トップリーグ2020 第3節レポート(キヤノン 38-12 NEC)
2020ジャパントップリーグ第3節
2020年1月26日(日)13:00キックオフ/神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場
キヤノンイーグルス 38-12 NECグリーンロケッツ
試合前、心配されていた雨もキックオフ1時間前には止んだ。時間を追うにつれ空席は瞬く間になくなっていく…この日の入場者10,617名。これはニッパツ三ツ沢球技場のラグビー観客動員の最高記録。まさに熱戦を期待するファンでスタンドは埋め尽くされた。
●前半
試合は観客のカウントダウンとともに13時NECグリーンロケッツのキックオフから始まった。NEC、キヤノン一進一退の攻防が続く中10分が経過する。その均衡を破ったのはキヤノンだった。
12分-スクラムのターンオーバーから左へ展開しグラバーキックを走りこんだ11番マイケル・ボンドがそのままキャッチ、快足を飛ばして左隅へトライ。10番田村のゴール成功。7対0とする。
キヤノンの優勢は続く、16分ラインアウトから8番コーパス・ファンダイクが抜けてフォローした1番岡部が右中間にトライ。10番田村のゴール成功。14対0とする。
反撃に転じたいNECは敵陣へ攻め込むものの自らの反則により好機を失う。逆にキヤノンは相手の反則から田村のタッチキック、ラインアウトでボールを確保、モールで押し込む、そして左へ右へと展開を続ける。最後は29分ラインアウトからモールで押し込み7番 嶋田が右中間にトライ。10番田村のゴール成功。21対0とする。
この日のNECは敵陣前まで攻め込むもブレイクダウンでの攻防でキヤノンが優位にプレーしターンオーバーを何度か与え、なかなか得点まで結びつかない。フラストレーションがたまったのかNEC6番サナイラ ワクァがレイトチャージでシンビンとなりFWが一人少ない状況でNECは戦うこととなる。
さらにNECの自陣でディフェンスする時間が続くが、7分ラインアウトからモール、攻撃で右中間に1番岡部が抜け出してトライ。10番田村のゴール成功で28対0と差を広げ前半終了。
前半は実力差以上に点差がついたという印象。果たして後半はNECの逆襲はあるか期待される。
●後半
後半はキヤノン10番田村のキックオフから始まった。
NECが後半に先取点をとれば、まだ試合は分からない。シンビンからNEC6番サナイラ ワクァが復帰し反撃体制が整った。自陣20m付近から左に展開しキヤノンゴール前まで攻め込むも、キヤノン15番エスピー・マレーがタックルからそのままボールを奪い取り約50メートルを独走して右中間へトライ。10番田村のゴール成功。35対0とする。
13分にワールドカップで活躍したキヤノン9番田中が交代。
16分、試合の流れが変わるのかもしれないと感じた時にNECはラックから左へ展開、6番サナイラ ワクァのオフロードパスからつないで、最後は12番アマナキ サヴィエティが左隅へトライ。10番ティム オマリーのゴール成功35対7と反撃の狼煙をあげる。
しかし、追い上げたいNECだったが自陣10m付近でペナルティゴールをキヤノン10番田村が決めて38対7と差を広げる。
キヤノン有利の流れの中、22分。NECが敵陣ゴール前に攻めこみ、ラックから19番廣澤が右中間に飛び込んでトライ。10番ティム オマリーのゴールは不成功で38対12。逆転に望みをつなぐ。
点差は16点…2トライ、2ゴール、1ペナルティキックで逆転できる。時間もまだ十分にある。
しかし、残りの約20分で、NECのアタックを防ぎきったキヤノンが前半の点差を守り切ってノーサイド。
NECは後半2トライを上げて追い上げたものの、前半許した28失点が最後まで尾を引いたと言える。一方、FWとBKで攻守のバランスの取れたキヤノンは次戦のパナソニック ワイルドナイツ戦がチーム力を推し量る重要な試合になると思われる。
マン・オブ・ザ・マッチは、すべてのゴールとPGを成功させたキヤノンの田村優が獲得した。
NECグリーンロケッツ
浅野良太ヘッドコーチ
