新たに日本代表になったトップリーガーを紹介①=FW第1列、第2列編

ジョージアにアウェー戦勝利! ウェールズを追い詰めた!
欧州で輝いた新生・日本代表の新顔をトップリーグで再確認だ

FW第1列、第2列編 | FW第3列、BK編

text by Kenji Demura

世界6位の強豪ウェールズに敵地で30-33と迫った日本代表。若いチームが躍動した photo by Kenji Demura

世界6位の強豪ウェールズに敵地で30-33と迫った日本代表。若いチームが躍動した
photo by Kenji Demura

11月第2週から欧州に渡り、ジョージア、ウェールズとのアウェー戦、そしてフランスでフィジーとの対戦した日本代表が28日、帰国した。
ジョージア戦ではジェイミー・ジョセフヘッドコーチ体制になっての初勝利を収め、ウェールズに対しては同点のまま迎えた終了間際に飛び出した決勝DGで涙をのんだものの、世界ランキング6位の強豪を追い詰めた。38—25で敗れたフィジー戦でも3トライを記録するなど、3試合で10トライを奪う決定力を披露し、2019年のラグビーワールドカップに向けた飛躍の可能性を十分に感じさせた新生・日本代表。

ジョセフHC体制になって初めて日本代表入りした選手が半数以上。
ウィンドウマンス明けのトップリーグでの活躍も予想される若きサクラの戦士たちが欧州でどんなふうに輝いたのか。
トップリーグ終盤戦を盛り上げてくれそうな、今が旬な選手たちの欧州での奮闘ぶりを前・後編の2回に渡って紹介。
前編ではFW第1列、第2列の選手たちにスポットを当てる。

スクラムで欧州と渡り合ってきた
ヤマハ発動機のフロントローたち

今季のトップリーグ開幕戦でパナソニック ワイルドナイツをスクラムで圧倒して24—21で破るなど、9節まで負けなしの9連勝で首位に立つヤマハ発動機ジュビロからは、実にFWばかり6人が日本代表として欧州遠征に参加。
しかも、6人揃ってノンキャップ組だったが、全員が欧州の3戦のいずれかでプレーした。

トップリーグでも強力スクラムを前面に出した戦いぶりで他を寄せ付けない強さを見せているヤマハ発動機だが、日本代表に輩出したFW勢6人中4人がフロントローだ。

フィジー戦で日本代表フロントローとしてスクラムを組む、仲谷、伊藤のヤマハ発動機PR陣 photo by Kenji Demura

フィジー戦で日本代表フロントローとしてスクラムを組む、仲谷、伊藤のヤマハ発動機PR陣
photo by Kenji Demura

11月5日に東京・秩父宮ラグビー場で行われたアルゼンチン戦先発出場して初キャップを獲得し、欧州の3戦でも桜のジャージの1番を守り続けたPR仲谷聖史は35歳で日本代表となった遅咲きの選手として話題になった。
「年齢も年齢なので引退を考えたこともある」という仲谷だが、「世界一のスクラム」(ジョセフHC)と評価されるジョージアなどとの対戦を経て、「このまま積み上げていけば、世界と対抗していける」という手応えを感じる欧州遠征となった。

35歳の仲谷以外のヤマハ発動機組フロントローはPR伊藤平一郎、同・山本幸輝、HO日野剛志の26歳トリオ。
まさに、これからどんどん脂が乗っていくに違いない、実にいいタイミングでの代表入りと言っていいだろう。

伊藤は「誰かひとりが手を抜くと負ける」のがヤマハ発動機のスクラムだといい、やはり「世界と渡り合えるスクラムだと信じている」とも。

ウェールズ戦での途中出場が日本代表での初舞台となった日野はヤマハでもセットプレーだけではなくフィールドプレーでも目立つタイプだが、「20分間で5回くらいタックルできて、インパクトを与えることができた。アタックでトライにつながる部分で絡めなかった」とスクラム以外での手応えと課題を感じる初キャップ戦となった。

ヤマハ発動機からはスクラムの要であるFW第3列の選手だけではなく、長谷川慎コーチがスクラムコーチとして日本代表に帯同した。
これだけ、主要メンバーが揃って1ヶ月間もチームを離れると、後半戦の戦いに影響が出ないか心配になるが、ことスクラムに関してはいまの日本代表の組み方は基本的にはヤマハ発動機の強力スクラムを作り上げてきた長谷川コーチが落とし込んでいるもの。
日本代表として欧州の強豪などとの対戦を重ねることで、ヤマハ発動機のスクラムもさらに強固なものになっている可能性も十分。
いずれにしても、欧州の強豪+フィジーと渡り合ってきたジャパンのスクラムを実感するため、是非ともヤマハ発動機の試合に足を運んでほしいところだ。

後半戦は地元・静岡での試合が続くヤマハ発動機だが、12月18日には神戸製鋼とのアウェー戦も予定されている。

今季のヤマハ発動機は、開幕戦で王者パナソニックをスクラムで粉砕して勢いに乗った photo by Kenji Demura

今季のヤマハ発動機は、開幕戦で王者パナソニックをスクラムで粉砕して勢いに乗った
photo by Kenji Demura

東芝LO梶川の仕事ぶりは
憧れの先輩・大野均を超えた?

