トップリーグ2020 第4節レポート(三菱重工相模原 26-45 東芝)

ジャパンラグビー トップリーグ 2020 第4節
2020年2月1日(土)13:00キックオフ/神奈川・ニッパツ三ツ沢球技場
三菱重工相模原ダイナボアーズ 26-45 東芝ブレイブルーパス

2月なのに春を感じさせる陽気のニッパツ三ツ沢球技場。本日は、TL昇格後初勝利を目指す地元神奈川の三菱重工相模原ダイナボアーズと開幕から3連勝と好調な滑り出しで、リーチ マイケル選手を擁する東芝ブレイブルーパスとの対戦。注目の対戦は、前売券はすでに完売。ニッパツ三ツ沢球技場には、朝から当日券を求めるファンの行列ができていた。

●前半
13時、東芝12番中尾のキックオフで試合開始。

試合開始直後から東芝は敵陣の22mラインを超えて連続攻撃をしかける。7分に三菱重工の13番アライアサが、相手バックスのパスをインターセプトして、そのまま50mを独走し右中間にトライ。15番青木のゴールはわずかに右にそれ不成功。
13分には敵陣10mライン中央付近からペナルティゴールを得たが惜しくも逃す。

反撃に転じたい東芝は、17分グラバーキックに反応した14番ナイカブラが快足を飛ばし右隅でボールを抑えてトライ!12番中尾ゴール不成功。5対5。

23分、東芝陣22m付近のモールから左に展開し、縦を突いた6番ヘモポ抜け出して中央にトライ。15番青木のゴールも成功して12対5。

28分、東芝はPKで重工陣ゴール前に攻め込みラインアウトからのモールでトライを取りに来る。三菱重工は必死のディフェンスで対抗するが、モールコラプシングによるペナルティトライとなり12対12の同点。

30分、三菱重工10番ヴァエガが鋭く切れ込みフォローした2番宮里が見事なステップを披露して右中間にトライ。15番青木のゴールも成功し19対12とリードを取る。

35分、東芝9番小川が抜け出し、フォローした11番松延が右中間にトライ。12番中尾のゴールも成功して19対19の同点となる。

前半終了のフォーンが鳴り響いた後、三菱重工がPGのチャンスを得たが惜しくも外して前半終了。

●後半
3分、三菱重工がPKで東芝ゴール前のラインアウトから7番小林がブラインドサイドを駆け抜けて左中間へトライ。15番青木のゴール成功で26対19とする。

8分、東芝はスクラム、ラインアウトのセットプレイから三菱重工が再度のラインアウトコラプシングを取られ5番小野寺がシンビンとなる。

10分、東芝はラインアウトから得たモールを押し込み2番橋本がトライ。12番中尾のゴール成功で26対26の同点とする。

14分、東芝9番小川が相手ラインから抜け出し、フォローした11番松延が左サイドから走り込んでゴール中央へトライ、12番中尾のゴールも成功し26対31とこの試合初めて東芝がリード。

31分、東芝12番中尾がゴール前のラックサイドから抜け出して中央にトライ、12番中尾のゴールも成功し26対40。

43分、インジュリータイムで3トライ差を狙ってアタックを続け、最後は14番ジョネが左中間へトライ。ゴールは外すも26対45としてノーサイド。

三菱重工は、前半優位に試合を運んだが、後半は東芝ペースになり逆転負けを喫しトップリーグ初勝利はお預けになった。しかし、後半には苦戦していたスクラムから相手の反則を引き出すなど若手中心で望んだフォワードも奮起して、何度も連続攻撃を仕掛けて決め手のあるマイケル・リトルが抜け出してゴール前に攻め込んだが、リーチ マイケルのタックルふくめ、東芝のディフェンスを崩すことはできなかった。次戦のNECグリーンロケッツ戦では初勝利を狙う。
入場者は9948人。来場された皆様が世界トップレベルのラグビーを身近に感じることができた好試合でした。

三菱重工相模原ダイナボアーズ

三菱重工相模原ダイナボアーズのクーパー ヘッドコーチ(右)、土佐キャプテン

三菱重工相模原ダイナボアーズのクーパー ヘッドコーチ(右)、土佐キャプテン

グレッグ・クーパー ヘッドコーチ

「まず神奈川県の素晴らしい観客の前で日本を代表するチームの東芝と対戦することができて非常に良かったです。我々のチームはまだ若い、トップチームと良い試合ができることを目指している。今日はその好機だったが最後までフェニッシュできなかった点もあったが、全体的に選手のパフォーマンスも良かったし、チーム力のアップにも繋がったと思う。最後に本日の戸田レフリーのレフリングが素晴らしかったことを伝えたい」

──新しいチームをどうやってつくっていくか?

「今日は宮里・細田・森本の若いフロントローの選手を起用しました。コーチが信じて選手にチャンスを与えて自信をつけてもらいチームを育てていく」

──前半と後半の違いと、シンビンで人数が少ない時の対応を教えてください。

「後半はケガ人が出たことや私たちのエラー、個人のミスなどが重なった。選手には最後まであきらめないでプレイすることを日々伝えている。本日は我々にとって収穫のあるゲームとなった」

土佐誠キャプテン

「まず試合運営をして頂いている協会関係者の方に感謝を申し上げます。試合の感想としては、試合結果がすべてなのでサポートしてくれた方に良い報告ができなかったことが残念に思う。ただチームとしては伝統ある東芝と対戦し手ごたえを得たと思う。試合前から『私たちは失うものは何もない。思い切りやって当たってくだけるだけ』と言ってきた。それが良い形に出たのかと思う。今後話し合ってシーズンを乗り切っていこうと思う」

──勝利が見えた試合だった思うのですが、どこの差が大きかったですか?

