トップリーグ 2018-2019 総合順位決定トーナメント5位決定戦レポート(パナソニック 41-43 NTTコ厶)

ジャパンラグビー トップリーグ 2018-2019 総合順位決定トーナメント3回戦/5位決定戦
2018年12月15日(土)14:00キックオフ/神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場
パナソニック ワイルドナイツ 41-43 NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

豊富なタレントを擁するパナソニックにこれまで僅差のゲームをしてきたNTTコムが挑む一戦となった。最初にスコアしたのは5分のパナソニック、スクラムでの相手反則から12番松田がPGを決めて3-0。14分にはゴール前に迫ったパナソニック9番小山が判断良くラックサイドを突きトライ。12番松田のゴール成功で10-0とした。

一方NTTコムはテンポよく攻撃を続け、やっと26分に8番マフィから11番石井が突破した後、ラックからつないで10番小倉がトライ、12番ラウララのゴールも決まり10-7、31分には12番ラウララのPGも決まり10-10。
その後、パナソニックのキックを9番湯本がチャージし、自らボールを拾って80m独走してトライ。12番のラウララのゴールも決まり10-17と逆転し終了間際にもゴール前の連続攻撃から11番石井が左隅にトライ。12番ラウララのゴールは成らず10-22とNTTコムがリードして前半終了。NTTコムはスクラムを有利に戦い、ターンオーバーから少ないチャンスを確実にスコアにつなげた。

後半最初のスコアはNTTコム。6番鶴谷が開始5分でトライ、8分にはタックルから瞬時にボールを奪った13番ゲイツが独走してトライを奪い、12番ラウララのゴールも成功して10-36と引き離した。中盤からSH田中を投入したパナソニックがペースを取り戻して反撃を開始した。

15分NTTコムのゴール前ラックから4番ワイクス、17分には途中出場の19番ガンターがトライし、12番松田のゴールキックは2本不成功だが、20-36と追い上げた。
さらに24分にはラインアウトからモールで7番トッドがトライして12番松田のゴールキックが決まり27-36。30分には22番戸室の突破から最後はまたも7番トッドがトライ。12番松田のゴールキックも成功して34-36。32分には、20番福井が抜けて8番コーネルセンがゴールに飛び込み12番松田のゴールも成功してついに41-36と逆転した。

ところがチャンスを見逃さないNTTコムは、37分ゴール前で得たペナルティでスクラムを選択。右に展開してラックサイドを突いたマフィが相手をひきつけて、フォローした23番石井が中央にトライを奪い10番小倉のゴールも決まって41-43と再逆転。
終了間際の42分にNTTコム側10メーター付近で得たペナルティで、パナソニック12番松田が逆転のPGを狙ったが惜しくも外れノーサイド。NTTコムが6シーズンぶりにパナソニックに勝利した。見ごたえのあるゲームに観衆からも大きな拍手が起きた。

前半のNTTコムと後半のパナソニックであったが、最後まで集中したNTTコムのディフェンスが光った。一方負けたパナソニック、ゴールの失敗が響いたか。
記者会見では「システムがしっかり機能したことが大きい」と勝因を語ったNTTコムの金主将。負けたパナソニック、最後のシーンについての質問に「80分間の結果であり、ひとつひとつ取り上げることではない。ゲームを振り返れば簡単にターンオーバーされた。後半は良かったが・・・」と語ったディーンズ監督、すでに来季を見据えていた。
NTTコムの5位が確定したゲームだった。

パナソニック ワイルドナイツ

パナソニック ワイルドナイツのディーンズ監督(左)、布巻キャプテン

パナソニック ワイルドナイツのディーンズ監督(左)、布巻キャプテン

ロビー・ディーンズ監督

「前半眠ってしまった時間がある中で、簡単に相手にボールを渡しターンオーバーからトライを取られるということが繰り返された。終盤ではスイッチを入れ替えて良いラグビーが見せられたと思います。後半の巻き返しではベテランと若手が融合して良い試合を見せてくれたと思います。特に後半出たフロントローやバックスもいつもと違うポジションでのプレーした選手も頑張ってくれたと思います」

