トップリーグ 2018-2019 weekly preview:第3節

サントリーとの大一番でTLデビューとなるSOカーター。神戸製鋼を日本一に導けるか photo by Kenji Demura

サントリーとの大一番でTLデビューとなるSOカーター。神戸製鋼を日本一に導けるか
photo by Kenji Demura

リーグ戦で関東圏唯一となる神戸製鋼の試合が秩父宮で!
金曜ナイターのサントリー戦でSOカーターがデビューへ

text by Kenji Demura

遂に世界一の司令塔がトップリーグデビューを果たす。

今季、神戸製鋼コベルコスティーラーズに新加入した元ニュージーランド代表SOダン・カーターが14日のサントリーサンゴリアス戦(東京・秩父宮ラグビー場=19:30)で先発出場する。

開幕節のNTTコミュニケーションズシャイニングアークス戦はメンバー外、第2節の宗像サニックスブルース戦は開催中止(9月29日13:00 北海道・月寒屋外競技場=月寒ラグビー場での代替開催に)となり、いきなり2連覇中の王者との対戦でトップリーグデビューを果たすこととなった。

「自分のスキルを見せて、優勝したい」

入団会見でそう語っていたカーター。2011年、2015年と、2度のラグビーワールドカップ制覇に貢献するなど、ニュージーランド代表として通算112キャップを獲得し、テストマッチ通算1598得点の世界記録保持者でもある正真正銘のレジェンドが神戸製鋼のチームメイトをどうリードしていくのか。

先発 SHとしてカーターとコンビを組むのは、元オールブラックスのアンドリュー・エリスではなく、昨季まではサントリーに所属していた日和佐篤。
世界一のSOと日本代表51キャップを誇るサンゴリアスを知り尽くすSHという、王者包囲網としては最強と言えるかもしれないハーフ団コンビを前面に据えるかたちで、神戸製鋼としては2014−2015シーズン以来となるサントリー戦勝利を狙う。

カーター以外にもリチャード・バックマン、アダム・アシュリークーパーのCTBコンビ、WTBアンダーソンフレイザーと実績十分の海外出身選手が並ぶ神戸製鋼BK(前述のSHエリスもリザーブ入り)に対して、「ウチは日本人を育てて、インターナショナルなレベルに引き上げる」と胸を張るサントリー沢木敬介監督は、その言葉どおりに、2戦連続で和製BK陣を送り込む。
日本が世界に誇るトップリーグ王者の矜持を見せつけての勝利を狙う。

「我慢強さが足りない。雑。本当の危機感を感じないと隙が出る」(同監督)
ここまで2戦2勝ながら、いずれも2点差での辛勝と厳しい戦いが続くサントリーにとって、若手中心のメンバーで神戸製鋼相手にどんなパフォーマンスを見せられるかが、3連覇への試金石になることは間違いないだろう。

前節、神戸製鋼の試合が中止になったことが、両チームのコンディションや試合勘にどう影響するのかも、ひとつのポイントにはなりそうだ。

第2節ではリコーに辛勝もまだまだミスも多かった東芝。FLリーチのパフォーマンスも鍵を握る photo by Kenji Demura

第2節ではリコーに辛勝もまだまだミスも多かった東芝。FLリーチのパフォーマンスも鍵を握る
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土曜の秩父宮では日野—トヨタ自動車、東芝−パナソニック
大阪・万博ではクボタ立川−キヤノン田村のジャパンSO対決も

15日の土曜日には、東京、大阪、京都、静岡、福岡で計7試合が予定されている。
神戸製鋼対サントリーから一夜明けの秩父宮ラグビー場で行われる2試合も見逃せないカードが並んだ。

第1試合では、開幕節でいきなり宗像サニックスに快勝して驚愕のトップリーグデビューを果たした日野レッドドルフィンズがトヨタ自動車ヴェルブリッツと対戦(16:30)。
第2節では豊田自動織機シャトルズに惜敗(14—15)したものの、FL村田毅主将を筆頭に経験十分のメンバーが並ぶ日野のチーム力がトップリーグでも十分通用するものであることはすでに実証済み。
再び東京に戻っての試合でセンセーショナルな戦いぶりを見せて日野ブームを巻き起こしたいところだ。