「この試合での経験は大きかったと思う。フロントローは、若いメンバーで揃えたのだけど結果的にスクラムなどで後手になってしまった」

──新しいチームをどうやってつくっていくか?

「東芝のようなチームと試合することは、若い選手にとって良い経験を積となる。また我々は他チームから移籍するベテラン選手が多く、スタメンを生半可な努力では勝ち取れるわけもなく、まだまだ日の目を見ない選手もいる。チーム内で切磋琢磨してチーム力をあげていく」

──久しぶりのトップリーグはいかがですか?

「チャレンジリーグと比べものにならない質の高さや選手の経験値などのレベルが非常に高いと思う。自分がNECの選手として10年前にトップリーグに出場した時は、海外の選手は引退直前のピークを過ぎた外国人選手が多かったが、現在は一流の選手が集まって活躍している。私の経験や思いをチームに伝えることで、まだ結果は出ていませんが着実にチームはステップアップしていると思います」

──前半と後半の違いと、シンビンで人数が少ない時の対応を教えてください。

「前半はチームのストラクチャーがうまく実行できていた。後半はペナルティが増えたりケガ人がでたりして、一人少ない状況など緊急事態が響いた。どんなに点差がつこうと自分たちのやってきたことを信じようと鼓舞し続けた」

東芝ブレイブルーパス

東芝ブレイブルーパスのブラックアダー ヘッドコーチ(右)、小川共同キャプテン

東芝ブレイブルーパスのブラックアダー ヘッドコーチ(右)、小川共同キャプテン

トッド・ブラックアダー ヘッドコーチ

「まず自分たちのチームを誇りに思いました。次に三菱重工さんにも敬意を伝えたい。全体的に良いラグビーだったと思う。相手が強いと分かっていたので、それに伴う準備をしてきた。相手が良いプレイをしてきたので我々にプレッシャーをかけてきた。自分たちが誇りに思っているのは小川キャプテンがチームを導き、あきらめなかったこと、ファイトし続けたこと、毎試合80分間集中し、たくさんトライができるしランニングラグビーができていると思う」

──三菱重工にリードされたのは想定外か想定内ですか?

「自分たちがリードされることは想像したくないが、相手がアタックの良いチームと分かっていたので、そういったこともありえると考えていました。フットワークを使って内側にステップバックすることをやってきたので、ハーフタイムで周知しました。準備をしましたがそれを止められるかは別の話ですので、相手がうまかったと思います」

──リーチ選手の起用法とこれまでのパフォーマンスについて。

「リーチに関してはこの4試合素晴らしいプレイをし続けてくれていると感じている。今日のようなどちらに勝利が転ぶかわからない試合では彼の存在感が大きい。最後の5分間で三菱重工がスコアするのではないかという状況でマイケル・リトルが抜けた時にリーチが止めたことが大きかった。プレイもメンタルも素晴らしい」

──中尾選手の4試合について教えてください。

「毎週良いパフォーマンスが上がっている。更に期待していることはラインブレイクした時にスピードを上げてスコアして欲しいと思う。スタンドオフ、センターとマルチにプレイできるしディフェンスとしてもすごく素晴らしい選手だと思う」

小川高廣共同キャプテン

「今日は5ポイントとれたことに満足している。前半は三菱重工さんの勢いにやられてしまった。しかし皆が崩れることなく80分間集中して最後はリザーブメンバーも集中して最後トライとって終われたことが良かったと思う。これからトップチームと対戦することになるので自分たちのやっているディテールをもっと良くして、パナソニック戦に臨みたいと思います」

──これからパナソニック・神戸製鋼と無敗チームとの対戦が続きますが選手間で目標はありますか?

「1週間ごと1試合、1試合に準備・集中しているので先の神戸製鋼戦まで考えていません。次のパナソニックに集中します」

入場を待つファンの行列

入場を待つファンの行列

ファン限定の施設見学も行われた

ファン限定の施設見学も行われた

東芝ブレイブルーパスのキックオフで試合開始

東芝ブレイブルーパスのキックオフで試合開始

スクラムで優位に立つ東芝

スクラムで優位に立つ東芝

三菱重工の先制トライ

三菱重工の先制トライ

マイケル・リトル選手

マイケル・リトル選手

攻撃力の高い三菱重工の中心的存在マイケル・リトル選手と堅い守りの東芝との攻防

攻撃力の高い三菱重工の中心的存在マイケル・リトル選手と堅い守りの東芝との攻防

両チームの精神的支柱の東芝リーチ マイケル選手と三菱重工土佐誠選手

両チームの精神的支柱の東芝リーチ マイケル選手と三菱重工土佐誠選手

東芝12番中尾選手のキック

東芝12番中尾選手のキック

マン・オブ・ザ・マッチは東芝11番松延泰樹選手

マン・オブ・ザ・マッチは東芝11番松延泰樹選手

 

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