トップリーグ 2018-2019 weekly preview:総合順位決定トーナメント 2回戦

FLヘルも復帰するヤマハ発動機。生命線であるFW戦で優位に立ちたい photo by Kenji Demura

FLヘルも復帰するヤマハ発動機。生命線であるFW戦で優位に立ちたい
photo by Kenji Demura

いよいよ4強対決。東京・秩父宮でサントリー対ヤマハ発動機
大阪・花園では神戸製鋼対トヨタ自動車が決勝進出を賭けて激突

text by Kenji Demura

8日土曜日に6試合、9日日曜日に2試合が予定されているジャパンラグビー トップリーグ2018-2019総合順位決定トーナメント2回戦。
当然ながら、最大の注目カードは、前節1〜8位トーナメント1回戦を勝ち上がった4チームによる“セミファイナル”の2試合となる。

8日16時から東京・秩父宮ラグビー場で予定されているのは、昨季の覇者で3年連続6度目のトップリーグ制覇を目指すサントリーサンゴリアスと、ここ4シーズン4強入りを果たしながらもトップリーグタイトルには届いていないヤマハ発動機ジュビロの一戦。

1回戦ではクボタスピアーズに対して前半3トライを奪うなど王者らしいラグビーを披露して25−7と大きくリードしたサントリーだったが、後半はクボタの前に出る圧力に後退を余儀なくされるシーンが続き、最後は2点差に追い上げられての辛勝(28—26)での4強入りとなった。

「ペナルティの改善です」SH流大主将は、ヤマハ発動機戦に向けての一番の課題をそう語るが、確かに1回戦後半のペナルティ数はクボタの2に対してサントリーは9。
いかに規律あるプレーを取り戻すかが、3連覇への鍵となるのは確かだろう。

メンバー的には、クボタ戦からさらに日本代表組の“上積み”が期待できそうだ。
FWでは11月のイングランド遠征2試合ともに先発し、クボタ戦はリザーブだったFL西川征克が先発復帰。
一方、BK 陣は、「サントリーは日本人を育てるチーム」(沢木敬介監督)という公言通り、元豪州代表SOマット・ギタウ以外はCTB梶村祐介、WTB尾崎晟也の新人も含め日本人選手が並ぶが、イングランド遠征で初キャップを獲得した梶村は自らのキックチャージからトライを奪うなどクボタ戦でも圧倒的な存在感を見せてその成長ぶりをアピール。
約70日ぶりにトップリーグ復帰を果たしたFB松島幸太郎に関しても「(クボタ戦は)感覚を取り戻すことができた、いい機会だった。彼のパフォーマンスはまだまだ伸びてくる」と、沢木監督は2回戦ではさらに状態は良くなっていることに太鼓判を押す。

対するヤマハ発動機は1回戦では「第一にスクラム。第二にセットプレーとディフェンス」(清宮克幸監督)という“ヤマハスタイル”で、NTTコミュニケーションズシャイニングアークスに先制を許しながらも次第に自分たちのペースに持ち込む落ち着いた試合運びを見せて、最終的には33—21で貫禄勝ち。

もちろんサントリーに対しても自分たちのスタイルを貫き通して、昨シーズン同じ4強対決でサントリーに7—49で完膚なきまでに叩きのめされたリベンジを果たしたいところだろう。

サントリーとは対照的に、CTBヴァイリアミ・タヒトゥア、ゲリー・ラブスカフニとシオネ・トゥイプロトゥの両WTBと、BKにも3人の外国人トライゲッターを並べるヤマハ発動機だが、新・司令塔SO清原祥がベテランSH矢富勇毅とともに、どう彼らのインパクトあるプレーを引き出すかもポイントになる。

