トップリーグ2020 第3節レポート(三菱重工相模原 10-62 パナソニック)
2020ジャパントップリーグ第3節
2020年1月25日(土)13:00キックオフ/神奈川・相模原ギオンスタジアム
三菱重工相模原ダイナボアーズ 10-62 パナソニック ワイルドナイツ
神奈川で唯一のトップリーグチーム 三菱重工相模原ダイナボアーズと日本代表選手が多く名を連ねるパナソニック ワイルドナイツの対戦に、開門前から長蛇の列が並び、昨シーズンと全く違う光景にラグビー関係者は興奮を隠せない。
この日は、黒岩知事が来場して、神奈川県唯一のトップリーグチームである、三菱重工相模原ダイナボアーズと神奈川県との連携締結式が行われ、試合前のセレモニーでは黒岩神奈川県知事と地元チームの応援として本村相模原市長もおいで頂き熱いメッセージを頂きました。スタンドはほぼ満員の約8000名の観客で埋め尽くされ、相模原ギオンスタジアムでのラグビー動員の最高を記録した。天候も見事なラグビー日和!ラグビーを楽しむ準備は整った。
●前半
時折雲の合間から光がやさしく差す中で、13時パナソニックのキックオフで試合が始まった。このキックがサイドラインを直接割ってしまい三菱重工相模原ダイナボアーズのセンタースクラムから始まった。確実な突進で敵陣に攻め込むも簡単にゴールラインを越える事をパナソニックは許さない。
ボールを奪い返したパナソニックは6分 左ラックから右に展開し中央にパナソニック7番デービッド・ポーコックがトライ。10番松田のゴール成功で0対7とする。
反撃に転じたい三菱重工相模原ダイナボアーズは敵陣に攻め込むもパナソニックワイルドナイツの厚い壁に跳ね返される。しかし15分 ゴール前中央でパナソニックワイルドナイツのペナルティ。これを10番ウィルソンが確実に決めて3対7とする。
22分パナソニックワイルドナイツ8番ジャック・コールセンが左サイドを駆け抜けて左中間へトライ3対12とする。10番松田のゴール成功で3対14とする。
三菱重工相模原ダイナボアーズの10番ジェームスウィルソンが一時退場し、リズムを掴めない中で反則を繰り返し攻め込まれる。
28分パナソニックのモールから2番堀江翔太が押し込んで右隅にトライを許し10番松田のゴールは不成功。3対19とする。
34分に右へ左へと縦横無尽に展開するパナソニックワイルドナイツ、最後は6番ベン・ガンターが左隅へ力で押し込んでトライ。10番松田のゴール成功で3対24とする。パナソニックは攻撃の手を緩めない。44分連続攻撃から11番梶が駆け抜けて左隅へトライ。10番松田ゴール不成功で3対29とリードを広げる。
●後半
後半4分パナソニック1番クレイグ・ミラーが中央に押し込んでトライ3対34。
10番松田のゴールも成功して3対36とする。(5分)
20分にパナソニックの選手が抜け出してフォローした22番山沢拓也が右中間にトライ。10番松田のゴールも成功して3対43。(21分)
後半に入ってもパナソニックの攻撃する時間は長い。25分には11番 梶が快足を飛ばして左中間へ2本目のトライ。10番松田のゴール不成功で3対48とする。
一矢を報いたい三菱重工相模原ダイナボアーズ。センターライン付近から12番マイケル・リトルが抜け出すも、危険なプレイと判定されチャンスを逃す。
一方で、31分パナソニック14番竹山が中央にトライを決め10番松田のゴールも成功して3対55。(32分)
37分待ちに待った瞬間が訪れる。三菱重工相模原の13番マット・ヴァエガがラインブレークしてゴール中央にトライ!!! 11番青木のゴールも成功して10対55。観客のボルテージが上がる。
しかし、終了のホーンが鳴った後も追撃を止めないパナソニックは、42分に相手陣ゴール前のスクラムから左へ展開して見事な飛ばしパスを受けた11番梶が駆け抜けて左隅にこの試合3本目のトライ。10番松田のゴールも成功して10対62となりノーサイド。
