トップリーグ 2016-2017 weekly preview:第14節編

サントリーは“府中ダービー”制して優勝へ近づけるか?
ヤマハ発動機は近鉄、パナソニックはトヨタ自動車と対戦

text by Kenji Demura

いまも昔も、やはり新春はラグビーの季節。
西では高校ラグビー、東では大学ラグビーがそれぞれ佳境を迎えている。

そして、我らがトップリーグは残すところ、あと2節。当然、各チーム今季のフィナーレへ向けて、持てるもの全てを出し切るべくラストスパートに邁進することになる。

司令塔SO小野も絶好調のサントリーは東芝との府中ダービーも制して全勝を守ることができるか photo by Kenji Demura

司令塔SO小野も絶好調のサントリーは東芝との府中ダービーも制して全勝を守ることができるか
photo by Kenji Demura

昨年のクリスマスまでに第13節が終了したトップリーグの現在の順位と勝ち点を整理しておくと、以下のようになる。

1.サントリーサンゴリアス(60)
2.ヤマハ発動機ジュビロ(57)
3.パナソニック ワイルドナイツ(52)
4.神戸製鋼コベルコスティーラーズ(47)
5.NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(36)
6.トヨタ自動車ヴェルブリッツ(35)
7.東芝ブレイブルーパス(32)
8.リコーブラックラムズ(30)
9.キヤノンイーグルス(29)
10.宗像サニックスブルース(25)
11.NECグリーンロケッツ(25)
12.クボタスピアーズ(24)
13.豊田自動織機シャトルズ(15)
14.近鉄ライナーズ(14)
15.コカ・コーラレッドスパークス(12)
16.Honda HEAT(6)

ということで、年末年始の1週間のブレイクを経ての再開となる14節(1月7、8日)。
“クリスマスイブ決戦”を制して4年ぶりのトップリーグ制覇に大きく前進した首位サントリーは東芝との“府中ダービー”で新年の戦いをスタートさせる(7日13:00 東京・味の素スタジアム)。

「自分たちでオフサイドラインをはっきりさせるくらいブレイクダウンを制覇するつもりで臨んだ。スタンダードを引き上げてくれる試合になった」

前節でのヤマハ発動機との全勝対決を制した後、沢木敬介監督がそう語ったとおり、昨季9位というチャレンジャーのポジションからスタートしたシーズンで破竹の13連勝を続けてきたことで、サントリーというチームが自分たちの成長に確固たる手応えをつかんでいるのは間違いないだろう。

「スクラムはもっといけた(同監督)」
ブレイクダウンだけではなく、強力FWを誇るヤマハ発動機を向こうに回し、いきなりファーストスクラムで相手ボールをターンオーバーし、LOジョー・ウィーラーを中心にラインアウトも制圧。
ファーストスクラムからのチャンスボールをトライ王争いのトップに立つWTB中づる(雨冠に隹・鳥の順)隆彰が仕留めるなど、BK陣も決定力を見せつけた。

5連敗の後、2連勝。上り調子の東芝はサントリーに黒星をつけることができるか。まずはFW戦で上回りたい photo by Kenji Demura

5連敗の後、2連勝。上り調子の東芝はサントリーに黒星をつけることができるか。まずはFW戦で上回りたい
photo by Kenji Demura

そんな絶好調サントリーと対戦する東芝は周知のとおり厳しいシーズンを過ごしてきた。
第4節でヤマハ発動機に6—40と大敗した後、第6節でHonda HEATに31—12で快勝した以外は第11節まで黒星続き。一時は入替戦に回る可能性まで囁かれた。

それでも、12月の最後の2節(12節=対近鉄、13節=対トヨタ自動車)で連勝。
ことに、12月24日のトヨタ自動車とのフィジカルバトルを制したことで、昨季の準優勝チームはようやく本来の力を取り戻しつつあると見ていいだろう。
過去5度トップリーグを制してきた東芝にとって、“府中ダービー”と呼ばれるサントリーとの対戦は、当然ながら絶対に負けたくない試合。
すでに、日本選手権出場の可能性もなくなった名門チームにとって、今季残っている日程は泣いても笑っても2試合だけ。ライバルとのダービー戦に持てるもの全てを懸けて臨んでくることは想像に難くない。

トップリーグ残留を確定させたいNEC、クボタ
最下位Hondaの起死回生の自動降格回避はあるのか?

