太田チェアマンに訊く新シーズンの開催概要&見どころ(後編)

W杯を制したスプリングボクスメンバーのうち7人がトップリーグでプレー photo by Kenji Demura

W杯を制したスプリングボクスメンバーのうち7人がトップリーグでプレー
photo by Kenji Demura

いよいよキックオフ直前!
空前のラグビーブームの中、開幕するトップリーグ2020
太田治チェアマンに訊く新シーズンの開催概要&見どころ(後編)

太田治チェアマンに1月12日に開幕するトップリーグ2020の概要や見どころに関して訊くキックオフ直前インタビュー後編。世界中からスーパースターがトップリーグに集まる状況などについて語ってもらった。

聞き手&構成 出村謙知

世界一の南ア代表から7人、NZ代表も5人のW杯選手がプレー

——ワールドカップで新たにラグビーファンになった方々には、どのようにトップリーグを楽しんでもらいたいですか?

太田「まずは、ワールドカップで好きになった代表選手に注目してもらうのがいいかもしれません。各所属チームでどうフィットして、ワールドカップを経験して得たものをどう体現していくか。代表選手たちを窓口にしながら、彼らのいるチームが好きになり、代表以外の選手にも関心を持ってもらったり、あるいは対戦相手など他のチームにも注目してもらう。そんな広がりを期待したいです。だからこそ、代表選手には発言力という部分でも、ロールモデルとしての役割を期待したいですね。ラグビーファンみんなの憧れの存在として、もちろんプレーもそうだし、行動や発言でも模範となってもらいたい。
現時点でのチケットの売れ行きも、日本代表のメンバーがいるチームの試合がよく売れている傾向があります」

——その一方で、日本代表以外の各国の代表選手たちのプレーが見られるのもトップリーグの魅力でもある。

太田「例えば、ワールドカップで世界一となった南アフリカ代表選手7人がトップリーグチームに所属している。オールブラックスも5人。しかも、超一流どころばかりです。キアラン・リード、ブロディー・レタリック、サム・ホワイトロック、マット・トッド、ライアン・クロッティ。オーストラリア代表もデービッド・ポーコック、バーナード・フォーリー、サム・ケレビ、クリスチャン・リアリーファノ。サモア主将のジャック・ラムも新たに加わった」

——昨季、トップリーグを制した神戸製鋼のダン・カーターとアンドリュー・エリスのハーフ団に代表されるように、今回のワールドカップに出なかったレジェンドたちもいます。

太田「各チームの協力もあって、世界のスーパースターのプレーが見られるようになっていますし、選手だけではなく、例えば、新たにスティーブ・ハンセン(RWC2019時のニュージーランド代表監督)がトヨタ自動車のディレクター・オブ・ラグビーになるなど、指導者も世界のトップが顔を揃えてもいる。ラグビーの質という意味でもフランスのトップ14やイングランドのプレミアシップ、あるいはスーパーラグビーのレベルに近づいているのではないかと自負しています」

オールブラックスの主将を務めたNO8リード(トヨタ自動車)もトップリーグでプレー photo by Kenji Demura

オールブラックスの主将を務めたNO8リード(トヨタ自動車)もトップリーグでプレー
photo by Kenji Demura

オリンピックイヤーならではの特殊事情も

——スーパーラグビーといえば、今季のトップリーグはサンウルブズの試合とスケジュールが被ってしまうことになります。

太田「ワールドカップがあったので仕方ないことですし、前からわかっていたことでもある。ですので、トップリーグとしては、サンウルブズと契約した選手が元々のチームに戻ってプレーすることに関しては問題なしとすることにしました。トップリーグのチームがサンウルブズに派遣した選手が怪我などで戻ってきて、コンディションが整ったのでトップリーグでプレーするケースがあるかもしれません。スーパーラグビーはレベルが高いリーグなので、そこでプレーできるのは日本ラグビーにとってはプラスですし、小さいパイを奪い合うのではなく、協力しあうことが重要になる」

——それから、現在の大学4年生で新たにトップリーグチームに加わる選手に関しては、どのような扱いになるのでしょうか。

太田「企業チームということもあり、原則、試合に出られるのは4月以降ということになります」

——昨年はワールドカップイヤーでしたが、今年はオリンピックイヤーです。

太田「トップリーグへの影響という意味で言うと、セブンズのオリンピックスコッドに1〜3人の選手が選ばれているチームは特別枠がプラス1となります。
ということで、今季は特別枠、アジア枠も含めると、オリンピックスコッドのいないチームがオン・ザ・ピッチレベルで6人、オリンピックスコッドのいるチームは同7人まで、外国籍の選手がプレーできることになります。帰化選手がいるケースもありますので、中には10人くらい海外出身の選手が同時にプレーするチームが出てくる可能性もあります」

——東京オリンピックの開催は7〜8月の開催となります。少し気が早いかもしれませんが、来シーズン(2020—2021シーズン)のトップリーグの開催時期も影響を受けることになりそうですか?

太田「まだ検討中ですが、影響は避けられないでしょう。オリンピックが終わってから、遅れて開幕ということになると思います。11月のウィンドウマンス(代表の活動を優先する期間)は決まっているので、秋の代表の活動が終わってからということになるかもしれません」

——今季は自動降格や入替戦は行わない予定ですね。

太田「ご承知のとおり、来シーズン以降に関しては、現在のトップリーグおよびトップチャレンジリーグ参加チームの意向を確認しつつ、新たなスタイルの開催方式を模索中であり、そのため、今季終了時点での自動降格や入替戦は行われないということになります」

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