トップリーグ 2016-2017 weekly preview:第13節編

ラグビーファンへの最高のクリスマスプレゼント
ヤマハ発動機 – サントリーの全勝対決を見逃すな

text by Kenji Demura

とうとう決着をつける時がやって来る。
12月24日午後1時。場所は静岡県磐田市にあるヤマハスタジアム。
共に12節を終わって全勝同士のヤマハ発動機ジュビロとサントリーサンゴリアスがクリスマスイブ決戦に臨む。

勝ち点差1で首位を行くヤマハ発動機は前節では神戸製鋼コベルコスティーラーズとのアウェー戦に33—15で勝利。
神戸製鋼の巨漢LOアンドリース・ベッカーにラインアウトで何度もボールを奪われるなど、得意のセットプレーで圧倒はできなかったが、ブレイクダウンの強さを軸に試合を支配。
SO大田尾竜彦、FBゲラード・ファンデンヒーファーを中心とするキック力、CTBヴィリアミ・タヒトゥア、WTBハビリロッキー、途中出場したCTBマレ・サウ、FLヘルウヴェなど外国人選手のタテ突破も威力抜群で、神戸製鋼FL橋本大輝主将をして「相手のいいようにやられてしまった」と嘆かざるを得ないほどの安定感を見せた。

恐ろしいほど迫力ある縦突破でヤマハ発動機のアタックにインパクトを与え続けるCTBタヒトゥア photo by Kenji Demura

恐ろしいほど迫力ある縦突破でヤマハ発動機のアタックにインパクトを与え続けるCTBタヒトゥア
photo by Kenji Demura

一方のサントリーも前節はトヨタ自動車とのアウェー戦を37—24で乗り切り、全勝対決に駒を進めた。
前半30分に自陣深くで得たPKからの早い仕掛けでトライを取り切ったり、80分間が経過した後に相手ボールの密集でベテランFLジョージ・スミスがジャッカルして試合を終わらせるなど、試合巧者ぶりも板についてきた。
トヨタ自動車戦で日本代表としても大活躍を見せるFB松島幸太朗が左足を痛めて途中で退いたのは不安材料だが、現在トライ王のWTB中づる(雨冠に隹・鳥の順)隆彰に加えて、12月に入って復帰した昨季のトライ王であるWTB江見翔太も前節、前々節と2週連続で2トライずつを挙げる荒稼ぎぶり。シーズン途中で加入した元NZ代表SOスティーブン・ドナルドも含めて、BK陣にも多彩な顔ぶれが揃い、アタックの引き出しはどんどん増えている印象だ。

サントリーのキーマンはやはりFLスミス。36歳とは思えない鋭いプレーで攻守のポイントとなる photo by Aki Nagao

サントリーのキーマンはやはりFLスミス。36歳とは思えない鋭いプレーで攻守のポイントとなる
photo by Aki Nagao

「今年はサントリーもFWプレーを強化しているように見えるのでそこの勝負と、どの時間帯でもどこからでも攻める姿勢が凄いので80分間、集中力を切らさないこと」
ヤマハ発動機FL三村勇飛丸主将は決戦のポイントをそう語る。

決戦を地元で戦えるヤマハ発動機と、前節からの休養が1日多くコンディション的には優位なサントリー。
現ヤマハ発動機首脳陣の清宮克幸監督、長谷川慎FWコーチはサントリー出身でもあり、他の対戦以上に意地と意地のぶつかり合いの様相を見せる両者の戦いだけに、2016年のフィナーレに相応しい頂上決戦になりそうだ。

秩父宮ではキヤノン – クボタ、東芝 – トヨタ自動車
大阪・金鳥スタでは近鉄 – 神戸製鋼の阪神ダービー

残り3節の結果如何ではまだ優勝の可能性を残す3位のパナソニック ワイルドナイツは宗像サニックスブルースとのアウェー戦に臨む(24日14:00=福岡・レベルファイブスタジアム)。
まだナイトゲームだった9月17日のサントリー戦で黒星を喫した後は、前節のリコー戦まで8連勝。
豪州代表FLデービッド・ポーコックも加わり、2強に勝るとも劣らない内容で勝ち続けるパナソニックは、当然いま絶対に見ておきたいチームのひとつだろう。

3位パナソニックは福岡で宗像サニックスと対戦。現在8トライのWTB山田はトライ王の座も視野に? photo by Kenji Demura

3位パナソニックは福岡で宗像サニックスと対戦。現在8トライのWTB山田はトライ王の座も視野に?
photo by Kenji Demura

同日のレベスタではコカ・コーラレッドスパークス – NECグリーンロケッツ戦(11:30)も予定されており、前節、共にやや精彩を欠いた宗像サニックス、コカ・コーラの九州勢が地元でどう盛り返してくるのか。特に、現在15位のコカ・コーラは同12位のNECを破れば、13〜15位のチームが回ることになる入替戦回避の可能性も見えてくるだけに、死に物狂いで地元での“直接対決”を制したいところ。

同じくクリスマスイブの東京・秩父宮ラグビー場の2試合もいずれもが熱いゲームになる予感が漂うカードだ。
第1試合では9位のキヤノンイーグルスと11位のクボタスピアーズが対戦(11:30)。
勝ち点はキヤノンが25でクボタが24。一方、13位の豊田自動織機シャトルズの勝ち点は15であり、入替戦回避のためにもライバル対決を制したい。
また、第2試合は前節の近鉄ライナーズ戦で6試合ぶりに白星を挙げた東芝ブレイブルーパスがトヨタ自動車を迎え撃つ(14:00)。
共に、FWを中心にまずはフィジカルバトルで優位に立つことを志向してきたチーム同士であり、過去にも良質な肉弾戦をメインに好ゲームを演じてきた歴史を持つだけに、今回もラグビーの本質に迫るような熱闘が期待される。

長いトンネルを抜けた東芝はトヨタ自動車とのフィジカルバトルに挑む(写真はゲーム主将を務めるFLメッサム) photo by Kenji Demura

長いトンネルを抜けた東芝はトヨタ自動車とのフィジカルバトルに挑む(写真はゲーム主将を務めるFLメッサム)
photo by Kenji Demura

愛知・パロマ瑞穂ラグビー場では、前節の直接対決で明暗を分けた豊田自動織機とHonda HEATが、それぞれリコーブラックラムズ、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスと対戦(24日11:30、14:00)。
勝ち点を15に伸ばして13位に浮上した豊田自動織機は入替戦回避のため、16位のHonda は残留の可能性を維持するため、是が非でも勝っておきたい一戦となる。

また、唯一、イブではないクリスマス当日に予定されている近鉄 – 神戸製鋼の“阪神ダービー”も、お互い意地でも負けたくない試合であることは間違いない(25日14:00 大阪・キンチョウスタジアム)。

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