トップリーグ 2017-2018 weekly preview:総合順位決定トーナメント第1節

7季ぶり4強トヨタ自動車が全勝パナソニックに挑戦
サントリー対ヤマハ発動機の因縁対決を制するのは?

text by Kenji Demura

昨年12月24日に行われた第13節をもって、今季のレギュラーシーズン(リーグ戦)は終了。
日本最高峰を謳うトップリーグに参加する16チームの戦いの場は、6日、そして13、14日の2節にわたって行われる総合順位決定トーナメントに移ることになる。

レッド、ホワイトの2つのカンファレンス制が取られた今季のトップリーグだが、レギュラーシーズン終了時点での両カンファレンスの最終成績は以下のとおり(チーム名の後の数字は総勝ち点)。
両カンファレンスの順位によって4チームずつ4つのグループに分かれて総合順位決定トーナメントが行われ、最終順位が争われることになる。

<レッドカンファレンス>
サントリーサンゴリアス(55)
トヨタ自動車ヴェルブリッツ(46)
東芝ブレイブルーパス(39)
神戸製鋼コベルコスティーラーズ(37)
NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(31)
クボタスピアーズ(26)
NTTドコモレッドハリケーンズ(26)
近鉄ライナーズ(17)

※6位と7位は総得失点差の違いによる

<ホワイトカンファレンス>
パナソニック ワイルドナイツ(63)
ヤマハ発動機ジュビロ(46)
リコーブラックラムズ(43)
NECグリーンロケッツ(26)
キヤノンイーグルス(20)
豊田自動織機シャトルズ(11)
宗像サニックスブルース(8)
コカ・コーラレッドスパークス(3)

大一番で先発し、司令塔を務めるパナソニックSO山沢のゲームメイクぶりもポイントに

大一番で先発し、司令塔を務めるパナソニックSO山沢のゲームメイクぶりもポイントに

優勝決定トーナメントに勝ち上がったのはサントリー(レッド1位)、トヨタ自動車(レッド2位)、パナソニック(ホワイト1位)、ヤマハ発動機(ホワイト2位)の4チーム。
同トーナメントは日本選手権も兼ねて行われ、優勝チームはトップリーグタイトルとともに2冠達成となる。

6日に大阪・ヤンマースタジアム長居で開催予定の同トーナメント(兼日本選手権)準決勝は以下のカードで行われる。

トヨタ自動車 – パナソニック(14:00)
サントリー – ヤマハ発動機(16:00)

第1試合では、今季、就任した元南アフリカ代表監督でもあるジェイク・ホワイト監督のもと、「メンタルの部分での成長が大きい。苦しい試合で勝ち切れるようになったし、選手たちにはその自信があると思う」(同監督)というタフな集団へと変貌を遂げたトヨタ自動車が、リーグ戦を全勝で乗り切ったパナソニックにチャレンジする。

今季のリーグ戦第5節(9月23日)での対戦ではパナソニックが43—16で快勝しているが、それから3ヶ月半の時間を経てトヨタ自動車が大きく成長していることは、当然ながらパナソニックサイドも認識している。
「(トヨタ自動車は)元々フィジカルが強いチーム。そこにジェイク(ホワイト監督)が入り、メンタル面でひとつ芯が通った。ひとつにまとまっている」(パナソニック相馬朋和ヘッドコーチ)

パナソニックは、新人ながらトヨタ自動車の快進撃を支える活躍を見せるFL姫野主将を警戒 photo by Kenji Demura

パナソニックは、新人ながらトヨタ自動車の快進撃を支える活躍を見せるFL姫野主将を警戒
photo by Kenji Demura

新人ながらキャプテンに指名され、新生・トヨタ自動車の象徴とも言える前に出続けるプレーでチームを引っ張ったFL姫野和樹主将は「ひたむきに泥臭く、いきたい。そういう姿勢でプレーし続ければ、必ずチャンスはある」と、パナソニックに対する下剋上のポイントを語る。

一方、2年ぶりの王者への返り咲きを狙うパナソニックFL布巻峻介主将は「目の前の相手に全力でいくだけ。そこを楽しめるようにチャレンジしていきたい」と、どんな相手にも自分たちのスタイルを貫くことに対する自信を見せる。
計12トライを記録してトライ王に輝いた山田章仁、リーグ戦終盤は欠場した試合が多かったものの計8トライを挙げた福岡堅樹という両WTBの存在が象徴的でもあるが、どのポジションにも日本代表が並ぶパナソニックが優位なのは、リーグ戦での対戦結果からも明らかだろう。

それでも、2007年W杯を制した経験も持つホワイト監督が言うように「1月に行われるのは、(リーグ戦とは)違うコンペティション。今までのことは関係ない」側面があるのも確かだ。

