シーズン開幕特別インタビュー<後編> 薫田強化委員長に聞く「トップリーグと日本代表強化の連動性」

昨季に続きトップリーグ新顔が日本代表の主力になる現象を期待

薫田真広・男子15人制日本代表強化委員長を迎え、トップリーグと日本代表強化の連動性を聞くインタビュー記事。
後編では、具体的なスケジュールや選手名などにも話が及んだ。

(聞き手・構成 出村謙知)

「日本代表に選ばれるため、トップリーグで質の高いプレーを見せてくれるはず」 photo by Kenji Demura

「日本代表に選ばれるため、トップリーグで質の高いプレーを見せてくれるはず」
photo by Kenji Demura

──日本代表強化責任者という目線から、今季のトップリーグで期待している選手などがいれば。

薫田「例えば、昨シーズンの姫野(和樹=トヨタ自動車FL)のような存在が出てきてくれれば、もちろん嬉しいです。野口(竜司=パナソニックFB)はNDSから上がってきた。パナソニックでレギュラーを取れるか。
流(大=サントリーSH)についてはサンウルブズでもキャプテンを務めている。そういう意味では、昨季は新しい選手が出てきたシーズンだったと思います。今シーズンも彼らに続く新しい選手が出てくることに期待したいです。
その一方で、まだ代表資格が取れていない外国人選手に関しても、パフォーマンスを見る機会が増える。2019年に向けて、どれくらい準備できているのか、必要な選手がひとりでも、ふたりでも、浮上してきてほしい」

──ジェイミー・ジョセフ日本代表ヘッドコーチはトップリーグを視察するのでしょうか。

薫田「レギュラーシーズン中は基本的に見ることになると思います。海外に視察に行く可能性もあり、サンウルブズの準備もあるので、流動的になる可能性はありますが。もちろん、どこにいても情報はしっかり共有していくことになります」

──トップリーグシーズン中の日本代表関連のスケジュールに関して教えてください。

薫田「9月の第4週にトップリーグのバイウィークがありますので、そこでミニキャンプを行う。世界選抜戦(10月26日)に向けては第7節をプロテクト節にしていただいて、2週間のキャンプを行い、11月3日にオールブラックス戦、一度ブレイクした後、イングランドへ向かうことになります」

──7節のプロテクト選手の発表はいつぐらいになりそうですか?

薫田「トップリーグ第4節終了後に予定しているミニキャンプが終わった後になると思います。そのミニキャンプのテーマは、主にオールブラックス戦に向けた準備になる。エリジビリティのない選手は呼ばない。トレーニングスコッドではなく、あくまでも代表キャンプ。プロテクトもあくまでも11月のテストマッチに向けた代表選考に基づいてというかたちになります」

──レギュラーシーズンが終わった1月以降は。

薫田「まずは、トップリーグのレギュラーシーズンが終わった時点でトレーニングスコッドを休ませた上で、サンウルブズはキャンプ。コーチ陣を海外研修に行かせる可能性もあります。そして、トレーニングスコッドとしての試合を6〜8試合組みたいと考えています。昨シーズンのNDS(JAPAN A)のようなかたちになると思います。サンウルブズの方は外国人と日本人の若手で構成しながら、トレーニングスコッドのコンディションが上がってきたらサンウルブズでプレーしてもらったり、その時の状況に合わせながらベストな運用をしていきたいと思っています」

昨季トップリーグデビューを果たした姫野(トヨタ自動車FL)はすでに日本代表に欠かせない存在に photo by Kenji Demura

昨季トップリーグデビューを果たした姫野(トヨタ自動車FL)はすでに日本代表に欠かせない存在に
photo by Kenji Demura

「世界基準のトップリーグ」こそRWC2019でベスト8入りの鍵に

──地元開催RWC2019に向けた日本代表強化に直結する今季のトップリーグ。ファンとしてはどういう点に注目していったらいいでしょう。

薫田「トレーニングスコッドは確定ではなく、トップリーグでのパフォーマンスなども参考に随時入れ替えをしていくつもりです。選手たちは常にセレクションがかかっていますので、日本代表に選ばれるためにも質の高いプレーを見せてくれるはず。昨シーズンのファイナルのような世界基準の試合が1試合でも多くなってほしいですし、そうなっていくでしょう。
今シーズン、オンザピッチの外国籍選手の数が6名に増える。いままでとは違った種類のゲームが見られる。質の高さにつながっていくことに期待したい。
例えば、サンウルブズがストーマーズに勝った試合、最後の10分間でヘイデン・パーカーが見せたプレーは間違いなく世界基準でした。そういうハイプレッシャーの中で日本人選手たちがどんなプレーをするのか。ギリギリの状況でも、とびきりクォリティの高いプレーができる。そういう選手、チーム同士の対戦が増えていってほしい」

──RWC2019で世界8強入りするための準備は着実に進んでいる。

「ワールドラグビーのハイパフォーマンスサイドからも高い評価を受けています。6月のテストマッチが顕著ですが、世界有数のスクラム強国に対して、セットピースがあれだけ安定。しかも、ジョージア戦は完封でした。世界のトップ20チームを無失点に抑えて勝つのは非常に稀だし、一貫性という観点からも大きく評価できるパフォーマンスが続いている。
この方向を進めて、RWCベスト8入りという目標を達成するためにも、トップリーグのゲームの質をいかに高いものにしていくか、世界基準のトップリーグになるかがポイントになります」

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