トップリーグ 2016-2017 weekly preview:特別編「トップリーグ入替戦」

昨年はコカ・コーラが九州電力と引き分け、辛くも残留を果たしたが、今年どんなドマラが待っているのか photo by Kenji Demura

昨年はコカ・コーラが九州電力と引き分け、辛くも残留を果たしたが、今年どんなドマラが待っているのか
photo by Kenji Demura

来季トップリーグで戦えるのはどのチーム?
名古屋、大阪、福岡でサバイバルマッチ

text by Kenji Demura

28日、愛知、大阪、福岡の3会場で来季のトップリーグ参戦権を賭けた入替戦3試合が行われる

トップリーグから入替戦に回ることになったのは、13位の近鉄ライナーズ、14位のコカ・コーラレッドスパークス、15位の豊田自動織機シャトルズの3チーム。
すでに、16位Honda HEATの自動降格が確定している。

一方で、1月3〜15日に行われたトップチャレンジ1では、NTTドコモレッドハリケーンズ(トップウエストA1位)が3戦3勝で1位となり、来季のトップリーグ昇格権を獲得。
同2位の三菱重工相模原ダイナボアーズ(トップイーストDiv.1 1位)、同3位に日野自動車レッドドルフィンズ(同2位)、同4位の九州電力キューデンヴォルテクス(トップキュウシュウA1位)の3チームがトップリーグ勢を相手に昇格を賭けた入替戦に臨む。

大阪・東大阪市花園ラグビー場で行われるのは、トップリーグ13位の近鉄とトップチャレンジ4位の九州電力の一戦。

地元に九州電力を迎える近鉄。相変わらず落ちついたプレーぶりを見せるSO重光のゲームメイクも鍵を握る photo by Kenji Demura

地元に九州電力を迎える近鉄。相変わらず落ちついたプレーぶりを見せるSO重光のゲームメイクも鍵を握る
photo by Kenji Demura

ワールドカップの影響もあって短期決戦だったとはいえ、昨季はリーグ戦(プールA)を5勝2敗と大きく勝ち越すなど7位でシーズンを終えた近鉄だったが、今季は多くの故障者が出たことも響いて、第6節から9連敗するなど苦しいシーズンとなった。

開幕戦ではサントリーに対して互角の勝負をしたように(13—14)、元々ポテンシャルは高く、リーグ終盤戦では14節でヤマハ発動機に対してFW戦で一歩も引かずに善戦(12—26)した後、最終節では豊田自動織機に競り勝つ(26—24)など、調子を上げた状態でシーズンを終えた。

ヤマハ発動機とも互角に渡り合い、豊田自動織機からはスクラムトライも奪うなど、こだわってきたセットプレーが終盤安定していたのは、絶対に負けられない入替戦に臨むにあたっては大きなアドバンテージになりそうだ。

対する九州電力は3年連続で外国人選手なしでの入替戦出場となる。
過去2年はコカ・コーラとの九州勢対決だったが、昨年はなんと14対14の引き分けで、惜しくもトップリーグ昇格を逃した(同点の場合はトップリーグ所属チームの残留となる)。
「スコアで上回れなかったということは、足りなかった部分があったということ。小さいところにこだわりを持ってできるかどうか」(CTB中靏憲章主将)
そんな思いで過ごしてきた1年の集大成を近鉄相手にぶつけることになる。

ちなみに、九州電力の中靏主将は、今季トップリーグのMVP&トライ王でもあるサントリーWTB中靏隆彰の兄でもある。

九州電力が接戦に持ち込むためには、セットプレー、ブレイクダウン、あるいはタックルといったコンタクトエリアのプレーで粘り強く戦えるかがポイントか。
失点を最小限に抑えながら、数少ないチャンスにしっかりトライを取り切る“九電スタイル”を前面に出す展開に持ち込みたい。

日本代表主将も務めたFL佐々木など、日野自動車の元トップリーガーたちの存在はここ一番で生きるか

日本代表主将も務めたFL佐々木など、日野自動車の元トップリーガーたちの存在はここ一番で生きるか

トップチャレンジ2からの昇格に挑戦する
日野自動車には元日本代表のスター選手も

福岡・レベルファイブスタジアムでは4年連続での入替戦登場となるコカ・コーラと、今季トップイーストDIV.1でチーム史上最高位である2位となった後、トップチャレンジ2を制してトップリーグ昇格のチャンスをつかんだ日野自動車が対戦する。

今季のコカ・コーラはトップリーグ史上初となる東芝戦勝利など、歴史を塗り替えるビッグゲームもあったものの、その東芝戦も含めてシーズンを通しての勝利は3勝止まり。13—14年シーズンの昇格以来続く入替戦を経ての残留を今季も目指すことになった。
「他に比べてフィジカルが弱い」(FL山下昂大主将)というチームとしての弱点を前に出るDFと徹底的にボールを動かすスタイルでカバーする戦い方は格下の相手との対戦でも変わらないはず。

対する日野自動車にとっては初のトップリーグ昇格のチャンスとなるが、チームにトップリーグ経験者も多い点は、上部リーグのチームとの入替戦に臨む下位リーグのチームとしては、心強い。
PR長野正和、LO笠原雄太(共に元ヤマハ発動機)、FL佐々木隆道(元サントリー)など、大舞台の経験も十分な元トップリーガーたちが要所を締めるFW陣は31対0と快勝したトップチャレンジ1の九州電力戦で再三モールを押し込むなど、力強さではトップリーグ勢に引けを取らない。
「世界を見渡してもどこでもやっていないラグビー」
細谷直監督がそう説明する日野自動車のラグビースタイルは、基本的にはコカ・コーラにも通じるボールを動かすスタイル。
前述のFWリーダーたちに率先されるかたちでセットプレー、ブレイクダウンで互角に戦えれば、日野自動車のトップチャレンジ2からのトップリーグ昇格も見えてきそうだ。

頼りになる外国人選手の存在は豊田自動織機にとっては大きい(写真はWTB/CTBヴァカ) photo by Kenji Demura

頼りになる外国人選手の存在は豊田自動織機にとっては大きい(写真はWTB/CTBヴァカ)
photo by Kenji Demura

愛知・パロマ瑞穂ラグビー場に登場するのは、豊田自動織機(トップリーグ15位)と三菱重工相模原(トップチャレンジ1 2位)。
過去5年間のうち豊田自動織機は3回、三菱重工相模原は4回、それぞれ入替戦で戦っている。
ちなみに、2年前の入替戦では同じ場所で直接対決し、53—7で豊田自動織機が勝っている。

共に、主力に外国人選手を多く抱える両チームだけに、インパクトプレーヤーの出来も勝敗を左右しそうだ。

また、トップリーグ勢の中では、セットプレーにやや安定性を欠く豊田自動織機だけに、三菱重工相模原が組織プレーでどう対抗するかも鍵になりそうだ。

5年連続での入替戦となる三菱重工相模原。悲願のトップリーグ復帰へ一発勝負の経験は十分だ

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