トップリーグ 2016-2017 第8節 レポート(キヤノン 16-29 パナソニック)

トップリーグ2016-2017 第8節
2016年10月22日(土)13:00キックオフ/東京・町田市立野津田公園陸上競技場
キヤノンイーグルス 16-29 パナソニック ワイルドナイツ

キヤノンイーグルス

キヤノンイーグルスの永友監督(右)、庭井キャプテン

キヤノンイーグルスの永友監督(右)、庭井キャプテン

永友洋司監督

「今日は町田野津田での開催につき、ラグビー協会並びに関係者の皆様ありがとうございました。最後、(16-22の6点ビハインドから逆転ねらいの場面で)トライを取りに行きましたが、攻めきれませんでした。チームとしてポジティブにいこうと計画していましたが、それでもとり切れなかったところは我々の問題だと思います。しかし、あの場面でトライを取りに行こうとした選手たちを誇りに思います。パナソニックはチーム作りが上手だと思いますが、今後もこれに追いつくように頑張りたいと思います。
先日、平尾誠二さんが亡くなられました。平尾さんには約1年前、神戸製鋼との試合の日にお会いした時、「がんばれ」と声をかけていただきました。平尾さんの訃報を聞き悲しい気持ちでいっぱいです。ご冥福をお祈りします。神戸戦の時に声を掛けていただいた平尾さんのためにも、キヤノンがもっと強くならないといけないと思います」

──平尾誠二さんから、指導者として学んだことはどのような点でしょうか? また、平尾さんが現役選手としてプレーしていたころの思い出は?

「平尾さんは個を育てるところにたけた指導者だと思います。状況判断についての考え方や、ラグビーに対する見方は素晴らしい方でした。
平尾さんが引退する前年に、私がサントリーの9番、平尾さんが神戸製鋼の10番で対戦したことがあります。試合前に平尾さんのプレーの分析をしていたのですが、試合になると分析したプレーとは違うプレーをして、試合の状況によって裏をかくゲームメイクをされたのを思い出します。
また、私が明大の学生の時、平尾さんのいた神戸製鋼と国立競技場での日本選手権で2年連続、対戦しました。点数としては勝てませんでしたが、平尾さんのいる神戸製鋼があったからここまで頑張ってやってこられたのだと思います。平尾さんにはいろいろ声をかけていただきましたので、とてもさみしいです」

──1年前に平尾さんに声をかけてもらった時のことについて?

「平尾さんに声をかけていただき、こちらから『やせましたね』といったら『ダイエットだよ』などと言われました。キヤノンのグラウンドにも来ていただき、外からキヤノンについて率直な感想を言っていただきました。日本ラグビーのレベルアップにつながるとおっしゃっていただきましたが、その平尾さんが亡くなり非常に残念です」

庭井裕輔キャプテン

「今日は協会や関係者の皆さん、ありがとうございました。今は負けて素直に悔しい気持ちです。パナソニックにエリアマネジメントをうまくやられたと思います。要所要所でのブレイクダウンなどでいいプレーもありましたが、そういったプレーが続けられないのが現実です。取り切れないところを、自分たちの課題として、今後、取り切れる力をつけたいと思います」

──ゴール前のアタックでノックオンなどのため、とり切れない場面もありましたが?

「結果的にノックオンになった場面もありましたが、例えば、その前に浅く走り込みすぎていたこともあり、また、深く行って焦りが出たようなこともあったと思います」

パナソニックワイルドナイツ

パナソニック ワイルドナイツのディーンズ監督(右)、堀江キャプテン

パナソニック ワイルドナイツのディーンズ監督(右)、堀江キャプテン

ロビー・ディーンズ監督

「今日は、いいタフなゲームでした。キヤノンは明確な戦術をもって、特に前半は戦いのテンポを作らせてくれませんでした。後半はパナソニックが外側にスペースを作ることができ、最終的には3トライ差でのボーナスポイントもとれて、とてもうれしいです」

──堀江選手が日本代表戦などによる疲れを訴えていましたが、トップリーグの監督としてどう考えますか?

「難しい問題です。ただ、ラグビーのゲームにシンプルに向き合えば、選手が一番大切なことは言うまでもありません。選手が一番いいプレーをできる状況にするためにできることをやるということです。このためにどうマネジメントできるかです。解決策はシンプルで、プレーヤー ファーストで考えることで解決するはずです。ただし、選手一人ひとりは違いますので選手と一緒に話し合いながら考えていくことが大事だと思います。選手が精神的に追い込まれるととても難しくなると思います。堀江選手が言っていたように、選手も精神的なバッテリーが切れてしまうと体を動かせなくなります。ラグビーはコンタクトスポーツなのでメンタルな面で充実していないとプレーしても危険なことがあります。堀江選手はこの秋、日本代表のジャージを着て100%のコンディションに戻っていいプレーをしてくれると思います」

堀江翔太キャプテン

「今日は前半なかなか自分たちのテンポを作れませんでしたが、後半、修正できてよかったです。自陣にいた時間も多くありましたが、選手間のコミュニケーションもよくとれていました。次の試合には、チームとしてさらによくしていきたいと思います」

──ハーフタイムにはどのような声をかけましたか?

「ディフェンスもよくできていて、アタックもできている。しかし、自分たちのブレイクダウンでもボール出しでの我慢ができていないので、そこを修正して次につなげようと声をかけましたが、特に大きくは変えていません。ただし、ラインアウトでのサインはキヤノンに読まれていたようで、今後の課題です」

──堀江選手としては第4節以来の久しぶりの先発でしたが、コンディションは?

「現在の体のコンディションは問題ありません。ただし、メンタル面では昨年度から日本代表戦、サンウルブス戦などがずっと続き、ヤル気もなかなか起きなかったときもあり、ベストを100としたら、まだ70程度だと思います。ずっとラグビーばかりの時間が続いておりつらいと感じることもありました」

──例えばWTBの山田選手は少しケガをしたこともあり、堀江選手と比べるとしっかり休みが取れていると思いますが?

「確かにそうですね。しかし、最近は私も体がだいぶ楽になってきました。ロビー監督も私たちのコンディションを気にしてくれています。パナソニックで9年目になりますが、ハイレベルな試合がずっと続いています。選手生命をつぶさないように、試合数の上限を設定するなどの方向が出てきていますが、日本代表を強くすることが最大の目標のはずです。ラグビー協会も、是非、それを理解していただきたい。
日本代表をファーストにおいてコミットするのが当たり前だというふうに進めていきたいと思います」

──堀江選手は、今日はゲームキャプテンとしても久しぶりでしたが?

「アタック、ディフェンスとも自分たちでフォーカスできていると思います。それについては、北川選手ら、他のリーダー陣がよくやってくれているお蔭だと思います」

──先日、亡くなられた平尾誠二さんについての思い出などありますか?

「私たちの世代にとっては平尾さんは大先輩の名選手で、とても思い出話などするにはおこがましいですが、平尾さんとはいろいろと話をしてこれからをやっていく時だったとも思うので、とても残念です。私たちの世代からは遠い存在ですが、もっと平尾さんの経験を聞ける機会があったらよかったと思います。平尾さんのプレーは直接には知りませんが、平尾さんは一番有名な選手であり、訃報を聞いて、皆驚いています」

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