流 – ギタウ対矢富 – 清原。ハーフ団対決はもちろん注目だが、その優劣を左右するのもFW戦であることも確かだ。

サントリーCTB梶村、FL西川、神戸製鋼SOカーター。キープレーヤーが活躍して決勝で再戦の可能性は? photo by Kenji Demura

サントリーCTB梶村、FL西川、神戸製鋼SOカーター。キープレーヤーが活躍して決勝で再戦の可能性は?
photo by Kenji Demura

神戸製鋼“不動の15番”山中の不在どう響く?
トヨタ自動車は姫野、茂野が再び揃って先発

サントリー−ヤマハ発動機戦よりも2時間早く、大阪・東大阪市花園ラグビー場でキックオフされる神戸製鋼コベルコスティーラーズ対トヨタ自動車ヴェルブリッツ戦はリーグ戦で“勝ちきれなかった”試合に決着をつける一戦となる(8日14:00)。

リーグ戦第4節(9月22日)の直接対決では両者譲らずに26—26で引き分け。
ロスタイムに同点トライを決められて引き分けに持ち込まれた神戸製鋼が「負けに等しい悔しさを味わった」(NO8橋本大輝ゲームキャプテン)のも確かだし、トヨタ自動車としても「60〜70%は相手陣でプレー」(ジェイク・ホワイト監督)してPGで点数を重ねて自分たちのペースで試合を進めた時間帯が長かったこともあり、両者共に「勝ちゲームだった」感触が残っているかもしれない。

東京で“セミファイナル”を戦う2チームとは対照的に、神戸製鋼もトヨタ自動車も、先発メンバーはFWもBKもそれぞれ半数以上が海外出身の選手で占められている。
ダン・カーター(神戸製鋼SO)、ライオネル・クロニエ(トヨタ自動車SO)の両司令塔を筆頭にキープレーヤーの多くが外国人選手であり、共にラグビーワールドカップを制した指導者(神戸製鋼=ウェイン・スミス総監督、トヨタ自動車=ジェイク・ホワイト監督)がコーチングしているチーム。
まさに、“世界規格のトップリーグ”を確認できる決戦となる。

1回戦では、地元でリコーブラックラムズから8トライを奪いダブルスコア以上の点差(63—27)で快勝した神戸製鋼に対して、トヨタ自動車はアウェーゲームでトライ数では下回りながらもパナソニックに競り勝った(27—31)。

そんなふうに、対照的な戦いぶりがどちらにどうプラスになるのか。

チーム内トライ王の新人WTB岡田。外国人中心のトヨタ自動車BK陣でSH茂野と共に先発で国産の良さをアピールして日本一を目指す photo by Kenji Demura

チーム内トライ王の新人WTB岡田。外国人中心のトヨタ自動車BK陣でSH茂野と共に先発で国産の良さをアピールして日本一を目指す
photo by Kenji Demura

日本代表組では、イングランド遠征2試合で先発したNO8姫野和樹とロシア戦で先発したSH茂野海人というトヨタ自動車の2人は1回戦に続いて揃って先発メンバー入り。
一方、神戸製鋼ではPR山下裕史(ロシア戦で途中出場)は1回戦に続いて先発するが、FB山中亮平(イングランド遠征では出場なし)はメンバー外となった。

特に、山中は今季、カップ戦を除く全試合で不動の15番として神戸製鋼の快進撃を最後方から支えてきただけに、その不在が両者に何らかの影響を与えるかもしれない。

大注目の“セミファイナル”2試合も含めたリーグ総合順位決定トーナメント2回戦は、以下のようなスケジュールで行われる予定となっている。

12月8日
<東京・秩父宮ラグビー場>
クボタスピアーズ – NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(13:30 5〜8位)
サントリーサンゴリアス – ヤマハ発動機ジュビロ(16:00 1〜4位)

<福岡・ミクニワールドスタジアム北九州>
コカ・コーラレッドスパークス – 日野レッドドルフィンズ(11:30 13〜16位)
NECグリーンロケッツ – 東芝ブレイブルーパス(14:00 9〜12位)

<大阪・東大阪市花園ラグビー場>
リコーブラックラムズ – パナソニック ワイルドナイツ(11:45 5〜8位)
神戸製鋼コベルコスティーラーズ – トヨタ自動車ヴェルブリッツ(14:00 1〜4位)

12月9日
<東京・秩父宮ラグビー場>
豊田自動織機シャトルズ – 宗像サニックスブルース(11:30 13〜16位)
キヤノンイーグルス – Honda HEAT(14:00 9〜12位)

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