大観衆で埋め尽くされた相模原ギオンスタジアム。地元ファンの前でのトップリーグ初勝利は成らなかった三菱重工相模原ダイナボアーズだが、特に前半は何度もパナソニックゴール前まで攻め込み底力を見せる場面もあった。得点は開いたがチャンスを一気に得点まで持って行くパナソニックとの差を、今後の試合でダイナボアーズもできれば、チーム力の差はあまり無いであろう。第4節以降の試合に期待したい。初勝利を、相模原はもちろん神奈川県や全国のダイアボアーズファンが待ち望んでいる。
三菱重工相模原ダイナボアーズ
グレッグ・クーパー ヘッドコーチ
「まず神奈川、相模原の大勢の観客にお越し頂いたことに感謝を申し上げます。パナソニックは日本を代表するチームで我々は多くのことを学び、チームとしての成長につながると思う。パナソニックのクイックな展開をさせて勢いづかせてしまった。あのような形になると苦しくなる。どのようにして止めるかを課題として取り組んでいく」
トーマス優デーリックデニイ ゲームキャプテン
「はじめにファンの皆様、寒い中にも関わらずスタジアムにお越し頂いて感謝しています。最初から最後までパナソニックに主導権を握られた。1トライはとったものの、この試合で色々な課題ができたので、落ち込まず次戦に向けて頑張っていきたい」
──パナソニックの強さ・印象についてお聞かせください。
「一番差があったのは反応力。アタックもディフェンスも反応力が速くて我々が一歩出遅れてしまった」
──トップリーグに加入して手応えがあった点を教えてください。
「ディフェンスは通用すると前週までは手応えがあったが、本日の試合では反応が遅れて我々のディフェンスができなかった。フォワード・バックスの連携は前週までは良かったが、本日はうまくいかなかった。ただこれから課題を克服して頑張っていきたい」
パナソニック ワイルドナイツ
ロビー・ディーンズ監督
「本日の結果としてうれしく思っています。特に先週、先々週の試合と比べ6人の新しい選手を起用ました。その中でチームが一つとなって苦労して結果を出したことは収穫と言えます。特に今日みたいに若手選手が活躍してくれると深さ・幅が出てくるのでチームとして良いことだと思います」
──山沢選手と松田選手が並んだ時、松田選手がCTBの適正と判断について教えて下さい。
「私たちは複数のポジションをこなしている。色々な選択肢の中で使っていく。山沢・松田両選手は国際的な選手であると認識している。今後、日本を代表する選手となっていくだろう。ふたりが切磋琢磨してパナソニックのチームパフォーマンスが上がっていくと思います」
──稲垣選手のベンチスタートについて
「チーム全体として長いシーズンを戦い抜くためにフル出場することは難しい。このリスクをチームでシェアしていくことが大切。38歳のクリス選手はデビュー戦だったが最高のパフォーマンスをしてくれた。シーズンを通してローテーションをしながら戦っていきたいと考えています」
──福岡選手のケガの状況について。
「福岡選手の現状は特に深刻な問題ではない。自分自身でコントロールできるので全く問題がないと考えてよいです」
──開幕3連勝の要因を教えてください。
「試合に対する準備と毎週ハードワークしていることが良い結果に繋がっている」
坂手 淳史キャプテン
「1週間を通して良い準備ができて結果に繋がったことはうれしく思います。ゲームの内容としては点数を見ても満足できるものではありますが、ただミスもあり、重工さんにも勢いのあるプレイも多々あったので、そういったところをシャットダウンできるディフェンス、速いタックルを磨いていきたいと思っています。ここ2試合出場していなかった選手が活躍して、より一層チームがひとつとなったと思うし、パナソニック全員が同じ方向へ向いているし、ゲームに対しても迎えられているので、それはいい形でできていると思う。なので次の試合、また良い準備をして強いパナソニックを見せなければいかんと思っております」
──キャプテンとして心掛けていることを教えて下さい。
「強いパナソニックをつくる判断基準を考えて、みんなに動いてくれと伝えあります。なので試合に出る出ないに関係なく、ワイルド(試合出場)ナイツ(分析等)のふたつがあっての良いパフォーマンス繋がっている」
──開幕3連勝の要因を教えてください。
「全員が集まってコミュニケーションをとっている。ワールドクラスの選手も惜しみなく提供してくれているところかと思います」