ヤマハ発動機からはLOヘル ウヴェも初の日本代表入りを果たし、アルゼンチン戦とウェールズ戦で先発。ジョージア戦でも途中出場した。
FLとしてもプレーしてきたヘルだけに「とにかく走って、ボールをつなぐ日本のラグビースタイルも信じている」というプレーで貢献した。

LOでは東芝ブレイブルーパスの梶川喬介も29歳で初の代表入り。
「憧れの存在」という東芝の先輩LO大野均を彷彿とさせるような仕事人ぶりが高い評価を受けて、11月の日本代表のテストマッチ全試合で先発出場。
「とても、今までキャップがなかった選手とは思えない。とてもたくさんの仕事してくれているし、大きなLOを相手にプレーすることにも慣れている」と、ジョセフHCも絶賛する存在感を見せてジャパンFWの中核となった。

昨季までの8年間、トップイーストリーグ所属の日野自動車でプレー。今季、キヤノンイーグルスに加わったLOアニセ サムエラは過去にフィジー代表合宿に呼ばれた経験もあるが、テストマッチでプレーすることはなく、30歳にして日本代表キャッパーとなった。
「とてもエモーショナルな気持ちなったが、100%日本人として戦った」というフィジー戦でのプレーは忘れられないものに。

ウェールズ戦での梶川、アニセのLO陣。日本代表の屋台骨を支える献身的な仕事ぶりが目立った photo by Kenji Demura

ウェールズ戦での梶川、アニセのLO陣。日本代表の屋台骨を支える献身的な仕事ぶりが目立った
photo by Kenji Demura

ノンキャップ組ではないものの、パナソニックの谷田部洸太郎もジョージア戦で先発した他、後半8分から途中出場したフィジー戦ではインパクトあるボールキャリーも見せて、終盤3トライを挙げたジャパンの追い上げに貢献した。

また、出場機会は少なかったものの、山路泰生、東恩納寛太のキヤノンPR陣もジョセフジャパンでの第1歩を記した。

タイトファイブとも呼ばれる、ジャパンの新顔タフガイたちのプレーを生観戦できるチャンスでもあるヤマハ発動機、東芝、キヤノン、パナソニックの12月のスケジュールは以下のとおり。

<ヤマハ発動機ジュビロ>
3日=豊田自動織機シャトルズ(静岡・エコパスタジアム)、10日=NECグリーンロケッツ(静岡・ヤマハスタジアム(磐田))、18日=神戸製鋼コベルコスティーラーズ(兵庫・ノエビアスタジアム神戸)、24日=サントリーサンゴリアス(静岡・ヤマハスタジアム(磐田))

<東芝ブレイブルーパス>
4日=コカ・コーラレッドスパークス(鹿児島県立鴨池陸上競技場)、11日=神戸製鋼(兵庫・ノエビアスタジアム神戸)、18日=近鉄ライナーズ(大阪・ヤンマースタジアム長居)、24日=トヨタ自動車ヴェルブリッツ(東京・秩父宮ラグビー場)

<キヤノンイーグルス>
3日=トヨタ自動車(愛知・パロマ瑞穂ラグビー場)、10日=近鉄(大阪・東大阪市花園ラグビー場)、18日=NEC(東京・秩父宮ラグビー場)、24日=クボタ(東京・秩父宮ラグビー場)

<パナソニック ワイルドナイツ>
4日=クボタスピアーズ(群馬・太田市運動公園陸上競技場)、10日=Honda HEAT(大阪・東大阪市花園ラグビー場)、18日=リコーブラックラムズ(東京・秩父宮ラグビー場)24日=宗像サニックスブルース(福岡・レベルファイブスタジアム)

前半戦は調子が上がらなかった東芝。欧州から戻ってくるLO梶川の存在が起爆剤になるか photo by Kenji Demura

前半戦は調子が上がらなかった東芝。欧州から戻ってくるLO梶川の存在が起爆剤になるか
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