開幕節でサントリーに対してトライ数で上回りながら(4本—3本)ロスタイムでの逆転負けを喫するという悔しい経験をしたトヨタ自動車。前節のNECグリーンロケッツ戦では4トライを奪う攻撃力はそのままに「メンタル面とディフェンス面で成長が見られた」(ジェイク・ホワイト監督)という落ち着いた試合運びを見せて29—5で快勝。
2節連続となる秩父宮で、トップリーグ制覇を狙うにふさわしいチームであることを証明するようなパフォーマンスを続けたい。

第2試合は、トップリーグ史を紐解いても、数々の名勝負を繰り広げてきた東芝ブレイブルーパスとパナソニックワイルドナイツの対戦(19:00)。

開幕節でキヤノンイーグルスに敗れ(20—26)、前節のリコーブラックラムズ戦では20—17と勝利こそ収めたもののミスも多く、「トップリーグ制覇のためには、改善すべき点がたくさんある」(CTBリチャード・カフイ主将)ことが露呈したかっこうの東芝。2015−2016シーズンに準優勝して以降、不本意なシーズンが続いているが、メンタル面で優位に立てるかも、パナソニックとの大一番でのキーになりそうだ。

開幕節が大阪でのクボタスピアーズ戦(15—11)、第2節が佐賀でのコカ・コーラレッドスパークス戦(62—17)だったパナソニックにとっては、今季初の関東圏での試合。
コカ・コーラ戦で10トライを奪ったパフォーマンスに関して、「やっと本格的なスタートができた」と、ロビー・ディーンズ監督は喜んだが、東芝相手にも攻守に自分たちのラグビーができるかは、今季の優勝争いを占う上で当然ながら注目だ。

大阪ではクボターキヤノン戦。クボタ大黒柱SO立川はチームを今季初勝利に導けるか photo by Kenji Demura

大阪ではクボターキヤノン戦。クボタ大黒柱SO立川はチームを今季初勝利に導けるか
photo by Kenji Demura

大阪・万博記念競技場では、ここまでパナソニックワイルドナイツ、ヤマハ発動機ジュビロという強豪相手に善戦しながらも、まだ勝ち星を挙げる事ができていないクボタスピアーズが無敗のキヤノンイーグルスと対戦(17:00)。

共に東芝やヤマハ発動機という強力FWを誇るチームに対して対等以上に戦ってきただけに、セットプレーやコンタクトエリアでの攻防でどちらが優位に立てるのか。
その上で、日本代表の司令塔対決ともなるクボタSO立川理道主将、キヤノンSO田村優が、それぞれどんなゲームメイクを見せてチームを勝利に導くのかも見逃せない。

京都・西京極総合運動公園陸上競技場兼球技場では、ここまで2連勝、それもいずれも1点差での勝利をものにする勝負強さを見せる豊田自動織機シャトルズと、逆に惜敗続きのNTTコニュニケーションズシャイニグアークスが対戦(17:00)。
「日本一」(FL金正奎主将)を目指すNTTコムにとっては、絶対落とせない一戦であり、豊田自動織機としても開幕戦3連勝を飾って初の8強入りへの道筋を確かなものにしたいところ。

ヤマハ発動機ジュビロにとっては地元・ヤマハスタジアム(静岡・磐田)でのホーム開幕戦。
キヤノンに引き分けて地力のあることを示したHonda HEATを迎えて、ここまではやや不発な感も残る“ヤマハスタイル”を取り戻して、中盤戦以降に向けて勢いをつけるパフォーマンスを見せたい(17:00)。

福岡・レベルファイブスタジアムでは九州勢が揃い踏み。
宗像サニックスとコカ・コーラは、それぞれ NECとリコー相手に地元で今季勝利を挙げるなどして、九州のファンを喜ばせることはできるのか。
宗像サニックス−NEC戦が15:00、コカ・コーラ−リコー戦が17:30のキックオフとなる。

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