トップリーグ 2016-2017 ウインドウマンス座談会2
12月のリーグ再開後に注目すべきチーム、選手は?
負けられない戦いが続く神戸製鋼。トヨタ、NECは復調?
宗像サニックス、リコーは後半戦も好調を維持できるのか
大西将太郎、村上晃一の両氏を迎えて、ジャパンラグビー トップリーグ2016-2017の第9節までを振り返り、12月に再開される第10節以降を展望する座談会の連載2回目は、4位につける神戸製鋼以下、トヨタ自動車、NTTコム、宗像サニックス、リコー、キヤノン、NEC、クボタ、近鉄、コカ・コーラ、Hondaの夏から秋にかけてのパフォーマンスを振り返ってもらった。
(司会・構成:出村謙知、撮影協力:Yahoo!チケット)
──シーズン中に“ミスターラグビー”とも言われた平尾誠二GMが逝去するという苦難を乗り越えなければならなくなった神戸製鋼は、第2節にパナソニック、そして中断直前の第9節でNECに敗れて2敗となりました。
大西「神戸は今シーズンは頑張ってほしい。やはり特別なシーズンのはずなので」
──NECに負けた原因は……。
大西「NECにしっかり分析されていた」
──確かに、試合後の記者会見で橋本主将(大輝=FL)が「ラインアウトは研究されていた」と言っていました。
大西「南アフリカのラグビーから豪州のラグビーに変わって、選手の戸惑いはすごくあったみたいで、でも神戸製鋼の選手だからこそ対応できている部分もある。他のチームならもっと悪くなっている」
──NEC戦では、流れが悪くなった時に、もう少し楽にキックを使ってエリアを取ったりすれば良かったのに、自陣からでも無理して攻めて、そこでミスが出たり、ペナルティ取られたりで墓穴を掘った感じもありました。
大西「FWが和製パック。ベッカーあたりが帰ってくれば、後半戦は良くなるのでは。エリス(アンドリュー=SH)の存在は大きい」
──神戸製鋼を破ったNECは、勝敗こそ3勝1分5敗と負け越しているものの、内容的にはタイトなゲームができるようになってきているのではないでしょうか。
大西「強かった頃のNECに戻りつつある。神戸製鋼戦ではいいディフェンスができていた」
──神戸製鋼に続いて5位につけるトヨタ自動車は4節、5節と神戸製鋼、NECに連敗。第7節でもNTTコムに敗れるなど、中盤に入り調子を落とした感じでしたが、8節でコカ・コーラに快勝し(57—3)、9節でもリコーに競り勝って(16—20)、いい流れでウィンドウマンスを迎えることになりました。
大西「今シーズンは上向きのままいくかなと思ったら、ちょっと躓いた。でも、地力はある」
──連敗したりしても、東芝ほど状況が深刻にならなかったのは、流れが悪くなったらFWで行こうと、自分たちの強みを再確認できたのが大きかったのではないかと。
大西「後半戦は上位陣との対戦も多いし、怖い存在になるのでは」
──トヨタ自動車と並んで6勝3敗で6位につけるNTTコムもSO小倉順平が成長したり、アタックの幅が広がった印象です。
村上「NTTコムはヤマハ発動機と似たタイプのチーム。セットピースが強くて、ロブ・ペニーヘッドコーチになって3シーズン目で、自分たちの色がしっかり出せるようになってきた」
──そして、前半戦を最も盛り上げたとさえ言えるかもしれないのが宗像サニックス。今季再昇格を果たしたばかりなのに、5勝4敗と勝ち越し、7位に食い込んでいます。
大西「スペンサー(カーロスBKコーチ=元NZ代表SO)効果かな」
村上「藤井さん(雄一郎部長兼監督)が作り上げてきたものに、さらにスペンサーがいると、メジャー感が出るような気が……。選手が自信を持ってプレーしている」
──徹底的に走らせた効果が出ているのは間違いないでしょう。
村上「昨シーズン、トップキュウシュウにいた時に、トップキュウシュウ用の戦いをせずに、トップリーグを目指してずっとプレーし続けて、いい準備期間にできたのも大きかった」
大西「体がみんな大きくなった。スクラムとラインアウトである程度勝負できたら、ボールどんどん動かせますからね」
──9節ではトヨタ自動車に力負けした(16—20)感じになってしまいましたが、9位のリコーも勢いを感じさせる戦いを続けた印象です。
大西「新人の松橋(周平=NO8)は凄い。日本人のマフィ(アマナキ レレイ=NTTコムNO8)みたいになっている。あと、CTBの濱野(大輔)もいい」
──10位のキヤノンはちょっと苦しいシーズンとなってしまっている印象です。
村上「ちょっと落ちているかな」
──ただ、ウィンドウマンス前のサニックス戦は、ある意味、開き直りというか、ゲームプラン自体も「トライを取りに行こう」という積極的なものにして、快勝した(35—5)。ルルー(ウィリー)をSOに入れたり。
大西「あの試合は、とにかくアタックしようというのをメンバーで表した。根本的に、セットピース強いし、後半戦は期待できるのでは」
村上「トムソン(アダム=NO8)も、ボンド(マイケル=FB)も、ルルーもいる。個人で突破できるメンバーがたくさんいるので、そこを起点するラグビーができれば面白い」
──積極的な補強をしたクボタでしたが、3勝1分5敗で12位と、下位に沈んでいます。
村上「規律あるプレーができるかどうかが、上位か下位かの差。ここはアカンだろというところで反則したり。ここでミスしなければ取れるという場面でミスしたり」
──近鉄やコカ・コーラも同様の傾向があるような気がします。
大西「近鉄はずっと同じラグビーをしている。横に横にボールは振るけど、どういうふうに崩しきるのか、どうやってフィニッシュまで行くのかというのが、まだ見えてない。相手にDFされやすいアタックになってしまっている」
村上「コーラはすごく波がある。いい時はどのチームにでも勝てるような感じさえあるのに」
──共に勝ち点6で最下位争いをするかたちになってしまっている豊田自動織機とHondaも、豊田自動織機は7節で東芝に、Hondaも9節で近鉄に勝って、後半戦に向けて巻き返すきっかけをつかんだ気がしますが……。
大西「豊田自動織機の場合は、刈谷の雰囲気が良くてホームアドバンテージが大きかった。戦い方としては、外国人がずっと一緒なので、同じようなアタックになってしまう。スクラムもやや不安定。セットピースを改善しないと」
──Hondaはレメキ(ロマノラヴァ)、イオアネ(ディグビー)という決定力のあるWTBもいるのに、生かしきれていなかった感じがしますが、ウィンドウマンス前に白星を挙げられたことで、後半戦勢いに乗っていける要因はできたのではないでしょうか。
(以下、連載第3回に続く)