トップリーグ 2018-2019 入替戦レポート(日野 21-11 近鉄)

ジャパンラグビー トップリーグ 2018-2019 入替戦
2018年12月23日(日)13:00キックオフ/埼玉・熊谷スポーツ文化公園(県営熊谷ラグビー場)
日野レッドドルフィンズ 21-11 近鉄ライナーズ

近鉄ライナーズ

近鉄ライナーズの有水ヘッドコーチ(右)、ファインガ ゲームキャプテン

近鉄ライナーズの有水ヘッドコーチ(右)、ファインガ ゲームキャプテン

有水 剛志ヘッドコーチ

「1年間このゲームをターゲットとしてやってきたので、結果の方は残念の一言です。選手は1年間ハードワークしてきたが、結果を出すことができなかった」

──精度の部分でのミスで、チャンスを逸した原因は?

「ビッグゲームというプレッシャーの中で、地に足の着いたプレーを80分間通してできなかった。そこを出せるようにするのが私の役目でしたが、ターゲットしたゲームまでに仕上げられなかったということだと思います」

──早いテンポで継続していいチャンスもあったと思うが。

「ゲーム前、ハーフタイムを通じてこの一年間やろうとしたこと、『クイックリサイクル』のアタックを80分間通してやろうとしました。ただ、プレーの精度を保ち続けることができなかった。そこが相手を上回れなかった結果になったと思います」

──セットプレーの差が点数に響いたと思うが、相手のセットプレーについて事前にどの程度想定していたのか?

「日野さんがセットピース、特にFW周辺からのプレーに拘ってくることへの分析や対策は立ててきたんですが、精度の高いディフェンスや、その場の判断とコミュニケーション、そこのコネクションが切れたところが前半2つのトライに繋がったと思います。全く想定外のことをされた訳ではありません」

──前回のドコモ戦後、次戦に向けてもう一回りボトムアップさせることを課題としていたが?

「新たなことはやらず、これまで1年間やってきた、アタック・ディフェンス・ブレイクダウンの所をもう一回り大きくしようと2週間準備してきました。自分達のスタイルが出せた部分もあったが、相手がいるプレッシャーの中で出し切れてなかった部分もあった。もう一回り大きくさせるということをさせられなかった」

アンソニー・ファインガ ゲームキャプテン

「今日は難しいゲームだったと思います。フィジカルを使いながらディシプリンを守れなかったことが残念だった。4月から準備してきたことを100%出そうとしたが、選手として出せなかったことが残念だったと思います。自分自身の責任は、選手として良い試合することだったが、それができなかったことにファンの皆さん、家族やサポート頂いた全員をガッカリさせてしまいました」

──早いテンポで継続していいチャンスもあったと思うが。

「チームとしてアップテンポの試合をしようとしましたが、テンポをゆっくりさせるという相手の戦略によってラックとブレイクダウンを支配されてしまった。もっと早いテンポで試合をしたかったが、それができなかったことが残念です」

日野レッドドルフィンズ

日野レッドドルフィンズの細谷監督(左)、村田キャプテン

日野レッドドルフィンズの細谷監督(左)、村田キャプテン

細谷直監督

「2年連続入替戦、今回は立場の違う入替戦となりましたが、トップリーグでの経験が長い近鉄さん相手でもあり、トップリーグの座を守るというのでなく、もう1回トップリーグに昇格しようという去年のような気持ちで臨んでいこうと、一週間の中で気持ちを切り替え、選手が頑張ってくれて今日のようなディフェンシブな試合をしのぎ切れたこと。来年またトップリーグで活躍する場を掴んでくれたことに感謝します」

──(トライを取った)サインプレーのラインアウトについて。

「あのラインアウトを準備したのは箕内ですね。もう一つラインアウトの裏の所の一つで竹澤がトライを挙げたのは箕内の指示です」

──近鉄のテンポの良いカウンターアタックに対しての試合運びは?

「チームの一つの課題として、トランジションのところのディフェンスのリアクション、キックを蹴った時に選手が固まって幅がなく、外に振られたときに弱いという所をウィークポイントとして取り組み、ここ数試合で上がってきてました。
相手BKに外国人のいいランナーがいたので、そこを軸に攻めてくるのは分かっていたので、ディフェンスの幅を取って相手がボールを回した時に必ず一度ブレイクダウンを作ること。落ち着かせたら自分達のディフェンスができるので、トランジションの所のリアクションのスピードをたくさん練習しました」

──昇格一年目を振り返って。

「1シーズンを通して、セットプレー、特にスクラムについては対等以上に戦えたと思います。ラインアウトも前半節は悪かったが後半節は武器にもなってきたし、セットプレーは今年はトップリーグでも充分に戦えたかなと思います。ただ、モールとかは1シーズンを通して取られたけど取れなかった。スクラムが強い、そこからペナルティを貰う、そこからゴール前に行く、でも仕留めきれない。そこの強さを倍増するための後者のところはこれからまだやっていかないといけないと思います。ブレイクダウンの接点については、さほどトップリーグの洗礼をうけたとは全く思ってなく、むしろそこは身体を張れてるなという感じはありました。もう一つは規律を守らない。苦しい時に勝手なプレーをして敗戦に繋がってしまう。重要で決定的なペナルティから崩れた試合は多々あったので、そこは今日の様に我慢し続ければ良い結果が得られるということも忘れないで来年やってもらいたいと思ってます」

──この一年、チームにとってはどんな経験があったか?