「本当に多くの方が会場にお越し頂きお礼を申し上げます。また協会関係の方にも準備して頂き誠に感謝申し上げます。ゲームの最初10分の入りは良かったと思います。点は取れていなかったが規律よくディフェンスもしっかりしていた。ただ10分を越えた時に裏のスペースに蹴られ3トライ、更にシンビン、計4トライあって、規律の部分が残念だったと思う。後半に関して言うと修正ができて、ボールポジションをとると後半だけみれば12対10だった。我々がいかに遂行する力があるかどうか、我慢できるか、その中で規律を守っていることができるか、もう一度整理し、問いかけながらやっていきたいと思う」
亀井 亮衣キャプテン
「僕の方から試合を中心に話していきたいと思います。キヤノンさんは非常に左右にボールを大きく回していくアタックしてくるので警戒して取り組んできました。セット違反やペナルティで陣地を与えてしまいスコアを与えてしまった。前半だけで10以上のペナルティを与えてしまった。プレシーズンから意識の部分はフォーカスしてきて、その中で目の前のコントロールは僕自身の課題でもあり、チームの課題である。後半はテリトリー、相手の陣地の中でスコアできたことは良い収穫かと思います。やはり試合をトータルして自分たちの準備してきたことができたというのは20%くらい。開幕から3戦終了しましたが、シーズンは長く続くのでしっかり現状の課題を修正して次戦のサントリー戦に準備する」
──前半の課題をどう修正したのか? また修正できなかった点を教えて下さい。
「前半の選手の姿勢・ファイトはあったが、モールで孤立し横から入り反則を取られることが多かった。組織としてのコミュニケーションが必要で修正に時間がかかった」
キヤノンイーグルス
アリスター・クッツェー ヘッドコーチ
「本日の結果に大変満足している。更にボーナスポイントも得たことにも満足している。選手たちはハードワークをしている。特に前半40分はいいスタートを切れた。前半で試合を決定づけたことにも満足している。我々は致命的なプレイや正確にプレイできない時間帯がありNECさんに2トライを許した。キックミスなどの課題は今後取り組んでいく。セットプレイは全体的にスクラム、ラインアウト、モールは良いパフォーマンスができたと思う。今後バリエーションを加えて更に強化していきたい。選手たちのハードワークが良い結果として現れたと思っているし、それにプラスしてリーダーとなっていく5人のフィールドでのパフォーマンスが素晴らしかった。リスクのあるプレイをしないなど良い判断をしてチームをリードした」
──次のパナソニック戦に向けた課題を教えて下さい。
「本日の試合でのディフェンスの課題は、ひとつはオフロードパスをさせてしまっている事、オフロードさせないタックルが課題。もう一つはラインスピードをあげていくこと、外と内の選手の間隔を修正していく必要がある。パナソニックは良いチームであるが、まずやるべきことはチームプランに沿った強化をすることで自信とまとまりをつけていく」
──ペネトレーターとしてのファンダイク選手の評価・期待値を教えてください。
「ファンダイク選手には今日のようなプレイをしてほしい。もしかして彼自身ボールキャリアとの認識はないかもしれないが、良いボールキャリアとして証明された。今後もディフェンス、ラインアウト、ブレークダウンなどのハードワークを続けて欲しい」
嶋田直人キャプテン
「本日はありがとうございました。今日も寒い中、たくさんの方に来て頂き本当にうれしく思っております。試合結果もイーグルスがボーナスポイントも獲得できて本当に満足しております。いくつか課題も残るところもあるのでしっかり課題を改善できるようにして、またいい準備して結果を得られるようにハードワークしていきたいと思っております」
──今日感じた課題とはなんでしょうか?
「前半はチャンスをつくってスコアできたが、後半はチャンスの時にスコアできなかった。前週の三菱重工戦でも相手が一人少ない状況でもスコアできなかった。少ないチャンスでスコアできるようにする」
──今日の試合で見えたフォワードの具体的課題と修正点を教えてください。
「セットプレイは、前半は良かった。後半はスクラムのところでFKを与えたり、あとはモールが後半対応されてリズムがつくれなかった。セットプレイはイーグルスの強みのひとつなのでしっかりと修正したい」