トップリーグ 2016-2017 weekly preview:第8節編
花園では“全勝”ヤマハ発動機とサントリーが揃い踏み
パナソニックWTB北川は町田で通算100トライなるか
text by Kenji Demura
ヤマハ発動機ジュビロとサントリーサンゴリアスの快進撃が止まらない。
前節ではヤマハ発動機がホームでHonda HEAT に47—25、サントリーはNECグリーンロケッツとのアウェーゲームに33—14。
共に勝ち点5を獲得する快勝ぶりで全勝を守った。
全15節のちょうど折り返しとなる今節=第8節。
大阪・東大阪市花園ラグビー場には、開幕以来、好調を維持し続けている全勝チームが揃って登場する(22日11:45=豊田自動織機シャトルズ – サントリー、同14:00=ヤマハ発動機 – NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)。
第1節で王者パナソニック ワイルドナイツをスクラムで粉砕するなど、開幕当初はFWの力強さばかり目立っていた印象だったヤマハ発動機だが、前節、前々節共にBK陣だけで5トライを挙げるなど、FWで崩した後にBKで仕留めるかたちが出来上がってきた。
FL三村勇飛丸主将は「スクラムもモールも満足していない」と言うが、BKで一気に取り切るトライが増えていることはアタックの幅が広がっていることの表れであり、対戦相手にとっては脅威以外の何物でもない。
首位のヤマハ発動機にチャレンジするNTTコムは、前節、トヨタ自動車ヴェルブリッツとの“2敗対決”を制した。
「(トヨタ自動車に対して)アタックもDFも圧倒的できた。選手たちには自信になったはず」と、ロブ・ペニーHCはベーシックな部分でのチームの成長に自信を感じているが、トヨタ自動車戦ではやや目立ったミスをいかに少なくするかがひとつの鍵となる。
今季すでに3度マン・オブ・ザ・マッチに輝くなど、現在売り出し中と言っていいSO小倉順平が早大の大先輩であるヤマハ発動機のベテランSO大田尾竜彦を前にどんなゲームメイクを見せるかも楽しみだ。
第1試合に登場するサントリーも第4節でパナソニックを圧倒するなど強力なセットプレーを起点に、すでに今季7トライを挙げているWTB中靏隆彰、同5トライのNO8ツイヘンドリック、同3トライのWTB竹下祥平、FB松島幸太朗などの決定力のあるランナーがスペースにどんどん走り込んでくるスタイルでトライを量産。
2試合連続で勝ち点5を挙げて、ヤマハ発動機をしっかり追撃している。
一方の豊田自動織機は前節では東芝ブレイブルーパスをロスタイムでの劇的な逆転トライで27−22と振り切り、今季初勝利を挙げた。勢いに乗って、2週連続での金星を狙う。
東芝戦ではスクラムで圧倒されるなど攻め込まれるシーンも少なくなかったが、粘りのDFで相手のアタックの分断に成功。サントリーの怒涛の攻めを耐え忍んで、失点を最低限に抑えたい。
地元で今季初白星がほしいHondaは神戸製鋼戦
23日は日本海シリーズ。新潟と初開催の福井で
全勝の2チームを1敗で追う神戸製鋼コベルコスティーラーズはHondaのホーム、三重交通G スポーツの杜 鈴鹿 サッカー・ラグビー場に乗り込んでのアウェー戦(22日14:00)。
神戸製鋼もヤマハ発動機、サントリー同様、安定したセットプレーから積極的にスペースにボールを運ぶスタイルでトライを量産。
第2節のパナソニック戦はノートライで敗れたものの、それ以外の6試合での1試合平均奪トライ数は5.5。総トライ数でもサントリーを上回って2位につけるなど、目指している「アグレッシブでアタッキングなラグビー」(FL橋本大輝主将)が右肩上がりで進化していると言っていいだろう。
第7節を終わって、唯一白星を挙げられていないチームとなってしまったHondaとしては、前述の豊田自動織機同様、地元で強豪チームを破り、上昇気流に乗りたいところ。
前節、首位のヤマハ発動機に対して後半は3トライを奪って互角の戦いを見せた流れのまま、前半から主導権を握る展開に持ち込みたい。
22日には、今季2度目となる東京・町田市立野津田公園陸上競技場でのキヤノンのホームゲームである対パナソニック戦(13:00)、そして今季唯一の和歌山での開催となる近鉄ライナーズ – 宗像サニックスブルース戦(13:00=紀三井寺公園陸上競技場)も予定されている。
現在、2勝5敗で12位のキヤノン、同11位の近鉄としては、このあたりで上位陣に一矢を報いて、前半戦を折り返したいところ。
現在2連敗中の宗像サニックスもそろそろ嫌な流れを断ち切りたい。
近鉄、宗像サニックス共にテンポいいアタックを志向するチームだけに、エンターテインメント性も高い試合となりそうだ。
なお、パナソニックのベテランWTB北川智規のトップリーグ通算トライ数は現在99個。
小野澤宏時(キヤノンWTB)に次ぐ、史上2人目の通算100トライをキヤノンの本拠地で達成することになるのか注目される。
23日の日曜日には、日本海に面する2会場でも「世界水準」を掲げるトップリーグの試合が行われる。
新潟市陸上競技場ではNEC – クボタスピアーズ戦(13:00)、そして福井県初のトップリーグ開催となるトヨタ自動車 – コカ・コーラレッドスパークス戦はテクノポート福井スタジアムにて(13:00)。
ここ2試合、パナソニック、サントリーという上位陣に対して2連敗したNECだが、それぞれの後半に関しては3トライ、2トライを記録して追い上げるなど、「いいラグビーができている時間帯もあるし、いいトライも取れている」(ピーター・ラッセルHC)と、ポジティブになれる部分も少なくなかった。
クボタも2週間前のヤマハ発動機に対する完敗(0—53)から立ち直り、前節では宗像サニックスに競り勝っているだけに(28—27)、新潟のファンは好ゲームが期待できそうだ。
プロ野球の日本シリーズと重なる同日の広島でのゲームも、前々節で神戸製鋼を追い詰め(39—45)、前節では近鉄に競り勝った(31—24)好調リコーに対して、ここ4節で3敗と波に乗り切れない東芝がどんな復調ぶりを見せるのか、非常に興味深い対戦カードで行われる(14:00=コカ・コーラウエスト広島スタジアム)。