トップリーグカップ2019 決勝トーナメント 準決勝レポート(クボタ 31-24 東芝)

ジャパンラグビー トップリーグカップ2019 決勝トーナメント 準決勝
2019年8月4日(日)17:00キックオフ/神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場
クボタスピアーズ 31-24 東芝ブレイブルーパス

2019年8月4日(日)トップリーグカップ2019決勝トーナメント準決勝戦、梅雨明けの熱気に包まれ、突き抜ける青空と真夏の熱気を越える暑さの中、令和となって初めてのトップリーグ開催となったニッパツ三ツ沢球技場で観客も両チームの応援団が熱気をみせるなか、まだ暑さの残る17時に東芝のキックオフで試合開始。

東芝は前半からチームの勢いを感じるプレーを見せる。前半6分には東芝11番のコンラッドバンワイクが鋭いステップワークでトライ。自ら狙ったがGKは不成功となり0-5とする。さらに東芝は、8分に14番ジョネナイカブラが見事なランで抜け出してトライ。11番コンラッドバンワイクのGKも決まり早々と12点差とする。その後も、東芝のアタックが続き東芝優勢かと思われたが、19分にクボタの11番・白井竜馬が左サイドから相手をかわして左中間にトライし、10番ファレヌイ・ハウェラのGKも成功し7対12とする。

さらに21分にはクボタ15番・桑江健一郎がトライし10番ファレヌイ・ハウェラのGKも成功してついに14対12と逆転する。両チーム暑さに負けずに意地のぶつかり合いとなったが、流れは徐々にクボタペースに。
27分にはクボタ14番ゲラード・ファンデンヒーファーがトライし、10番ファレヌイ・ハウェラのGKも成功し21対12と差を広げた。しかし、東芝も31分には14番ジョネナイカブラがトライし、11番コンラッドバンワイクのGKも成功し21対19とする。しかし、クボタは36分にゴール前のラインアウトから攻め込んで7番・末永健雄が右中間にトライし10番ファレヌイ・ハウェラのGKも成功し28対19として前半終了。

後半はクボタのキックオフで始まった。両チームとも激しい前半の点の取り合いから一転、ロングゲインを許さない粘り強いディフェンスを見せる。なんとかしてこの均衡を破りたい両チーム。チャンスが巡ってきたのはクボタだった。後半13分・東芝の反則から得たPGを狙うのはクボタ10番ファレヌイ・ハウェラ。しかしPGは失敗に終わる。しかし再度クボタはPGのチャンスを得る。後半15分、今度は冷静に10番ファレヌイ・ハウェラが決めて31対19の12点差とする。まだまだ逆転の可能性のある東芝は、後半17分ラインアウトからチャンスをつかむ。スローワーである2番・森太志が、ラインアウトからこぼれたボールをキャッチして抜け出しトライ。31対24と追い上げる。

しかし10番・中尾隼太のGKは失敗し、31対24とする。7点差はワンチャンス。引き分けに持ち込めば延長戦サドンデスへ突入する可能性もある。まず後半36分・東芝ベンチが動く。長年にわたり日本代表で活躍した大野均を投入し勝利への執念を見せる。追う東芝、守るクボタ…試合時間も残りわずかになったとき、クボタは後半43分に6番・トゥパフィナウ、44分に18番・古賀太貴の2人がシンビン処分を受ける。クボタは自陣ゴール前、6人でスクラムを組む状況に追い込まれた。東芝がスクラムをじりじりと押す。必死に耐えるクボタ。

スタンドの観客も声を出して両チームを応援する。スクラムが止まった、その瞬間にゴール前に飛び込む東芝選手。プレーが止まったその瞬間、レフリーのホイッスルが鳴り響く、ノーサイド。勝利の女神はクボタスピアーズにほほ笑んだ。

東芝ブレイブルーパス

東芝ブレイブルーパスの瀬川監督(左)、小川主将

東芝ブレイブルーパスの瀬川監督(左)、小川主将

瀬川智広監督

「悔しい結果ではありますが、選手たちの成長を感じました。クボタさんとは昨年のリーグ戦でも接戦で敗れているので勝ちきれないことが大きな課題だと感じている」

──最後の場面、相手が13人になった時の攻め方について。

「あの状況で選手たちはFWにこだわるという選択をした。それについては選手たちの選択は間違っていなかったと思います」

──キャプテンから自信は取り戻せたのではないかという話があったが、監督としてはどのように感じているか?

