリーは山梨でキヤノンと対戦(写真はPR石原)
photo by Kenji Demura

前節、「4節目にして我々のやりたいラグビーが出せた」と、沢木敬介監督も合格点を与える内容でパナソニックに大勝し、ヤマハ発動機と並ぶ全勝チームとなっているサントリーは10月2日の日曜日に山梨中銀スタジアム(旧・小瀬スポーツ公園陸上競技場)でキヤノンと対戦(13:00)。

また、同日、福岡・グローバルアリーナでは昇格チームながら持ち前のアタッキングラグビーで計13トライを挙げてここまで3勝1敗というセンセーショナルな活躍を見せる宗像サニックスが、同じく3勝1敗の東芝を迎える注目の一戦も予定されている(13:00)。

前述どおりヤマハ発動機相手に力負けした東芝は、原点に帰るべく、まずはこだわってきたコンタクトエリアの制圧を前面に押し出した戦いをしてくることが予想されるだけに、宗像サニックスとしてはどれだけフィジカル面で対抗できるか、そしてここまで3勝を挙げる要因ともなっている粘り強いDFを続けられるかが地元でアップセットを成し遂げるための鍵となる。
前節のコカ・コーラとの九州ダービーでは珍しく先発出場した切り札WTBカーン・ヘスケスの使い方も注目される。

尚、今節は関西圏でも3試合が行われる。
いずれも1日の土曜日に、大阪・万博記念競技場では神戸製鋼 – 豊田自動織機戦(14:00)、京都・西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場ではHonda – コカ・コーラ(11:30)、NEC – トヨタ自動車(14:00)の2試合が予定されている。

地元で東芝との1敗対決に臨む宗像サニックス。切り札WTBヘスケスの起用法も注目される photo by Kenji Demura

地元で東芝との1敗対決に臨む宗像サニックス。切り札WTBヘスケスの起用法も注目される
photo by Kenji Demura

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