一方、サントリーとの全勝対決に敗れたヤマハ発動機は、近鉄ライナーズと対戦する(8日14:00 大阪・キンチョウスタジアム)。

今季初の1敗を喫したとはいえ、首位サントリーとの勝ち点差は3。サントリーが残り2試合で東芝、神戸製鋼コベルコスティーラーズという昨季の4強でもある強豪チームと対戦することを考えてみても、悲願のトップリーグ初制覇の可能性は十分残されている。
「日本選手権にもつなげていきたいので、切り替えて、しっかり準備していく」(FL三村勇飛丸主将)ことができるかどうか。
若い選手も多いチームの底力が試される一戦となる。

現在14位の近鉄は、入替戦回避の可能性を残すためには、ヤマハ発動機に対してトライ数差3以上で勝つことが必要。いずれにしても、少しでも順位を上げておくことがトップリーグ残留に近づく条件でもあるだけに、地元・大阪での試合に万全な態勢で臨むはずだ。

また、同日のキンチョウスタジアムでの第1試合は、勝てばトップリーグ残留が決まる12位クボタと、まだ日本選手権出場の可能性を残す4位神戸製鋼が登場。
当然、両チーム共に絶対に落としたくない一戦となる。

3位パナソニックは敵地でトヨタ自動車と対戦。TL最年少出場記録を更新したNO8ガンターのプレーも注目される photo by Kenji Demura

3位パナソニックは敵地でトヨタ自動車と対戦。TL最年少出場記録を更新したNO8ガンターのプレーも注目される
photo by Kenji Demura

現在3位で、逆転優勝の可能性を残す昨季の覇者パナソニックは、名古屋でトヨタ自動車と対戦(7日14:00 愛知・パロマ瑞穂ラグビー場)。
開幕戦でヤマハ発動機に力負け(21—24)、第4節でサントリーに大敗した以外は白星を重ねてきた昨季の王者は、FLデービッド・ポーコック、NO8ベン・ガンターの新外国人も含め、HO坂手淳史、LO長谷川峻太、SO山沢拓也、SO/CTB金田瑛司、CTB森谷圭介、WTB福岡堅樹、FB藤田慶和など新戦力によるチームの活性化がどんどん進んでいる印象で、エキサイティングなラグビーを披露してくれそうだ。

対するトヨタ自動車にとっては、今季、地元・愛知県で戦う最後の試合。
終盤に入り、勝ち星に恵まれず、現在3連敗中だが、ひとつひとつのプレーではサントリーにも東芝にも見劣りしない部分は少なくなかった。
今季強化してきたセットプレーをはじめFWを中心としたコンタクトの部分で優位に立って、2011年以来となるワイルドナイツ戦勝利を地元ファンにプレゼントしたいところだろう。

また、同日のパロマ瑞穂ラグビー場の第1試合(11:30)は共に現在のところ入替戦圏内にいる豊田自動織機(13位=勝ち点15)とコカ・コーラ(15位=勝ち点12)の対戦。

豊田自動織機には入替戦を回避してのトップリーグ残留の可能性があり、コカ・コーラも勝てば自動降格を免れる可能性が高まるだけに、共に是が非でも白星が欲しい。

最下位HondaはNECと対戦。WTBイオアネはチームの自動降格回避に貢献できるか photo by Kenji Demura

最下位HondaはNECと対戦。WTBイオアネはチームの自動降格回避に貢献できるか
photo by Kenji Demura

8日の東京・秩父宮ラグビー場の第1試合(11:30)では、自動降格へ絶体絶命のピンチを迎えている最下位のHondaがNECと対戦。
前日のコカ・コーラ – 豊田自動織機戦の結果にもよるが、自動降格回避の可能性に賭けたいHondaにとっては負けられない試合となる一方、逆に入替戦に回らずに残留を決めたいNECとしても確実に勝ち点をものにしたいのは確か。

また、同日の秩父宮の第2試合(14:00)は現在2連勝中の5位NTTコム対同3連勝中の9位キヤノンという好調チームの対戦が予定され、同時刻には駒沢陸上競技場でリコー対宗像サニックスという、今季エキサイティングなラグビーを見せてきたチーム同士の対戦もあり、東京のラグビーファンとしてはどちらに足を運ぶか迷ってしまう事態ともなってもいる

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