リーグ戦終盤、FW勢もオフロードパスをつないだり、従来とは一線を画すような、ボールを積極的に動かすアタッキングラグビーを見せて4強にたどり着いたトヨタ自動車だが、パナソニック相手に勝敗を競るような試合展開に持ち込むためには、元々強いコンタクトエリアでしっかり戦えるかが条件になることは間違いないだろう。

サントリーのSH流主将について、ヤマハ発動機NO8堀江主将「FWの使い方が上手」と評価 photo by Kenji Demura

サントリーのSH流主将について、ヤマハ発動機NO8堀江主将「FWの使い方が上手」と評価
photo by Kenji Demura

東京・秩父宮では神戸製鋼—リコー、東芝—NEC
自動降格回避へ13〜16位の熱い争いは名古屋で

続く準決勝第2試合は、「(サントリーは)一番倒したい相手」(ヤマハ発動機・清宮克幸監督)という因縁のカードでもある。
サントリーの沢木敬介監督は、清宮監督がサントリーの監督を務めていた時に指導者としての歩みを始めてもいる。

総当たりのリーグ戦のみだった昨季、全勝でトップリーグ王者に輝いたサントリーに対して、ヤマハ発動機は1敗で2位。
つまり、第13節で対戦し41—21でサントリーが勝利を収めた直接対決の結果が、優勝と準優勝を分けるかっこうとなったのだ。

ヤマハ発動機にとっては、昨季のリベンジ戦でもあった今季のリーグ戦での対戦(第3節)でも、サントリーが27—24で勝利。
ただし、「リーグ戦は負け試合だった」(SH流大主将)とサントリーサイドが認めるほど、勝敗が逆になっていてもおかしくない内容だった。

「今度はしっかりサントリースタイルで文句ない勝ち方で勝ちたい」(沢木監督)という王者サントリーだが、リーグ戦では黒星自体はパナソニックに敗れた1敗のみだったものの、ヤマハ発動機戦も含め12勝中5試合でボーナスポイント(3トライ差以上)を獲得できないなど、苦しい内容の試合も少なくなかった。

それでも、沢木監督は「去年にプラスして新しいことにチャレンジしている。チームでやろうとしていることは精度高くできてきているところもある。次の試合に向けてはベストメンバーで臨めるので、楽しみ」と、自分たちのアタッキングラグビーを貫き通して因縁対決に決着をつけ、2連覇に王手を賭けることへの自信を見せる。

サントリーとしてはヤマハ発動機NO8堀江主将にトライを取られて勢いに乗せたリーグ戦の再現は避けたいところ photo by Kenji Demura

サントリーとしてはヤマハ発動機NO8堀江主将にトライを取られて勢いに乗せたリーグ戦の再現は避けたいところ
photo by Kenji Demura

一方のヤマハ発動機は「怪我人が多く、サントリー戦もベストメンバーが組めない」(清宮監督)という状況だが、そういう逆境をプラスにして王者討ちに挑む。
「逆に、絞り切ったラグビーでヤマハらしい戦いができるのではないか」(同監督)

サントリーの沢木監督が「ヤマハといえばスクラム。そこは警戒していきたい」と語るとおり、ヤマハ発動機が強力FWを前面に出した戦い方をしてくることは間違いないと言ってよく、セットプレーやブレイクダウンでの優劣が勝敗の鍵を握ることになりそうだ。

また、5〜8位、9〜12位、13〜16位を決める各トーナメントの今節(6日)の対戦カードは以下のとおり。

<5〜8位グループ/第1節=6日、東京・秩父宮ラグビー場>

神戸製鋼(レッド4位)−リコー(ホワイト3位)=11:30
東芝(レッド3位)—NEC(ホワイト4位)=14:00

<9〜12位グループ/第1節=6日、福岡・ミクニワールドスタジアム北九州>

クボタ(レッド6位)−キヤノン(ホワイト5位)=11:30
NTTコム(レッド5位)—豊田自動織機(ホワイト6位)=14:00

<13〜16位グループ/第1節=6日、愛知・パロマ瑞穂ラグビー場(名古屋)>

近鉄(レッド8位)−宗像サニックス(ホワイト7位)=12:00
NTTドコモ(レッド7位)—コカ・コーラ(ホワイト8位)=14:30

神戸製鋼が4強入りを逃すことになった要因のひとつでもあるリコーに対するリーグ戦での敗戦のリベンジのチャンスや、終盤リーグ戦を盛り上げた東芝と熱いパフォーマンスを続けたNECの対戦など、ラグビーファンなら見逃せない対戦も目白押し。

13〜16位グループは1勝すれば自動降格を免れるだけに、リーグ戦以上のガチンコ勝負が見られる可能性さえあり、4強以外の対戦にも是非とも注目を。

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