トップリーグ 2016-2017 第9節 レポート(パナソニック 60-7 豊田自動織機)

トップリーグ2016-2017 第9節
2016年10月30日(日)13:00キックオフ/群馬・太田市運動公園陸上競技場
パナソニック ワイルドナイツ 60-7 豊田自動織機シャトルズ

ホラニ龍コリニアシ100試合出場を白星で飾る

地元太田でパナソニックワイルドナイツが豊田自動織機シャトルズとの一戦に臨み、ホラニ龍コリニアシの100試合出場を祝うかのように9トライの猛攻で勝利した。
今季初見参のパナソニックを見ようと、やや肌寒いが時折日差しの出る絶好の天候に恵まれ、県内外から3千3百名を超えるファンが競技場に詰めかけた。

前半の立ち上がりは両チームともに決め手を欠き得点を奪うことはできなかった。試合が動いたのは17分、豊田自動織機の反則によるPKをパナソニックSO山沢がキックを決め先制点を奪った。先制のトライは21分、豊田自動織機にゴール前まで攻め込まれたが、ラックのボールをターンオーバーしSH内田がラックサイドを突破し、サポートに入ったWTB北川がロングゲインし、最後は負傷交代で入ったルーキーCTB森谷がタイミングよくフォローに入り右中間にトライを決めた。その後、28分にゴール前のスクラムから、SH内田がサイドを突き、リターンパスをFL長谷川に通して2つ目のトライを奪い、36分にはゴール前のラックからLOヒーナンが強引にポスト下にトライを決め、40分にはラインアウトからWTB北川がサインプレーでライン参加し抜け出し、サポートしたCTB森谷にパスが通り、前半4つめのトライを決めた。前半は29-0で終了。

後半に入っても主導権はパナソニックが握った。4分ゴール前ラインアウトからモールを組み押し込んで、群馬県出身のHO設楽が押さえて追加点を奪った。豊田自動織機はディフェンスで受けに回り苦しい戦いを強いられたが、7分に自陣22mライン付近のラインアウトからバックスに果敢に展開し、リターンパスからWTB松井が抜け出しロングゲインし、フォローについていたCTBベンジャミンがディフェンスを振り切り待望のトライを挙げた。ここから豊田自動織機の反撃が始まるかと思われたが、パナソニックの圧力に押され、体力を消耗し思うような攻撃ができなかった。対照的にパナソニックは、豊田自動織機のディフェンスの甘さを突き、9分にはターンオーバーのボールをバックスラインに残っていたLOヒーナンが抜け出してそのまま走りきり2本目のトライ挙げ、21分には連続攻撃からラックサイドを突き、最後はWTB山田がボールを押さえた。さらに攻撃の手を緩めないパナソニックは、27分SH内田がラックサイドを単独で突破しそのまま走りきりトライを挙げ、30分には豊田自動織機の攻撃をWTB山田がパスをインターセプトし70mを独走して2本目のトライを奪った。

終わってみれば60-7の大差となった。地元太田に強いパナソニックを見せることができた。試合前の話題の一つであったWTB北川智規のリーグ100トライはお預けとなったが、北川は試合中たびたびライン突破に成功し試合を大いに盛り上げファンの期待に応えていた。
マン・オブ・ザ・マッチには途中出場ながら、前半に2つのトライを挙げ、後半は山沢に代わってキッカーとなり3つのゴールキックを決めたルーキーCTB森谷圭介が選ばれた。
(群馬県協会・中澤則行)

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豊田自動織機シャトルズ

豊田自動織機シャトルズの丹生監督(右)、ジェラード ゲームキャプテン

豊田自動織機シャトルズの丹生監督(右)、ジェラード ゲームキャプテン

丹生雅也監督

「強豪のパナソニックにチャレンジし、80分間を通して前に出て戦い続けることができた。強いチームを相手にミスをすればそこを攻め込まれる。その結果がこの点数に繋がった。いいところもあったが、悪かったところはこの前半節をしっかりと振り返って修正し、後半節につなげていきたい」

マーク・ジェラード ゲームキャプテン

「ホラニ龍コリニアシ選手の100試合目の記念ということで、プライドをもって臨んでくるだろうと、きつい試合になることを覚悟していた。前半節での課題を修正し後半戦につなげていきたい」

──いいところもあった、具体的には?

丹生監督

「パナソニックは、チーム全体でアタックしてくる。それにあわせディフェンスをオーバーホールしてきたので、ディフェンスは悪くなかったと思う。前へ出てプレシャーをかけ、ターンオーバーすることもできたし、ボールもよく継続できていたと思う。ゲームは、我々のミスからターンオーバーされることが多かった。パナソニックは、そこをうまくついて、テリトリーを取りながら攻撃できるすばらしいチームである。

──序盤はかなりいいペースで攻め込んでいたが、トライをとりきれなかった。パナソニックのディフェンスの印象は?

ジェラード ゲームキャプテン

「パナソニックのディフェンスはフィールド全体をカバーするのがうまい。ディフェンスがいいのはわかっているので、相手にディフェンスをさせておいて、外側にスペースを作るという戦術を心がけた。パナソニックのような強いチームと戦うときは、チャンスはめったにこない。しかし、点差が示すほどの実力差はなかったと思う」

──後半戦に向けてどういった部分を改善していきたいか?