「私も自信は少し取り戻せたと思う。これはスタッフを含め皆が積み上げてきたものです。しかし、まだ勝ちきれていないのも事実。これから1月に向けては代表組も帰ってくることですし、新たにチームを作り上げていく必要があると考えている」

小川高廣主将

「今日は予想通りブレイクダウンが激しい試合となりました。そこで最後の最後に取り切れなかったことは大変悔しいです。今回のカップ戦に関しては東芝の一人一人が自信を取り戻すことを目標にしていて、優勝したかった。残念ながら負けてしまったが、皆は自信を持ってくれたのではないかと思うので、次の1月に向けてがんばりたい」

──前半の逆転された流れの中では一発で抜かれる場面が多々あったと思います。それについての対応などで原因などは?

「皆の反応が遅れたりした状況であったが、理由について今はまだ理解できていない」

クボタスピアーズ

クボタスピアーズのルディケ ヘッドコーチ(左)、青木主将

クボタスピアーズのルディケ ヘッドコーチ(左)、青木主将

フラン・ルディケ ヘッドコーチ

「まず東芝さんに感謝申し上げます。本当にいい試合ができたと思います。
東芝さんが良いスタートを切った試合だったが、我々もそれに答えなければならなかった。
リーダーのおかげで落ち着いてプラン通りにできた。この一週間の準備したことを出せた。
これこそファイナルのラグビーだと思います。両チームとも最後まであきらめず良いラグビーができたと思います。この勢いを来週につなげていきたいと思います。ありがとうございました」

──東芝に勝つためにこの一週間どんなところにフォーカスを当てたのか?

「東芝さんの強みは理解していました。FWに強みがあり、セットプレーでプレッシャーをかけてくることもわかっていました。それに対して我々も受けずにこちらから仕掛けないといけないと思っていて、それができました。東芝さんにはアウトサイドバックスに足の速い選手もたくさんいますし、前半のトライもそこで行かれて取られてしまったが、キャプテンの言った通り修正できたことが良かった。そこは私たちも同様に自信を持っていて、ゲインを切ってくれる選手もいるので、そこでトライを取ることもできて、良かったと思う」

──最後の場面で決勝に行くんだという執念を感じた。あそこでトライをさせなかった要因をどのように思っていますか?

「運もあったと思います。努力も必要だが、このようなタイトな試合では運に影響されることもあります。どちらが勝ってもおかしくない状況になって、ペナルティートライになったかもしれない。しかし、これは自分たちのカルチャーを作るためには必要な状況だったと思い、感謝をしています」

青木祐樹ゲームキャプテン

「今日の勝利は出場した23人だけでなくチーム一丸となって一週間準備できたことで成し遂げた勝利だと思います。最初に東芝さんにすごくプレッシャーを受けたが、崩されて取られたわけではなく、自分たちのミスで取られただけなので、そこを修正して前半しっかり持ち直すことができた。後半もタイトな時間があったが、最初からタフなゲームになるのは全員わかっていたので、気持ちの面で負けないようにしようとしていました。最後に規律の面で良くないところがありましたが、勝ち切れてよかったと思います」

──最後の場面で決勝に行くんだという執念を感じた。あそこでトライをさせなかった要因をどのように思っていますか?

「最後のスクラムの場面では数的に劣勢だったが、練習の中で8対10のスクラムを組むような練習もしてきた。クボタのメンタルを上げるキーワードがあるので、その言葉を皆でかけあって耐えました」

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