トップリーグ 2016-2017 第5節 レポート(サントリー 37-22 キヤノン)
トップリーグ2016-2017 第5節
2016年10月2日(日)13:00キックオフ/山梨・山梨中銀スタジアム
サントリーサンゴリアス 37-22 キヤノンイーグルス
前日、サッカーJリーグのヴァンフォーレ甲府のホーム戦が行われ、夜遅くまで会場準備が行われました。早朝までの霧雨の影響でピッチのラインが見えにくく、石灰でラインを引き直すハプニング。時間が経つにつれ日差しが強くなり、気温30度近くまで上昇。選手には酷な試合になりそうでした。
試合に先駆け、ラグビースクールのミニゲームが行われました。幼児はキックターゲットを楽しみました。
山梨では女子ラグビーの普及のため、トップリーグの前座試合に女子の試合を開催しています。これまでに関東ユース7人制、7人制日本代表チームのセレクションマッチ、女子三地域対抗試合を行いました。今年は関東女子7人制ラグビーを企画し、国体山梨県選抜が主体の「山梨☆SHINES合同」、「千葉ペガサス」、「茨城合同」の3チームで試合を行いました。太陽生命ウィメンズセブンズシリーズに出場している選手もおり、レベルの高い見応えのある試合になりました。
一昨年の山梨中銀スタジアムでの同一カードは47-28でサントリーの勝利。今シーズも第4節終了時点でサントリーが4戦全勝の2位。キヤノンは1勝3敗で11位。サントリー優勢の試合展開になるかと始まった試合は開始早々1分、キヤノンの主将HO庭井が相手のボールを奪い、50mを走り切り左隅にトライ。波乱の幕開けとなりました。
前半はシーソーゲーム。サントリーのSO小野からWTB竹下への絶妙なキックパスからのトライは素晴らしかった。終了間際にはキヤノンがトライを取り、17-13でキヤノンのリードで終了。
ハーフタイムでは、地元山梨県出身のシンガーソングライター「優菜」によるラグビーの応援歌『トライ』の披露と、ファン・オブ・ザ・マッチでは両チームからサイン入りTシャツとジャージがプレゼントされました。
後半3分サントリー陣内22mからFB松島が抜け出し80m走り切ってトライ。
2分後、サントリーCTBアーウォンがディフェンス裏に蹴ったボールをWTB中靏が追いつきトライ。
キヤノンは30分、途中出場をした地元山梨学院大学出身のPRレイルアマーフィーがトライを奪い27-22と1トライ差に追い上げ、会場を盛り上げます。
33分サントリーのPG。37分にはキヤノンが自陣ゴール前から逆転を狙いボールを回すがサントリーWTB中靏にインターセプトで突き放され、サントリーサンゴリアスが37-22で勝利しました。
マン・オブ・ザ・マッチには、FB松島幸太郎が選ばれた。
「勝ったということにホッとしています。キヤノンのいいアタックで、自分達のペースでアタック出来なかったのが問題。修正しきれなかったが最後は勝てて良かった」とコメントしました。
ファンとの交流イベントとして、グリーティングタイムが行われました。サントリーからは地元山梨県出身の有賀剛選手も参加してくれ、ファンの皆さんと写真を撮ったりサインに応じてくれました。
キヤノンイーグルス
永友洋司監督
「協会関係者をはじめ、試合の開催に携わってくださった方々に感謝します。前半はボールポゼッションやスタッツなどで相手に劣っていない数字だった。しかし、後半の立ち上がり10分で相手にたたみかけられてしまった。たたみかけてきたサントリーは素晴らしい。
しかし、いい形でトライが取れているので、決して下を向くことなく次のゲームに向けて準備をしていきたいと思う」
庭井祐輔キャプテン
「本日はありがとうございました。監督と同じく、全体的にキヤノンらしいラグビーが出せた試合だった。あと少しの集中力があれば、後半最初のあの2本がなければ、という試合だった。80分を通して集中力を保つというのは、サントリーから見習うところがある。
しかし、いいアタックが見えてきたので、それを来週の試合で精度を上げてぶつけたい」
──前半はブレイクダウンで互角。ラインアウトで相手のミスがあり、後半では圧倒していたように見えたが、敗因は反則が多かったことか。
永友監督
「ペナルティでリズムを崩していたのは事実なので、反省をしていきたい。レフリーの方たちとの摺り合わせもして、何が悪かったのかを映像で確認して、コーチングのキーポイントとしていきたい」
──集中力を上げたいとは、具体的に何をどう改善していきますか?
庭井キャプテン
「何かひとつの原因があるわけではなく、全体の細かいミスが2点3点の差につながると思うし、アルベルトコーチの言葉を借りると「小さなことが大きな差につながる」ということだと思う。先ほどの話で出たペナルティに対しても、試合の中で合わせていく能力が必要」
サントリーサンゴリアス
沢木敬介監督
「またサントリーの悪い癖が出た試合だった。前半は簡単なミスで自分たちのペースがつくれなかったが、突き放されそうになっても喰らいついてあきらめずに勝つことができた。しかし、ボーナスポイントが取れなかったのが残念だった」
流 大キャプテン
「キヤノンはすごいアグレッシブで、タックル、ブレイクダウン、ゲインラインを越えるところで相手が上回っていたことが、前半のああいう結果につながってしまった原因だと思う。もう1回我々が春から大事にしてきたことを見つめ直して次のサニックス戦を迎えたい」
──ブレイクダウンは相手のほうが上だったが?
沢木監督
「まずうちはボールを持てていなかった。スタッツを見るとポゼッションはすごく悪いと思う。その原因は、簡単なミスやアンフォースドなエラーを自分たちがしていたこと」
──後半の立ち上がりで一気に攻めていったが、ハーフタイムはどんな雰囲気でどんな話をしたか?
流キャプテン
「前半はなかなかうまくいかなかったね、という話と、後半はこれまで自分たちが大切にしてきたことに立ち帰ろう、という確認をした。
アタック面ではしっかりと2フェーズの精度を高くして、監督が言っていたミス、アンフォースドなエラー、ファンダメンタルのところをしっかりしていこう。ディフェンス面では上に行きすぎて、ずるずるゲインされることが多かったので、しっかりと下にチョップタックルをして相手を倒すことを話し合って後半に臨んだ」
──松島幸太朗選手のポジションの変更は?
沢木監督
「シーズン最初でしかいろいろなポジションを試せないと思うので、リスクを犯しながらでもいろいろ試して最善なものを探しながらシーズン終盤を迎えるというのがプランにある。今日はナイジェルがCTBをやったりもしたし、うちのラグビーはバックスが複数ポジションをやらないと機能しないもの。松島もポジティブにどこでもプレーする気持ちでいて、コーチ側も選手側も柔軟にやっていく。
──第5節を終えて?
沢木監督
「ずっと『うちはチャレンジャーだ』と言ってきたので、これからも全ての試合を相手に対してチャレンジしていく。5節中3節がこういう試合だったが、そんな中でも勝てるようになってきたというのは成長していると思う」
流キャプテン
「僕らは昨シーズン9位のチームなので、どのチームもチャレンジャーとしてやらないと勝てないチームばかり。次節のサニックスもトップリーグに上がってきたチームだが、今節東芝に勝っているチームなので、どこが相手でも自分たちが春から積み上げてきたインターナショナルなレベルでのプレーをしていく。油断や慢心は一切ないし、反省することばかり。
──今日の試合の点数は?
沢木監督
「60点です。200点満点ですけど(笑)」