丹生監督

「客観的に分析し課題を見つけて修正していきたい。今言えることは、ファンダメンタルなものをしっかりとやらなければならない」

──シーズン前はセットプレーが良いと聞いていたが、今はどうか?

丹生監督

「今は、スクラムがウィークポイントだと思う。いろいろアクシデントがあって、練習にスクラムを組み込められなかった。この一ヶ月間で自信が持てるように修正していきたい。

パナソニック ワイルドナイツ

パナソニック ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督(右)、北川ゲームキャプテン

パナソニック ワイルドナイツのディーンズ監督(右)、北川ゲームキャプテン

ロビー・ディーンズ監督

「ホームの太田に戻って試合ができて嬉しい。選手達もそれをピッチ上で表現してくれた。
この試合で今シーズン11人目の初キャップの選手が生まれた。ベン・ガンター選手だ。コリーの100試合目の記念となる試合で初キャップがとれ、思い出に残る試合となったと思う。そして、9トライがとれた。その中でゲームキャプテンが100トライを達成できなかったのが残念である」

北川智規ゲームキャプテン

「今日は前半から自分たちの思うようなプレーができてよかった。相手の強み、自分たちの強みを出しきって試合することができた。ボールを持たせたら怖いチームなので、キックで背走させる戦法を取った。
9トライのうち1つはとりたかった。ファンのプレッシャーも強かった。期待されるのはありがたい。次回達成できるように頑張りたい」

──マン・オブ・ザ・マッチの森谷選手はルーキー、感想は?

ディーンズ監督

「予定より早い時間の投入となった(リチャード・バックマンとの交替)。予想外のことが起こっても自分たちのリズムを崩さずにゲーム運びができた。チームとして良い準備ができている証拠であるし、彼自身もしっかりと準備をしてきた結果である。森谷も山沢も、試合経験を積むごとに自信を持って試合をコントロールできるようになってきている。
森谷は、トライをかぎ分ける嗅覚を持っている」

──リチャード・バックマン選手を早めに交代したが理由は?

ディーンズ監督

「肩鎖関節に痛みが出たということで大事をとって交代した。彼を狙ってきているのが感じられたので早めに対応した。選手層の厚みは我々の強みである。彼は明日からイギリスのバーバリアンズに合流する。ニュージーランドの両親もバーバリアンズのツアーに同行するので、これで両親を心配させなくて済んだと思う」

──試合前に布巻選手の変更があったがその理由は?

ディーンズ監督

「親知らず(歯)が腫れて、ゲームに出られる状態ではなかった。今日治療を受けているが、日本代表には影響がないことを祈っている」

──山沢選手をはじめ若い選手のキックの精度が高かったと思うが?

ディーンズ監督

「今シーズンは、キックの練習を優先的にやってきたので成果が現れた。シーズン始めは、自分たちで決めたプレーをやっていこうと固執したところもあったが、今は、キックをするのかランをするのか選手たちがその場で判断し、一番いいオプションを選択できるようになった。更に、選手たちのスキルも上がっている。笹倉のキックもすばらしかった」

──第9節までを振り返った感想は?

ディーンズ監督

「序盤は大変厳しい戦いもあった。中盤5連戦は良いゲーム運びができるようになった。次のチャレンジは、ジャパンの選手が帰ってきてどれだけ早くチームとして機能できるようになるかということだ」

──序盤はチームづくりで難しいものがあったと感じたが?

ディーンズ監督

「そのとおり難しかった。序盤は、W杯、サンウルブズと戦い続けてきた選手達が戻ってきて、身体面、精神面の両方で疲れがたまっている状態で、しかも今季のパナソニックのラグビーが浸透しきらない段階でシーズンが始まった。更にパナソニックのスタイルに慣れていない新人選手との融合にも、気を配らなければならなかった。そういうことから、序盤はたいへんきつかった。中盤以降は、ゲームを経験していくうちにしっかりと選手達の能力を発揮させられるようになった。11人の初キャップをとった選手たちも、9試合で良いパフォーマンスを発揮できるようになった。そういった層の厚さが堀江を休ませることにもつながっていると思う」

──前半節を振り返って、今のチームの状態は?

北川ゲームキャプテン

「前半節は、控えから出ることが多かったが、ほかの選手を気持ちよく送り出すことを考えていた。同時に、どうしたら勝てるのかどうしたらうちの力を発揮できるのかも考えた。練習を重ねてきて、今では一つのチームになりつつある。個々の力に頼るのではなく、ワンチームとなって後半戦を勝ち抜いていきたい」

──ルーキーとベテランがいる中で、チームづくりの考え方は?

ディーンズ監督

「北川智規が言ったように一つのチームになってきている。チーム方針やゲームプランをみんなが共有すること、お互い同士が繋がりあい結束することで、チームづくりを行っている。選手たちの帰属意識が強くなり、チームに対して貢献しようという気持ちも強くなっている」

──前半9節を振り返って山沢選手のプレーの評価はどうか?

ディーンズ監督

「山沢の今までの戦いぶりはすばらしかった。自分たちのラグビーができなかった試合もあったが、彼自身は良い役割を果たしてくれた。すばらしい才能を持っていることは確かだが、それ以上に練習に対する姿勢、ラグビーに対する姿勢がすばらしい。それが彼のパフォーマンスの土台となっている。
彼はまだキャリアをスタートさせたばかりの若い選手であって、いろいろなことを学んでいかなければならない。身体面、精神面でも非常に強いものを持っている。まだまだ成長していく有望な選手である」

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