「来年もトップリーグでプレーする権利を掴んだということは素晴らしいことだと思います。下に落ちていたら、この経験というものが薄れてしまうから、ここまで来た以上は残ることがものすごく重要だと思います。ランキングを一つでも上げた方が良かったのかもしれませんが、結果的には近鉄さんと戦えて良かったと思います。トップリーグの経験のない栗田さんと戦うより、近鉄さんと戦って勝った経験値は来季に繋がると思います。苦しいシーズンを乗り切ったことは素晴らしい1年にしたいと思います。1年後トップリーグ開幕まで、どこまで成長できるかというところの時間が与えられたことは良かったと思います」

──我慢強さを磨くため、どのようなことに着手したのか?

「一人がやれることは然程大きくないと思います。究極の場面になった時、どれだけ味方を信じられるか。そういう中で局面のプレーをどれだけ激しく出せるかだと思います。キャプテンは日頃の練習というところを口にしましたけど、きつい時にどれだけ自分を律してやれるかという日々が続けば絶対強くなるし、今日のような試合を忘れないことだと思います。自分達ができる範囲は全ては無理だということを想いながら周りの人間を信じてやることが良い結果が出るということを今日感じたことが、正解を掴んだということなので、これからの試合に活かして欲しい。経験したことを絶対プラスにしていかないと勿体ないですから、今日は我々の歴史を作っていくにあたって大きな意味のある試合だったと思います。キャプテンが怖いと言ってたことはみんな思ってたと思います。その怖さというものを選手が乗り切れたことは良かったと思います。サニックス戦の壁を乗り越えたことは貴重な財産になると思います」

村田毅キャプテン

「グランドに入った瞬間、左側が真っ赤に染まってて、沢山の人が応援に来てくれたことを有難いと思いました。僕らはまだ追われる立場ではないということを自覚して、今回チャレンジャーのつもりで臨みました。近鉄さんがやってくることに対して100%準備して、ここで勝とうと言った部分を最後まで我慢してやり切れたことが勝因だと思います。12月に入って出場できなかったメンバー37人が良い練習をしてくれたお陰で、チームとしては自分達の形が見えてくる12月でした。この位置(入替戦)に毎年居たくはないので、12月にこれだけできるチームなら、もっと春からできるチームだと思うので、今日はしっかり喜んで、来年度トップリーグが始まる時には今年よりももっと良い準備をして、違う景色を見れるように頑張っていきたいと思います」

──先週サニックスに敗戦後、どのように気持ちを切り替えて準備した?

「敗戦後の翌日からの2日間のオフは、ショックを噛みしめ受け止めてました。その後練習に参加した選手たちの表情が良くて、良い準備ができてると思いました。近鉄さんの強みを分析していった時、ディフェンスのラッシュアップとかフィジカルで勝負に来るというところがあったので、まずコンタクトプレーで自分達から仕掛けていくところ、セットプレーでプレッシャーを掛けるということ、我慢し続けるという3つをフォーカスして取り組みました。最後10分であの点差は、過去2試合(コーラ戦・サニックス戦)を経験していなかったら余裕をもってたかもしれないですが、その10分で地獄を見たんで、それがあったから今日の試合に勝てたんだと思います」

──残り10分で「皆んなの顔を見ろ」と大声を掛けた理由は?

「沢山のノンメンバーが見てる中で、出るメンバーが恥ずかしいプレーをできない。出てるメンバーがしんどい時に、ノンメンバーの顔を見たら自分のやることはわかるよね?という気持ちを込めました」

──(トライを取った)サインプレーのラインアウトについて。

「あそでモールを組むという形は過去の試合で何度もやってて、近鉄さんがそこのエリアで競ってくるというのも分析していましたし、そこでモールを組んでいるという過去の映像もあったので、あそこでジャンプにプレッシャーを仕掛けてくるという分析もありました。その前のラインアウトもプレッシャーが掛かっていたので、準備していた2つのサインプレーは確実に取れるサインなので、一度落ち着かせようとしたのが、たまたまスコアまでいったということです。想定通り見事に決まったということです」

──昇格一年目を振り返って。

「セットプレーについては自信を持てた。やはり我慢というところで、ハイレベルなゲームをチームとして慣れてるのか慣れてないのか?というと、まだ慣れてないと思います。経験豊富な選手も沢山いるけれども、そこのベクトルが一つになってないと、チームとしては上手く回らないと思います。自分達の強みと弱みが表裏一体となって感じるので、僕らの強みをもっと強くするために、まとめ上げていくことが必要だと思いました。トップリーグのキャップを取れた選手、取れなかった選手もたくさんいるが、誰も満足いく結果だと思ってないはずなので、来年は今年の努力をもっと超え、上を目指すためにはもっと意識を変えないといけないと思います」

──我慢強さを磨くため、どのようなことに着手したのか?

「日頃の練習でどれだけの緊張感を持てるのか。今日の試合のプレッシャーを練習でどれだけ与えられるのか?そういう状況をもっと僕が言っていくことで作れたのであれば、日ごろの練習の質も上がり、練習の厳しさも出て、それが試合に出るというところはあると思います。僕らはまだまだ弱いんだ、満足するなというところをもっと厳しく言っていきたいと思います」

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