布巻峻介主将

「トヨタ戦の敗戦からモチベーションを上げる事が難しい状況から皆頑張ってくれたと思います。しかし、今シーズンは負け続けて終わってしまったので、その結果にしっかりと目を向けて次のカップ戦に臨みたいと思います。今日は秩父宮で決勝もあるのにたくさんの方が応援に来てくれて感謝しています。良い結果を出せずに申し訳なく思います」

──最後にトライよりPGを狙ったことについて。

ディーンズ監督

「正直、ゴールを狙うことは時間から見て難しい判断ではなかったと思います。モールからのトライを狙うリスクよりキックを選んだのは間違いなかったと思います。ベンチからの指示ではなく自分たちの力で勝ちきることを選んだと思います」

──後半に田中選手を入れたタイミングについて。

ディーンズ監督

「後半から経験のある選手を入れるのは、相手の疲れもある場面では効果的なことで、日本代表の試合でも使われている戦法だと思います」

──カップ戦への意気込みは?

ディーンズ監督

「代表選手がいないチームでカップ戦を勝ちきったのは素晴らしい結果だと思います。現時点で多くの選手を出す事が予測されますが、残った選手でしっかりとやってくれると確信しています」

──来季への抱負を。

布巻主将

「このような結果になったということは、変わる必要があると思います。いままで培ってきた部分含め新たな力を加えながらチャレンジし、覚悟を持って臨みたいと思います」

ディーンズ監督

「2019年は(ラグビーワールドカップで)日本代表が準々決勝に残ることが目標になると思いますが、その後のトップリーグの活動にも繋がるので、来季も継続して日本代表をしっかりとサポートしていくことに変わりはないし、2020年のTLも見据えてしっかりと戦い抜きたいと思います」

NTTコミュニケーションズシャイニングアークス

NTTコミュニケーションズシャイニングアークスのペニー ヘッドコーチ(左)、金キャプテン

NTTコミュニケーションズシャイニングアークスのペニー ヘッドコーチ(左)、金キャプテン

ロブ・ペニー ヘッドコーチ

「伝統あるパナソニックに良いパフォーマンスをすることが今日のチャレンジだった。今日の結果は、チームとして成長できてきたからこそ得た勝利だったと思います。主将を中心に落ち着いてプレーできたことや後半のプレッシャーの中で、セットピースから得点できたのが勝利につながったと思います」

金正奎主将

「勝てたことが嬉しい。80分通してベストを尽くす事ができたと思います。良いところも悪いところもあったが、この1年間でずっと良いプロセスを踏んで来たこともあって、決定戦で完璧ではないが今回の勝利には胸を張りたいと思います」

──ここ数年でチームとして成長した部分は?

ペニー ヘッドコーチ

「第一にフィジカル面での成長が大きい。S&Cスタッフの貢献が大きいものがある。強いチーム相手にもフィジカルバトルでも負けない力がついたことはすごく大きく感じている。2つ目は、メンタル面でのタフさが育ち、難しい状況などでの乗り越える壁を集中力や我慢強さで乗り越え、ファイトし続けられるようになった事、特に若手がそのように成長してくれていることに大変満足している」

金主将

「リーダーの成長、一人ひとりがリーダーとして自覚を持ってプレーしてきたことが良かったと思います」

──後半に連続トライをされていた時は、チームにどういった言葉をかけましたか?

金主将

「基本、何を喋っても届いてないかと思いますが、ああいう状況になると受けに回ってしまいますので、落ちついてやることや明確にシンプルにシステムを守ろう、フィジカルで前に出ようといった声をかけます」

──布巻選手など日本代表や各国代表が多いメンバーでしたが印象は?

「特に意識しなかったですが、もちろん負けたら悔しいですし、フォーカスは常に自分のやるべきプレーに専念することなので、そういった意味であまり相手を意識してはいなかった」

──パナソニック戦への戦略は?

「タレント揃いなのでチームとして連係して強い相手にディフェンスし、システムとしてアタックしてトライを取りに行くことを意識してプレーしました」

──今日の勝利をひと言で表すと?

「システムの勝利だと思います」

(神奈川県協会/長井・勝又)

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